マガジンのカバー画像

書評系

6
運営しているクリエイター

記事一覧

『愛のことはもう仕方ない』枡野浩一は全人類必読の「恋愛論」(広い意味での恋愛)

『愛のことはもう仕方ない』枡野浩一は全人類必読の「恋愛論」(広い意味での恋愛)

のっけから違う書籍の話だけど深い関係があるので書いてみます。二村ヒトシ『なぜあなたは「愛してくれない」人を好きになるのか』に「心の穴」について書かれていました。私も手元にあまり本を置かない人間なのと自宅以外のところでこれを書いているので参照できずにいます。それでもこの文章を書いているのは、「あなた」にどうしてもこれを伝えたくて……だから書いているのだと思います。「あなた」とはまだ見ぬ「あなた」であ

もっとみる
「お神さん」(太田靖久著『新潮』2011年10月号)に2022年に出会った話。そして「神は細部に(こそ)宿る」。

「お神さん」(太田靖久著『新潮』2011年10月号)に2022年に出会った話。そして「神は細部に(こそ)宿る」。

 本文は単なる一個人としての感想であるが、同時に書かずにいられないというか忘れたくないので日記代わりに書かせていただくことをお許し願いたい。自分はひとりの作家を掘り下げて読むタイプなのと、知らずに読まなかった可能性があると思ってここに記しておく。

 在宅勤務の日だった。上司からの不穏なメールが続いて、やっぱ仕事向いてないやと落ち込みながら、かたわらにあった『お神さん』を読むともなく読み出してしま

もっとみる
昼休みに太田靖久「ひひひ」を読んだ(2021年8月号「すばる」掲載作品を読んで)

昼休みに太田靖久「ひひひ」を読んだ(2021年8月号「すばる」掲載作品を読んで)

昼休みに読んだ「ひひひ」は短編ながらも二十年の時が流れている。

タイトルや内容的にも「ののの」のスピンオフ的作品というか「ののの」の世界を彷彿とさせる箇所があるのだが、「ののの」を仮に読んでいなくても、この「ひひひ」にはひとつの世界が構築されているし、一方で「ののの」の世界へもいざなってくれる。

太田靖久氏が2010年に『ののの』で新潮新人賞でデビューした時のインタビューのタイトルは「僕の小説

もっとみる
太田靖久「ししし」(『しししし4』双子のライオン堂2021年12月)を読んで。

太田靖久「ししし」(『しししし4』双子のライオン堂2021年12月)を読んで。

小説の冒頭になぞらえて、幼少期のことを思い出した。小説を読んでいると、ときに、そういう忘れていたことを思い出したりする。

小学校一年生が幼少期にあたるのかわからないが、私はぼーっとして生きてきた子だったのか、人より成長が遅かったのか、写真に依拠しない幼いころの記憶の始まりが幼稚園の年長あたりからになる。

小学1年生の時、今から40年ほど前、左利きの私はひらがなの書き写しで、担任の指導ですべて右

もっとみる
あったことをなかったことにされるということ(遅れてきた『ののの』ファンです)

あったことをなかったことにされるということ(遅れてきた『ののの』ファンです)

私、遅ればせながら、いまごろなんですけど、『ののの』でデビューされた太田さんのファンです。もっと早く知りたかった、そしたらもっといろんなイベントに参加できたのに、と思いますが、まぁ仕方ないですね。下にも書いていますが、昔、筒井康隆さんのファンになったとき、SFファンの方とのイベントが楽しそうでもっと早く生まれてきたかったと思いましたが、それと同じで時間は戻りませんので……。(もっともその後、交流す

もっとみる
『ののの』太田靖久 著 書肆汽水域、初出 新潮2010年11月号(第42回新潮新人賞受賞作)~読書会へのお誘い

『ののの』太田靖久 著 書肆汽水域、初出 新潮2010年11月号(第42回新潮新人賞受賞作)~読書会へのお誘い

 個人的な話からはじめるが、2010年当時も小説は書いていた。カルチャーセンターで時々文芸誌を読むこともあった。ただ1997年ごろから小説を書いていたので、新人賞を毎年のように読んでいたこともあれば、仕事や子育ての関係で、なかなか追いきれないことも多かった。つまりこの小説は本当ならそのとき読んでいてもおかしくなかったのに、わたしがこの小説に出会ったのは今年(2022年)になる。
 2011年3月の

もっとみる