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未来の昔話【革命のファンファーレ】

昔々あるところに、ごく普通の学校がありました。
休み時間に2人の女子学生はたわいもない会話をしていました。

「終身雇用って知ってる?」
「なにそれ?(笑)なんか気味が悪い言葉だね…
死ぬまで雇用されるみたいな感じ?(笑)」
「ちょっと昔まではそうだったらしいよ。
大学卒業して、社長がいる会社に就職して、会社のために60歳ぐらいまで嫌なことを我慢しながら働いてたらしいよ。」
「ムリ~(笑)絶対無理。
私なら嫌なことがあればすぐにやめて違うことするのに。変な時代だね。」

チャイムが鳴り先生が教室に入ってきた。

「はぁ~い。じゃあ社会の授業をはじめま~す。」
「先生1つ質問してもいいですか?」
「どうしましたか?」
「終身雇用制度ってなんですか?」
「私が若いころはその働き方が普通だったんだ。
そうだな…今日の授業は終身雇用について。にしようか。」

「先生、テストにでないなら僕は授業を受けませんよ」
いかにも真面目そうな男子生徒が声を荒げた。

「じゃあ授業を受けなければ良い。君たちが好きな授業を好きなように受けていい時代なんだから。ただ、それもつい最近の話。我々がなぜ嫌な授業を受けていたのか、なぜ終身雇用制度が当たり前だったのか、興味がある人はこの教室に残ってください。それ以外の人は自習室で勉強してきてくれてかまいません。」

声を荒げていた眼鏡を含む、誰一人席を離れなかった。
みんな気になっていたんだと思う。
嫌なことをするのが当たり前。
そんな恐ろしい考え方が曲がり通ってた社会について。

「じゃあ、さっそく授業を始めたいと思います。」


1.終身雇用について

「まず、皆が一番気になっている終身雇用とは…
会社が倒産しないかぎり定年まで勤め続ける制度なんだ。」
「定年って何歳ですか?」
「私が若いころは、60歳だったね。最終的には70歳になったけどね。」
「定年を過ぎた、高齢者はどうやってお金を稼いでいたのですか?」
「高齢者は年金というものを毎月もらえるんだ。
 働かなくても、若い人たちが稼いだ給料から税金が引かれ、その税金を高齢者が年金として受け取る仕組みだったんだよ。
みんな年金がもらえるまでは必死に働いて、そのあとは年金をもらいながら暮らすというのが一般的な生活だったんだ。」
「定年を過ぎると働けなくなるって…みんな仕事が嫌いだったんですか?」
「どうだろうね。仕事が好きな人はいたかもしれない。
でもね、大多数は辛いことや苦しいことを我慢して
自分の時間を犠牲にしてまで会社に勤めていたから、
【楽しい】というよりは【義務】という形で働いてたんじゃないかな?
少なくとも先生は仕事を楽しいと思っていなかった。
むしろ楽しんではいけないと思っていたんだ。」
「どうしてですか?仕事は楽しいものじゃないですか?」
「昔の人間は、辛いことを我慢してお給料をもらえると思ってたんだ。
我慢して稼いだお金で楽しいことををするのが普通だったんだよ。」
「じゃあみんな我慢してお金を稼いでいたのですか?」
「少なくとも、先生自身は我慢してお金を稼いでいたよ。
毎月売り上げを気にしながら、上司やお客様に毎日怒られながら
我慢して我慢して仕事を続けていたよ。」
「そんな…自分の人生になのに」
「でもね、終身雇用制度にも限界が来ていたんだ。
高齢者がたくさん増えて、年金が払えなくなってきていたんだ。
みんな、今の働き方じゃ限界があるって気づき始めたんだよ。
そんなとき、一人の革命家が現れたんだ。
先生は彼の本を読んで、我慢ばかりの人生から脱却したんだよ。

次はその一人の革命家の話をしようか…

2.革命家

彼は時代の革命家だった。

「終身雇用の時代、つまり【ストレス=お金】が当たり前だった時代、
【好きなことを仕事化するしか道は残されていない】と彼は提唱した。
技術が進歩し、ストレスかかることはすべてロボットが作業をする。
つまり、【ストレス=お金の社会】は終わったんだと。」

眼鏡男子がぽつりとつぶやいた。
「革命家か。かっこいい」

「彼は様々な常識を覆したよ。
絵本を出してね、当時絵本はなかなか売れないものだったんだ。
それを彼は、長い年月をかけ絵本の内容を、
そしてマーケティングを勉強して革命的な販売方法、
当時じゃ考えられない販売方法で爆発的大ヒットを生み出したんだ。
そんな彼のマーケティングの考え方や絵本を出版するまでのストーリは
この本を読んだらわかるよ。
授業時間だけじゃ、彼の大冒険を語ることはできないからね。」

「今じゃ当たり前の、好きなことを仕事にするという概念は当たり前じゃなかったのですね。」

「仕事は楽しんじゃいけない。
我慢しなければいけないという古い考え方にび縛られた時代だったよ。」

3.革命~未来へ

「みんなのお父さんやお母さんは好きなことを仕事にしているね。
先生もそうさ。みんなに教えるということが好きな私は
先生になった。終身雇用制度は崩壊し、自己責任の時代が訪れた。
定年がなくなった今、いかに好きなことを長く仕事にできるか?という時代になった。終身雇用→成果主義になったんだよ。
革命家である彼は、終身雇用
成果主義になると自分が戦える場所で戦う必要があるんだ。
だからみんなは小学校から好きな授業を選択し、自分の得意な分野を伸ばしているね。それも当たり前じゃなかったんだ。昔はみんなが同じ授業を受けてたんだよ。みんなが同じ授業を受ける中で成功した人間がいる。
それは、【行動をしていた人間】だと革命家の彼は言った。
行動するには勇気が必要だと思うかい?
彼は、行動は【勇気】ではなく【情報】があれば行動できるといった。
電車に乗るのに勇気は必要ない。乗り方さえわかれば、誰でも簡単に行動できるからね。」

「その革命家の人は本当にすごいですね」

「彼の起こした革命は、今ではスタンダードになっている。
彼はロジカルに物事を考え、たくさんの行動を起こした。
そんな彼を先生は尊敬し感謝している。直接会ったことはないけれど
今の自分があるのは彼のおかげだと思っている。」

みな、しばらく黙りこくっていた。高揚したような、興奮した気持ちを
抑えるのに精一杯だったのかもしれない。

先生は最後にこう言った。

「さぁ、今日の授業はここまでです。
皆さん、これからの人生で勝つのは、行動した人間です。
失敗は恐れないでください。
失敗も最後は笑い話になるから。
最後に革命家の言葉を使ってこの授業を締めくくりたいと思います。」

行動しよう
失敗したら、取り返せばいい。
大丈夫。

「革命のファンファーレ 現代のお金と広告 」P303 西野亮廣

以上、めでたしめでたし。







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