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稀有なサメホラー小説「ブルシャーク」感想

ホラー小説といえば怨霊がでてきたり、サイコパスのシリアルキラーが出てきたりがほとんどなので、獣害をあつかった極めてレアなケースだと思う。

舞台はトライアスロン大会を開催予定の、湖の周辺。

かの古典サメ映画JAWSでは地元観光協会がサメのことを隠蔽しようとしていました。

この小説でも開催している市の職員や、スポンサーなどの力が働き、行方不明者もいることだし、サメがいるかも? となっても「はい、討伐しましょう!」という流れにならないんですね。

JAWSのプロットを踏襲しているなと感じました。

この小説は群像劇でもあり、いろんな人物の目線から物語られます。
大会に関わる市職員、キャンプに来たカップル、海洋生物学の准教授、落ちぶれたトライアスロン選手。
序盤から中盤にかけて、事件や調査が小出しに提示されていくのですが、いろんな人物の視点へとぐるぐる回っていくので退屈しませんでした。

日本の湖に十メートル以上もある巨大なサメが出現する……ある意味、トンデモ設定ではあるのですが、地質学的、生物学的にアプローチをしてきて、本当にありうることかもしれないところまで、落とし込んでくれています。

そしてラスト50ページあたりでいっきに怒涛のクライマックスへとたたみかけてくれました。

登場人物たちは自分の立場や過去に葛藤をしつつも、最終的には信念を貫くというか、なかなかグッとくる熱いものがありました。

おすすめです。

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