おねショタから一転、ナチスがらみのヘヴィな展開「ベルンハルト・シュリンクの朗読者」

#読書感想文



読後にあーだこーだと語りたくなる本

ミステリー的な要素もふんだんにあるので、極力ネタバレは避けるようにします。予備知識がない状態で読むほうがぐんと面白いので、読む前にウィキペディアを見ることもお勧めしません。

舞台はドイツ。1950年代後半。

15才のミヒャエルは学校帰りに気分が悪くなったところを、見知らぬ女性に拾われ看病される。回復した後、主人公はその女性ハンナの家に礼を言いにいくのですが、下着姿でストッキングを履く姿を見てしまい、性的に刺激されてしまいます。この時点で主人公はハンナのことを三十才過ぎくらいだと判断するのですが、実年齢以上に若くて綺麗な方だったんでしょうね。

一週間後、甘い蜜に誘われる虫のように主人公はハンナの家を訪ねます。今度は用事といった用事もありません。なぜかハンナに石炭を運んでと頼まれた主人公は真っ黒になります。このままじゃ家に帰せられないからと洗濯&お風呂に入る展開に。主人公が浴室からでると、ハンナがバスタオルで体を拭いてくれるのですが、なぜだかハンナも全裸になっています。ハンナは主人公の胸と股間に手をあて、一言。

「このために来たんでしょ!」

なんていうか、この作者わかってるなぁ。直接的な性描写は濃密ではないけど、すごい興奮します。そのまま二人は性交にいたるのですが、完全にエロマンガのおねショタ的な展開です。

その夜、ぼくは恋におちた。……恋というにはいろんな過程をすっぽかしすぎな感じもありますが、とにかく主人公はハンナの家に通うようになります。

愛を読むひと

ちなみにこの小説は「愛を読むひと」のタイトルで映画化もされています。女優はケイト・ウィンスレット。タイタニックでヒロインを演じた女優さんですね。愛を読むひとでは三十代前半になってますが相変わらず綺麗です。この作品でアカデミー主演女優賞をとってますね。


ハンナの年齢は36才。年齢差は21才もあり、けっこうな年齢差の気もしますが、中学三年の男子が深キョンに誘惑されたら……と考えると、余裕でありえる話です。

朗読者

主人公が若いこともあり、やたらとヤリまくる二人ですが、事が始まる前や終わった後に、ハンナは主人公に本を朗読して、と頼みます。それが朗読者というタイトルの所以です。

それである日、ハンナは突然主人公の前から黙っていなくなり、それで一部はおしまいです。

裁判所での衝撃の再会

二部になると主人公は大学生になります。法律を勉強している主人公は、大学のゼミのメンバーとともに、ナチス時代の戦犯がらみの裁判を傍聴しにいきます。被告人の名前が呼ばれ、主人公は気がつきます。ハンナ・シュミッツ。ハンナとの運命の再会です。

ハンナは戦争時代、ナチスの親衛隊に所属していたらしいのですが……

事件自体、相当にショッキングなものですが、ハンナもそれにがっつり関わっています。裁判ではハンナにとって不利な展開になっていきますが、少年時代のハンナとのやりとりのなかで、もしかしたらハンナはこういった理由で証言できないのではないかと主人公だけが気がついています。

文学的なだけでなく、ミステリー的な楽しみ方もできる小説です。

カズオ・イシグロ作品が好きな人とは相性がいいのじゃないかと思います(カズオ作品も遠い記憶とかがテーマになっているので)映画のできもいいので、どちらから触れてもいいと思います。



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