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おわりに─︱世界に本屋を増やす仕事

 ぼくはこれまで、自分の仕事は「本と人との出会いをつくる仕事」だと説明してきた。中身はまったく変わらないが、これからはそれを「世界に本屋を増やす仕事」と言い換えることにした。

「本屋B&B」がある下北沢を中心に、毎月通っている八戸や上田、最近関わることになった神保町、たくさんの同士がいるソウルや台北、そのほか今後縁をいただくあらゆる地域を拠点としながら、まず自分自身が「本屋」としての実践を繰り返していく。とはいえ、ひとりの人間、小さなチームにできることは限られている。よって、その実践から得た知見はそのたび、これからの「本屋」に広く伝えていく。その往復を主な仕事としていくという誓いを込めて、そのように言い換える。本書自体をその意図で、なるべく自分の分身として、触媒として作用するように書いたが、道に迷ったら直接「これからの本屋講座」をはじめ、自分のいる場所に訪ねてきてほしい。

 いま自分が理解している範囲で、できるだけ全体像を、紙幅の許す限り詳細を、と書き進めていった性質上、すでに「本屋」として活躍している諸先輩方には前著同様、随分と大上段に構えた、生意気な本になってしまったことをお断りしておく。ぼくが読者として想定しているのはあくまで、これから「本屋」になろうという人、あるいはいま「本屋」としての迷いを抱えている人たちであることを念頭に、ご容赦賜りたい。とはいえ認識に誤りがあればぜひご指摘いただきたく、お𠮟りも受ける覚悟で上梓させていただく。

 粘り強く、考え得る限り最高の本に仕上げてくれた編集の白川貴浩氏をはじめ、力を貸してくださった次ページに続く皆様と、長期にわたる執筆を支えてくれた妻、その間に生まれた息子に心からの感謝をしつつ、この世界に「本屋」を増やす一助となることを願って、本書はここで終わる。

あなたも「本屋」に!

二〇一八年 五月 下北沢にて 内沼晋太郎

※『これからの本屋読本』P316-317より転載


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内沼晋太郎
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