【営業】異質なトップ営業に学んだ「強みとは」
とあるトップ営業マンに聞いたお話。
その人は、テレアポ、訪問、飛込み、DM、どれもやってはみたけど全部ダメ。
クビ寸前の状態で、いつ肩を叩かれるかビクビクしていた―――のではなく、たぶんクビだろうから、いつ追い出されてもいいように荷物の整理をしていたそうです。
ところが、ある日を境に、営業成績が急上昇。
あれよあれよという間に全国のトップセールスマンの座に上り詰めてしまったのです。
一体、彼の身に何が起きたのでしょうか。
彼は、私と同じ保険の営業マンでした。
見た目は、本当に失礼ですが、何の変哲もないサラリーマン。
地味で、目立たない、オーラも覇気も感じられない。
初めてお会いした時「え!?この人がトップ営業・・・?」と面食らったのを今でも鮮明に覚えています。
彼と出会ったのは、所属する保険会社の全国の営業マンの交流会。
ただし、参加できるのは各部門のベスト5に入るような猛者のみで、私は運良くその権利を得ることができたので、以前から圧倒的No.1の座に君臨し続けている彼に会って、何とか営業の心得を盗んでやろうと意気込んでいたんです。
案の定、彼の周りをすでに何人かの営業マンが囲っていました。
どう話かけたらいいか考えあぐねていた私にとっては絶好のチャンス。
群れに駆け寄って名刺を交換すると、なんと。
私のことをご存じだったのです!!!
「○○部門で1位になったぬくいさんですよね。すごいですね~」と気さくに応じてくれました。
憧れの人が自分のことを知ってくれている、そして、自分に少なからず好意的である。
後ろには名刺交換の順番待ちをしている他の人もいるし、今しかない!!
そう思い、思い切って単刀直入に質問してみました。
「ありがとうございます!○さんも、今回も1位ですね、すごいです!!どうやってるんですか?」
たぶん何百回も同じ質問をされるので辟易していたのでしょう。
にべもなくつらつらと、その秘密を一気に語ってくれました。
彼は、中国人でした。
日本語も中国語もしゃべれます。
詳しい生い立ちは分かりませんが、日本語はそこまで流暢でもなかったので、会話をすればすぐに中国人だと分かるレベル。
そんな彼は、おそらくそのこともあってでしょうが、本当に営業がうまくいかなかったようです。
考えてもみてほしいんですが、見た目も地味で口を開けばたどたどしい日本語でボソボソと挨拶する。
そんな営業マンが来て、まともに対応してくれる会社があるでしょうか。
ところで、彼と私は時を同じくして同じ保険会社の研修生でした。
研修生といっても、個別にOJTがついて指導してくれるようなものではなく、保険会社の看板を借りた個人事業主という扱い。
自分で考え営業し、成果を挙げなければならないのです。
数ヶ月おきに売上目標が設定されており、達成できなければ即クビ。
首尾よく1年達成し続けることができれば晴れて卒業し、代理店に配属されるなり自分で独立するなりして道が開ける、そんなシステムでした。
彼は、この目標達成をギリギリしのいでいました。
そしてとうとう、追い詰められたのです。
「もうダメだ。クビになる。荷物をまとめておこう。」
せめて去り際には誰にも迷惑をかけないようにと配慮する姿勢、このあたりに人柄が出ている感じがしますね。
とにかく、大ピンチでした。
そんなある日、奇跡が起こります。
知り合いのつてで、とある社長を紹介されました。
その社長も彼と同じ中国人。
最初からニーズがはっきりしている案件だったので、すぐに成約します。
そして、この1件の契約がすべての始まりでした。
他の中国人の社長も紹介されるようになったんです。
それも、ねずみ講のごとく広がっていきました。
紹介の電話がどんどん舞い込み、本人は何もすることなく勝手に契約が増える日々。
気づけば日本一の売上を叩き出す営業マンに成り代わったのです。
結局この勢いは止まらず、なんと、卒業するまでの3年以上にわたり、彼を追い抜く営業マンはとうとう現れず仕舞いでした。
崖っぷちの状態からの大逆転劇。
まさに伝説となったんです。
・・・いかがでしょう?
あっさりと話が終わってしまったので、私自身、本人の口から聞いたときは肩透かしでしたし、周りの人も「なんだ、それだけか」「いや、何かもっと特別なことをしたに違いない」「この人だからできたんだ」と疑り深げでした。
でも、これが現実です。
私もそうでしたが、ダメな人ほど、成功するときは突然に成功します。
たった一つのきっかけで、変われます。
中国語でコミュニケーションが取れる、日本の保険商品を扱う営業マン。
これが、彼のもっていた強みでした。
必死に努力したとかじゃなく、その人の在り方がそのまま活かされた。
本人は気づいていない意外なところにこそ、強みはあります。
注目すべきは、売っている商品は関係ない、ということ。
彼が中国語をしゃべれるというだけで、お客さんにとっては十分な魅力でした。
これだけで、いやこれこそが、差別化になったんです。
想像してみてください。
例えば、海外の日本人が少ない国に日本の法人が進出したとして、現地に日本語が理解できる営業マンがいたとしたら?
どれほど心強いか分かりません。
その営業マンが提供する商品に問題さえなければ、すぐに契約を決めることでしょう。
私が彼から学んだのは、強みについての考え方、捉え方でした。
自覚していないところ、自分では誰かの役に立つなんて思いもよらないところに、ヒントは隠されています。
その強みを自覚し、求める人に正しく伝え、価値を届けることができたとき、他を圧倒するほどの大きな飛躍を遂げることができます。
営業に関するノウハウについてまた別の記事でも紹介できればと思いますが、気になる方は私の本にも書いてありますので読んで頂ければと思います。
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売れない営業マンが売ろうとしても売れないのは、お客さんとの間にミスマッチが起きているからです。
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