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建築家的思考方法

タイトルの「建築家的思考方法」は僕が大学で学んだ事の一つ。建築をやっていない方でも、物やサービスをデザインし、提案するときに使え、色々と応用の効く役に立つ思考方法だと思う。

ちなみに建築学科の人は大学で何を学んでいると思いますか?
間取りの作り方、図面の描き方、パース(建物の絵or CG)や模型の作り方、構造計算などを思い浮かべるのではないだろうか。

実は上記に上げた内容の中でちゃんと学ぶのは構造計算だけである。ざっくり言うと大学では建築の計画学や構造力学、環境工学、都市計画学を学ぶ。図面の書方や、模型、パースなどは、計画学の一部なのだが、本や雑誌、ネットで調べたり、先輩の設計を手伝ったりして自主的に学ぶ必要がある。この自主的に学ばなければいけないことがある授業は設計製図といい、まさにここで建築家的思考方法が培われていくのだ。

設計製図の授業は、敷地や課題内容が決められ、それに対して自分なりの解釈や提案を盛り込み設計をする。完成後に先生や建築家の前でプレゼンをして質疑応答をする。そして、大抵は批評されて気持ちがへこむ。これが一連の流れである。計画学が好きな人はこんな事を卒業まで何回もするのだが、その中で以下の1〜5の思考プロセスが身についていく。

1.情報の収集と整理

・・・敷地や建物の条件整理、参考事例等情報の収集を行う。

2.問題や魅力の発見

・・・整理した情報と、自分の普段からの興味を元に、問題点や新しい魅力になりそうな事を見つけていく。

3.コンセプトの設定

・・・発見した問題の解決方法や、魅力の提案を分かりやすく言語化する。

4.検討方法を検討する

・・・言語化した内容を建物に落とし込み具現化するのだが、やり方は様々。平面や断面をいくつも考えたり、模型を作りまくったり、絵を描きまくったり、3Dソフトで検討したりする。検討方法によって出来る作品も変わるので重要な作業。

※良い案が浮かばない時は1から4を行ったり来たり、又は順番を変えたりして作品を練り上げていく。

5.伝え方の検討

・・・何をどの順番で見せ、どの言葉を使うかを検討しながら発表資料を作成していく。これをしないと作品の魅力をきちんと伝えられない事がある。

以上、1〜5の一連のプロセスを僕は建築家的思考方法と呼んでいる。
情報を整理し、問題を見つけ、解決案を考え具現化し、人にうまく伝えることで、最終的には提案を実現させる。そんな能力が建築家にはある。と思っている。だが、そんな能力をビジネスや経営に使う人が少ないのも建築家なのである。

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