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教育評論家・研究家 石川幸夫の教育ブログ

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現在、教育評論家・研究家として活動を行い、弊会理事でもある石川幸夫先生による教育に特化したマガジンです。専門は、幼児教育および小学生教育で、胎教から、子育て、受験、学習など幅広く…
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#学習

算数タイルの活用

「これからの算数・数学指導にタイルを!」② 子ども達の学力低下の一因は、国語力の低下です。そして、子ども達の獲得すべき語彙の内容にも問題があると思われます。また、国語力の低下と同時に、実体験の不足も上げられるでしょう。思考の源はご存じの通り「ことば」です。そして、この「ことば」を更に印象づけるのが実体験です。よく、このブログでも取り上げる、TV番組で若い子に指定した料理を作って貰うコーナーがあります。先日は「サザエの壺焼き」でした。「サザエ」「壺」「焼く」このことばから彼女

思考が停止する子ども達

「学習中の独り言は…」 酷暑の中の夏期講習もいよいよ大詰めです。私は算数・数学の担当です、教室は冷房が効いている良いのですが、扇風機だけだっらと思うとぞっとします。この暑さでは脳も思考停止をしてしまうでしょう。新指導要領が展開されてから、学力遅滞、昔言われた「落ちこぼれ」について問題提起をしてきました。やはり、20年前の小学生と比較し、文章問題などの理解力、発想力は間違いなく低下しています。今、私の手元にある文章問題の資料は、1970年代後半のものです。中学入試に向けて文章

変わる幼児教育

「時代が求める教育」幼児教育の標準化へ 文科省は、「学制制度改革」の一環として、早ければ2016年の改定を目指し、小学1年生の学習内容を年長児へ移行する考えを示しています。また、幼保と小学校への接続を円滑に行うよう考えています。これに対応し、幼稚園や保育園側の学習指導受け入れには様々な問題が生じてくるでしょう。先生の研修も合わせ、年長から小学生低学年指導の専門性も考えられます。  40年前では考えられない、幼児教育の標準化が始まったのです。年長で扱われる学習内容は、国語指

15秒で完結する指導 ②

「聞く指導と見る指導を」 学力新時代に入り、学習の進め方の中で「フラッシュカード」に注目が集まり始めています。聞くことができない子ども達の増加は、居行く現場に於いて、学習指導の難しさと直結しています。思考を高める教育が柱である新指導要領ですが、残念なことに、子ども達が、思考に辿りつくまでの語彙数と基礎知識が不足しているようです。そこで、注目を集めた指導が「フラッシュカード」です。 長岡の保育園でも、新たな試みのカード授業を模索し始めています。0歳の子ども達から年長の子ども

考えること

「質問の反芻(はんすう=繰り返す)」 授業中に生徒達に向けて行う質問、投げかけられた生徒の反応がそれぞれ違います。ある生徒は即答し、ある生徒は首を傾げます。そんな中に、私の質問を何度も繰り返し声に出す子がいます。  先生:「この計算はどこから始めますか?」  生徒:「この計算はどこから始めますか。」     「この計算はどこから始めますか。」     「うぅーん、えーと、この計算はどこから始めますか。」 質問を繰り返しながら、問題に取り組みます。最近、このように問

子どもの学習履歴

「学習の積み残し」 学年が上がる毎に増してくるのが学習内容の積み残しです。この積み残しが最も顕著に表れるのが、国語では漢字であり、算数では計算です。このどちらにも共通するのが、「演習量」です。つまり、ある程度の量を繰り返し行うという、子ども達にとって家庭学習の積み重ねが問われます。このブログで何度か申し上げたように、例えば1年生の漢字は80文字です。何でこれだけの数を覚えられないのか?と疑問に思う保護者は意外にも多く、表面的な数字でごまかされます。漢字を分析すれば、音読み・

学習と記憶

「記憶力を高める」書写のすすめ! 記憶力については、今まで何度もこのブログで取り上げてきました。記憶力を高める学習は、様々な指導法として紹介されています。それは、学習に於いてとても重要な意味を持っているからです。記憶には短期記憶と長期記憶に分類されます。テスト前に一夜漬けで覚えた歴史の年号や、化学記号など、テストが終了すると忘れてしまうというご経験があるかと思います。その時には必要であっても、必要なくなると、意識から消え、後から思い出そうとしても中々思い出せません。これは、

教育効果「独り言」

「手本」 我がラボスクールに新入室してくる生徒に対し、授業の最初に指導するのが家庭学習だ。子どもの学習状態は、記憶力ではフラッシュカード、集中力、持続力、はチャレンジ500(弊社の計算練習教材)で、またチャレンジ500では、どの学年で躓きがあるのかがわかる。中学生では、データベースシステム(吉備システム)で、その子の学校における位置がわかる。こうした学習情報を元に、学習上の問題点を探る。「まるで、病院のようだ。」と人は言う。 中学生では、それまでの何でもない問題点が、既に

学習はカウンセリング

「教育現場のカウンセリング」 学力で悩む子ども達の対応は、年を追う毎に、次第に難しくなってきています。こども達自身が学ぶ事の目標を見失い、学ぶ事を避けているように思えるのです。学習相談は、勉強が面白くて仕方がないと言う子どもではなく、どちらかと言えば勉強がわからない、出来ないという立場の子ども達です。また、学力に悩む子ども達の大半が、生活全般で自立心がなく依存度の強い子ども達です。このような傾向が塾における個別指導を発展普及させました。ところが、その個別指導で自立心のない大

子ども達の壁

「ことばの壁、思考の壁」 幼稚園や保育園と小学校の違いをご存じですか。意外と知られていないことですが「ことばの違い」なのです。昨日は、縦割り社会の弊害について教育とからめお話をしました。幼児と小学生指導で一番の壁がこのことばの違いなのす。小学校と幼稚園などの交流は、子ども同士の交流だけでなく先生同士の交流も必要です。しかし、これが行われていません。何故ならば、小学校の先生は学習指導が中心で、生活指導を大切に扱っている幼児指導とは、使われることばは大きな違いがあります。ことば

個別学習指導

「認知カウンセリング」 個別学習指導は未だに人気があります。個別学習と集団学習、双方共に長所短所を併せ持っています。今回取り上げた個別学習指導は、側面認知カウンセリングと言える面を持っています。本来の個別学習指導とは「生徒が、教科の問題解決学習を自立的に進めていく指導」のことを言います。また、この指導に関連して、最近よく使われる言葉に「ストラテジー」があります。これは、学習という課題に即した具体的な行為やプランを指しています。個別指導では、当然のことながら集団と違い、学習は

指導の限界「独り言」

「子どもの自立学習」 最近、「子どもの学力がなかなか上がらないその理由は?」という質問が多く寄せられる。答えは至って単純「学習していないから」となる。年齢が上がる毎に、成績の上がらない事に対し、当の本人は様々な理由付けをしてくる。こういう子どもはいつまで経っても、自己責任という言葉がでてこない。申し訳ないが、保護者も塾に預ければどうにかなると思いがちだ。強制的に塾に行かされるわけだから多少の成績は上がるだろうが長続きしない。こうした意識の低い子どもの割合が増え、それは、その

知覚教育とプリント

《その前に》 基礎教育において重要な柱は、「言語」「数」「知覚」の3領域です。これを、簡単に「もじ」「かず」「ちえ」と読んでいます。この分類は、「水野・七田系」教室の特徴と言えるでしょう。私が、このお二人と共に教育活動と研究活動を行ってきた事で、皆様に誤解を与えているようです。それ故、敢えて石川メソッドと呼ばせて頂いております。 コメント欄に様々な書き込みありがとうございます。研修に関しては、これまで4万名を超える先生方がご参加されています。その中で、私の個人名が入った認

記憶力と学力

「記憶力・思考力の公式」 学力を決めると言われる記憶力ですが、今までは「暗唱」が効果的だと言われていました。例えば、中高生に俳句などの暗唱をさせるよりも、幼児の方が優れていることは既に承知の事実です。繰り返し・五七五の語感とリズム、文の短さ、言葉の連鎖などから俳句は覚えやすい一つに数えられます。しかし、これは特別な教育でもなければ、驚きでもありません。言語習得の途中である幼児にとっては、繰り返し聞いて、口にする学習と、五七五のリズムは馴染みやすく、知りたいと願う本能的な脳の