中国広告紹介「ハワイじゃなくて“ポテト”!? 中国マクドナルドの夏のセールスが面白い」
夏の日本のマクドナルドといえばハワイアンセール!しかし中国は夏に「ポテト」が主役になるそうです。さて、それはなぜでしょう?
今日はそんな中国夏のマクドナルドのキャンペーンを見ていきましょう!
中国と日本に共通する季節の概念があります。
それが「二十四節気(せっき)」です。日本では「秋分」「立冬」「夏至」「立春」などが有名ですが、中国では日本人が聞きなれない「二十四節気」もメジャーなため、かこつけたセールもとても多いのです。
まず、二十四節気についてもう少し詳しく説明します。
今回紹介する実例は、「大暑(中国語読み:ダーシュウ)」という日に関するマーケティング事例です。
中国でも人気のあるマクドナルドは、フライドポテトを日本と同じようにS、M、Lの3サイズで展開しています。 中国語の場合、Lサイズのポテトはそのまま「大薯(中国語読み:ダーシュウ)」と呼ばれ、二十四節気の「大暑(中国語読み:ダーシュウ)」と同じ発音になるのです。
そのため、マクドナルドは毎年大暑の前後に割引&プレゼントキャンペーン、別名「マクドナルドの大薯日」が開催されます。
大暑とは一年の中で最も暑い日という意味で、中国では昔から夏の盛りに暑さを払い、健康に留意する習慣があります。
マクドナルドは、2015年から毎年「マクドナルドの大薯日」を開催し、フライドポテトをモチーフにした様々なオリジナル商品を販売し「薯(シュウ)で暑(シュウ)を乗り切る」と訴求しています。
今までの「大薯日」にはどんな商品が出されたのか見てみましょう。
2018年には、ポテトのイラストが載ってある日傘や透明トートバッグ、スリッパを販売しました。
その広告では中国各地の夏の風習をモチーフにし、ご当地気分満載のビジュアルで訴求しました。
2019年には、バケットハットとサングラスを販売しました。
さらに、このアイテムを着用してポテトを注文したら割引というサービスもあったようです。
2020年には、猫の肉球の形にしたポテト用ミニトングを販売し、ペット好きの若い世代から好評を博しました。
また、2021年には、中国のデザイナーブランドRandomeventとコラボし限定Tシャツを販売しました。ポータブルチェアーとピクニックシートもあり、消費者に今中国で流行っているアウトドアのアクティビティをより楽しんでもらいたいというマクドナルドのメッセージが伝わります。
レトロでおしゃれなデザインが人気となり、「マクドナルドの大薯日」の知名度は大きく上がりました。昨今は、消費者は「大薯日」に関するコンテンツをSNSでシェアすることも多くなってきました。
そして2022年の中国の若者世代のヒット商品はフリスビーです。
今年はゼロコロナ政策により、多くの都市で長期間のロックダウンがあったため、若者のアウトドアやスポーツ志向が高まっています。そのため、手軽かつオシャレなイメージのあるフリスビーが人気になったのです。
この流行に乗り、マクドナルドは今年の「大薯日」に、フリスビー(1,960円)、凧(1,365円)、そしてアウトドア用のエアソファー(2,155円)の3つの商品をマクドナルド公式アプリとWeChatミニプログラムで販売しました。(為替レートは2022年8月現在)
フリスビーは明るい色とシンプルなデザインで現在のトレンドを取り入れています。遊ぶ以外にも、写真写りの良さも人気の原因の一つでしょう。
普段日本ではあまり見かけない凧揚げは、中国では歴史が古く、普段から広場や空き地で凧揚げをしている人が多くいます。最近は、凧揚げを楽しむ若者も増えています。
マクドナルドの凧は、赤と黄色の定番カラーで、黄色いリボンがついており、まるでフライドポテトのパックが空を飛んでいるようでインパクトがある商品でした。
今年の商品はそのデザイン性の高さから、SNSで写真を投稿する人が多かったようです。
皆さん、お気づきでしょうか?
「大暑日」に関わる商品は、全て若者向けのものです。
マクドナルドは昨今の中国のトレンドから、若者の好みに合わせて商品を開発しています。こうしてマクドナルドがアピールする「若者の元気は夏を彩ることができる」という理念を体現しているのです。
SNSの影響力が強い時代では、SNSユーザーの発信力をうまく利用することがブランディングにおいて重要です。特に若者がメインターゲットのブランドは、この点をより注視する必要があります。
また、トレンドだけでなく中国の伝統的な「二十四節気」を合わせることは、ただの当て字ネタではなく、プロモーション効果と同時に、若者に伝統文化を伝えるという社会的な機能も果たしています。
このキャンペーンの成功は、商品を現地の文化に溶け込ませ、ユーザー層の声を積極的に聞き、それらを反映して展開したことによると言えるでしょう。
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