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建築家も土地選びから関わったほうが良いと思わせた出来事

建築事務所に依頼する方の中には、建築する土地が決まっているお施主さんもいらっしゃいます。建築家は、お施主さんが選んだ土地に向き合い、適した環境造りを建築を通して行うのが普通なのですが、このやり方では稀に問題が発生する事があります。土地探しから住まい造りを検討している方は、僕が経験した問題を参考にして頂けると幸いです。

1.擁壁が違反の土地
お施主さんは、不動産屋さんの仲介で地主さんから土地を購入し、設計事務所に新築の住宅を依頼された方でした。その土地は2m以上の擁壁を造り、盛り土をされた造成地。見晴らしも良く、一見良さそうな土地。しかし、擁壁が役所から許可をもらっていない違反の工作物だったのです。それがきっかけで、ここはまだ住宅を建ててはいけない土地だったのです!!同じ造成地内には既に住宅が建っていたので、仲介した不動産屋さんも特に問題が無いと思っていた様子。その造成地内に建っている住宅は地主さんの親族のお家で、建築確認許可が貰えて無い事も発覚!!
擁壁を作り変えないとお家作りが出来ない!!!
不動産屋さんが仲介していても、こんな事あるのかと僕らも驚愕させられました。
僕らは急いできちんとした擁壁の図面を描き、見積をすると面積が広い土地だった事もあり1000万以上かかることが分かりました。

結局、お施主さんはその土地購入代を返してもらい、違う土地を探して設計する事となりました。お金を返してもらう為に、僕も一緒に不動産トラブルを専門としている法律相談所に行き、出来るお手伝いはしましたが、お施主さんの費やした時間と労力を考えると、ホント胸が痛む経験でした。

2.私道に接する土地
この土地は私道を経由して敷地と公道が繋がっていたのですが、いざお家を建てるとなった時に、その私道の地主さんが高い金額で土地(私道)を売りつけて来たのです。
買わないとこの私道は使わせないと、、
ちなみに建築物を建てる時には、土地は道路に2m繋がっていないとダメという法律の決まりがあります。(救急車などの緊急車両が家のそばまで来れる様にですね。)
なので、私道を経由して公道に出れないとなると建築が出来ないのです。
結局このお施主さんも建築する事を断念しました。


上記の様な事は、建築基準法をより把握している建築家が見れば、リスクとして説明出来る事なのです。(大概のきちんとしている不動産屋さんも大丈夫だと思いますが。)

また、建築家なら作れる建物の大きさや形、どこにコストが掛かるか、どの構造が適しているか、など土地の持つ特性を説明する事が出来ます。中には不動産価値が低くて安い土地が、建築家がみたら魅力的な場所な場合もあったりします。

不動産屋さんと建築家、両方の視点で、メリット、デメリットを説明された上で土地を購入出来た方が失敗する人も減ると思うのです。僕もそうですが、土地の視察などは無料でやっている設計事務所も多くあります。
 いくつか候補の土地があれば依頼しようとしている建築家と一緒に見て廻ることも良いかもしれません。

土地購入を検討している方は、建築家の視点も上手に使いながら後悔の無い様にして頂ければと思っています。

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