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【前編】地域の人と交流する場にも!サマーフェスレポート 子ども実行委員と伴走する大人たち

夏休みも終わりに近づく8月末、放課後NPOアフタースクールのとある拠点で「サマーフェス」が開催されました。毎年行われているこのお祭りはアフタースクールに通う子どもたちによって実行委員が組成・運営されており、さらには地域の大人も出店するなど地域交流の場にもなっています。

今年は子どもたちによって7軒、地域の大人によって5軒のお店が出店され、約160名の子どもたちと、約40名の保護者、兄弟など、多くの人たちが参加し、大いに賑わいました。

夏の思い出を彩る一大イベントを、子どもたちは実行委員としてどのように準備を進め、そこに伴走してきた拠点スタッフたちは、どのように子どもたちとコミュニケーションを重ねてきたのか。
サマーフェス全体の企画・運営を担当した武田さん、芦沢さんの子どもたちへの願いも含めて、サマーフェスをまるっとご紹介します。


■サマーフェスの準備をしよう――何を作ればいいのかな?

夏休み真っ只中の8月上旬。アフタースクールの一室に集まったのは、サマーフェス実行委員の子どもたち 。この日は実行委員としてほぼ全てのグループが一室に集合したのですが、普段はチームごとに何度も集まって準備を進めています。
この日は、「射的屋」や「スノードーム」、「ボールキャッチ」などそれぞれ担当しているお店の看板やルール説明の作成と各チームに必要な物品について、今後の動きを確認します。

お店ごとに分かれての話し合いでは、今進めているもの以外で新しく作成するものについて意見を出し合います。 何を決めたらいいのか悩む様子や、話が止まっていそうなグループがあれば、サマーフェス担当者の武田さん、芦沢さんを含めた3名のスタッフがサポート。

芦沢さんと机を囲んでいたのは、過去にサマーフェス実行委員に参加したことのある高学年のグループ。使用する飾りについて、大人と子どもで積極的に意見を交わします。 子どもたちの作った飾りを手に、「この飾りをそのまま使うだけじゃなくて、お花も組み合わせてみたら華やかになるかも」と提案する芦沢さん。子どもたちも頷きつつ、「こっちはこうしたい!」とアイデアを出して具体の内容までテンポよく決めていきます。

一方、集中力が切れてきたのか、「何をやるのか知らな~い」「わからな~い」とのんびりしているグループも。そこで武田さんは、お店の準備状況を確認して未着手の部分を洗い出します。「これが決まったら終わりでいいよ」と伝えると、「よっしゃ!」と背筋が伸びてやる気が出た様子の子どもたち。その後は話し合いを積極的に進め、30分もかからずに確認を済ませて遊びへ戻っていきました。

それぞれのお店の企画概要をまとめたファイル。どのくらい進行できたかなど拠点スタッフ間の引継ぎメモとしても活用

子ども実行委員たちと企画を進める中でのポイントや子どもたちの様子などを武田さんと芦沢さんに伺いました。詳細は後編をご覧ください!
https://note.com/npoafterschool/n/nec82fb5b8540

■サマーフェス当日、いざ開幕!

前述の集まりから2週間と少し経った8月末日。サマーフェス本番の日を迎えました。

お客さんとして楽しむ子どもたちが会場の体育館に続々と入場し、期待に胸が躍っている様子。 開始時刻の14時を迎え、実行委員の子どもが檀上へ上がると、開会のあいさつとしてサマーフェスの決まりや楽しみ方を案内します。 「かき氷やポップコーンは一人一つ、ハーバリウムとスノードームはどちらか一つ体験できます」 「ルールを守って楽しみましょう!」
さあ、いよいよサマーフェスの開幕です!

■射的からハーバリウムまで。様々なお店が出店し、活気あふれる体育館

メイン会場となる体育館では、子どもたちによる「スノードーム」「ハーバリウム」「射的屋」「ボールキャッチ」「スラックアウト」「水中コイン落とし」の6つのお店 と、地域の大人による「忍者修行」が出店。スピーカーからはBGMが流れ、会場を一層盛り上げています。

ラメやお花などオーダーを伝えることで、自分だけのきらめきを作ることができる「スノードーム」と「ハーバリウム」。入れるラメの色によって変化する美しさに、子どもたちは男女問わず満足げな表情!「キレイにできた!」と小躍りしながら見せてくれた子もいました。

「射的屋」は、お祭りの代表格らしく「やっぱり最初はこれだよね!」とサマーフェス開始直後にも関わらず大行列! 割り箸でできた銃で輪ゴムを飛ばし、的に当てられるかチャレンジ。どの参加者も、真剣な表情で的を狙います。

「水中コイン落とし」 では、水中の器に5枚のコインをうまく入れられるか挑戦。最高記録は4枚で、その記録保持者が1年生、2年生、大人、と年齢関係なく誰でも楽しめる奥深さが魅力です。

「スノードーム」を楽しむ子どもたち。手首につけられたスタンプラリーカードは、いろいろなお店を巡る楽しさの一助にも

「忍者修行」では、地域ボランティアの方が「試練の長」になり、忍法を伝授します。張り巡らされたゴム紐に触れないように巻物を回収する試練では、這ったり潜ったり、子どもたちそれぞれの方法で進みます。
その後は「じゃんけんの長と勝負して3回勝つ試練」「折り紙の長に手裏剣の作り方を学ぶ試練」「忍法の長に蝶結びを学ぶ試練」の3つに挑み、すべてクリアすることで忍者認定証が授けられます。 3つの試練すべてクリアする子もいれば、気になる試練だけ挑戦する子も。

それぞれの長に学んで、立派な忍者を目指そう

■他のエリアでも「ワクワク」から「おいしい」まで楽しさたっぷり!

サマーフェスの楽しさはまだまだたくさん!

体育館を出てすぐ見えるのは「ヨーヨー釣り」。ビニールプールにぷかぷかと浮かぶ色とりどりのヨーヨーを獲得するために、参加者がフックを片手に集中していました。

「ヨーヨー釣り」のルールを熟読する子どもたち

そこから進むと、地域の皆さんによるお店のエリアが。 まずは、「バルーンアート」のお店です。剣やプードル、ハートなど手際よく作り上げる手元を、子どもたちも興味津々で見つめます。

さらに先には食べ物エリア。様々なシロップから自由に選べる「かき氷」と、香ばしくていい匂いの「ポップコーン」を食べられます。 ポップコーンの香りにつつまれながら、それぞれの好みのシロップをかけたかき氷を食べる子どもたち。色のついた舌を見せて笑い合う姿も見られました。

一番奥には、「缶バッジ作り」の体験コーナー。キャラクターなど自分の好きな絵を描いて、その場で缶バッジに加工してもらうことができます。

缶バッジ作りの様子。自分の絵がどうやって缶バッジになるのか、手元に釘付け

子どもたちに大好評のお店を出店してくださった、地域の皆さん 。体育館の「忍者修行」は、普段のアフタースクールでもボードゲームを持ち込んで子どもたちと遊んでくれているボランティアさんによるものです。
「バルーンアート」を出店したのは、武田さんのご友人のお母さん。
「かき氷」「ポップコーン」は、アフタースクールで読み聞かせをしているボランティアさんに加えて学生ボランティアさんや保護者、拠点スタッフが担当し、「缶バッジ作り」は地域の社会福祉協議会から機械も持ち込んで参加してくださいました。

■「見えないところ」をサポートする拠点スタッフたち

今回、子どもたちによって企画されたお店には、当日サポートとしてそれぞれ拠点スタッフが配員されました。

体育館の「ストラックアウト(ボール投げ)」では、腕に自信のある様子で子どもたちが続々と挑戦。小得点の大きい穴か、高得点の小さな穴か、狙いを定めてシュート。なかなかの難易度のようで簡単にはいかない様子でしたが、ついに一人の子どもが投げ入れることに成功!周りから歓声が上がり、本人も笑顔でガッツポーズ。

「ストラックアウト」の様子。写真右奥の的に向かってボールを投げる

店番担当の子どももしっかり点数を集計し、挑戦者に合計点を伝えて景品の袋を渡します。しかし、ボールを渡したり回収したり、的を抑えたり点を数えたりと、次から次へと訪れる挑戦者の対応に忙しい様子。

そんな子どもの後ろで動く拠点スタッフ。景品のストックを作ることで、スムーズな運営を支援します。

また、「ボールキャッチ」では、ゲーム後に景品を選ぼうとしている参加者の対応をするスタッフの姿も。受付対応やルール説明、籠にボールが入ったかのジャッジで一生懸命な子どもを急かして対応してもらうのではなく、さりげなくフォローしていました。 子どもが景品対応に気づくと、スタッフは子どもに任せて後ろに下がり見守ります。

どのお店でも、店番の子どもたちが疲れた表情を見せず、終始楽しそうだったことがとても印象的で 「子どもが別のことをしていて気づいていない部分があっても、急かさず焦らせず、そっとサポートする」ことにポイントがあるのかもしれません。

■閉会前の「告白大会」で子どもも大人も思いを叫ぶ!

サマーフェスも終わりに近づく16時。閉会式の前に、実行委員による「告白大会」が始まりました。 参加者は、体育館壇上で「普段思っているあんなこと」や「ちょっと言えないそんなこと」を叫びます。

コール・アンド・レスポンスの練習として、まずは実行委員会から発表。 「私は言いたいことがあるー!」 「なーにー?」と返した会場の面々は、「夏休み最後なのに、なんで宿題終わってないのー!」という叫びに共感から笑顔で拍手。

その後も、「台風こっちくるなー!」「台風のせいで旅行の予定が消えた!」といった天気に対する不満や、「宿題めんどくさい!」という子どもならではの悩みも。さらには大人も壇上に! 小学校の先生は、「退職した先生に会いたい!」と想いを吐露。また、この日をもって卒業となるアフタースクールのスタッフは、「またどこかで会おう!」とこれまでの感謝を体育館に響かせました。

最後に、再度登壇した実行委員会の子どもたち。 「サマーフェス楽しかった人ー!?」という質問を投げかけ、「はーい!」と答えたのは会場にいる全員。
大きな拍手に包まれながら、サマーフェスは幕を閉じました。

伴走する大人たちはどんな工夫をして取り組んだのか?担当スタッフにインタビューしました!

【後編】はこちら!
https://note.com/npoafterschool/n/nec82fb5b8540

文:コミュニケーションデザインチーム:伊嶋