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17年目の銀行ユーザー会。秘訣は「システムを主役にしない」

こんにちは。NTTデータCCS UXチームのnote編集部です。
弊社は農業や製造など様々な分野のソリューションを提供しています。その中に、金融機関向けソリューション「iTrustOne®アイトラストワン (以降iTOアイティーオー )」を提供する部隊がいます。
今回は、そのiTO部隊に「金融×UX」のテーマでヒアリングし、ユーザー視点に立つために日頃どのようなマインドで活動を行っているか、を聞いてきました。


ユーザーとの接点づくり

1.ユーザー会を主催

――ユーザーと接点を持つためにどのようなことをしていますか?
全国の銀行(現在は12行ほど)を集めて「ユーザー会」を開催しています。ユーザー会の第1回は2007年5月22日、「金融商品取引法」が施行される直前に緊急で開催しました。施行まで3か月というタイトなスケジュールで法に対応するため、ユーザー会で協議を進めていったのです。大変なことでしたが、そのときの評判が良く、その後は定期開催するようになりました。
ユーザー会では、システムの話を中心に議論はしていません。現在は年4回ほど開催していて「サービスや業務に影響のある法改正」「地域の発展に寄与する銀行の在り方や営業推進方法」「銀行業務の効率化・高度化・DX化」「iTOの機能改善」など、多岐にわたるテーマでディスカッションしています。年4回といいましたが、特定のテーマを深掘りしていく分科会なども合わせると、もっと回数は多いです。

――「ユーザー会」は、どのような人たちと、どのような場所で行っていますか?
集まる人たちは、管理職もいれば20・30代くらいの中堅の方もいますし、営業推進担当、コンプライアンス担当者やシステム担当者など役割も様々です。特徴的なのは、その場で議論してある程度の結論まで絞り込める判断力を持った方が多くいるということです。
場所は、東京にある弊社のオフィスで主に開催しており、コロナの流行した数年以外はリアルに顔を合わせています。コロナ禍はZoomなどのオンライン会議を活用していましたが、オンラインは説明をするだけであれば便利である一方、ディスカッションとなると実際に会って表情を見ながら会話できる方が良いと、より実感しました。

――ユーザー会を開催してよかったと思うことは何ですか?
まずは、銀行目線およびその顧客の目線でニーズを把握できること、そして私たちにとって銀行業務に対するもう一歩深い理解をする機会になることです。
私たちは「銀行員」ではないですが、ユーザー会で業務の話を聞いたり一緒に課題についてディスカッションするなかで、根本的に分からないといけない部分を完全ではなくとも理解していけます。そういったニーズを知る場、理解の場があることは、とても有難いことだと思います。
そして、ユーザーと顔見知りになれる、さらに会っていくうちに信頼関係を築くことができる。それも大きなメリットだと思います。我々だけでなく、ユーザー同士も繋がっていくので、そういった輪の広がりによって「ユーザー会」がさらに特別なものになっていっていると思います。

2.システム導入後にヒアリング

――ユーザー会では「システムの話は中心にない」とありました。では、システムに対するユーザーの声はどのように拾っているのですか?
導入して3か月くらい経ち、システムに慣れ始めたユーザーに、使っている様子を見せてもらうことがあります。ユーザーから出る課題や要望は、システムの改善に繋がるケースもあれば、使い方の面で改善が必要なケースもあります。従って、ユーザーにヒアリングした内容をそのまま改善すればいいという話ではもちろん無く、実際に利用しているところを見せてもらうことで原因を早めに見極め、改善の方法を提案するようにしています。

3.旅行ついでに銀行ユーザー体験

――そのほかにも、行っている取り組みはありますか?
これは趣味みたいなものですが、旅行に行くついでに地方の銀行に訪れることがあります。そこで、実際に「銀行のお客」として対応を体験してみるんです。そうすると「iTOを使用していない銀行では、そういう使い方しているんだな」とか発見があったりするので面白いです。

SEは役者である

――ユーザーと接するときに、なにか意識していることはありますか?
どのような時でも、ユーザーの立場から考えて行動することを大切にしています。ユーザーがシステムを使う目的は、それを利用して企業のサービスをよくすることです。これは当たり前のことですが、それを自分のこととして思えないと、大きな勘違い・ミスに繋がってしまうことがあります。
例えば、システムにバグがあったときの捉え方に違いがでます。SEにとってはたった1つのミスと軽く捉えたものが、実は企業の信頼に関わる大きなことであるかもしれません。そういう認識の違いで、バグを発見した後の対応にも大きな差が出てくるでしょう。
大切なのは、ユーザー目線に立って何を優先すべきかを適切に判断することです。そうすれば自然と振る舞いが変わり、信頼関係を築くことができると思います。だから、私は「SEは役者である」と常日頃思っています。

より多くのユーザーと繋がりたい

――これから実現したいことはありますか?
地域銀行の役割は、その地域の経済や文化、暮らしを安定・発展させることにあります。
実際にユーザーの銀行に出張へ行って思うようになったのですが、東京のような大都市だけではなく、各地の銀行を通して、日本全国の地域の発展に寄与するような仕事ができていけたらと思っています。それに取り組むことは、私たちのモチベーションのアップにも繋がります。
そのための策の1つですが、iTOを利用しているユーザー以外の銀行や関連するベンダーとの繋がりをもっと広げていけたらと思っています。「オール銀行」「オールベンダー」を実現できたら、と。それは簡単なことではありませんが、ユーザー会をより価値あるものにしていくために、邁進していきます。

おまけ(はじまりはロゴ制作)

iTO部隊とUXチームが最初に関わったのは、「iTrustOne®」のロゴのデザイン刷新をしたときでした。
UXチームがロゴデザインを行うことになり、iTO部隊にソリューションに対する思いをヒアリングしながら進めていました。最終的には「i」「T」「O」が形にこめられた、ロゴが出来上がりました。印象を柔らかくする曲線を多用したシンボルマークと、「O」を正円にして遊び心(=親しみやすさ)として配置し、かつ信頼を感じさせる色や形のロゴタイプで構成されています。(※ 2024年3月時点では、シンボルマークについては商標登録を申請中です。そのうち公開されるので、お楽しみに!)

ソリューションロゴ(ロゴタイプ)

そして、そんなロゴ制作を通してiTO部隊の話をもっと聞いてみたいと思ったことをきっかけに、今回のインタビューは実現したのです。

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