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記憶力と学力

「記憶力・思考力の公式」

学力を決めると言われる記憶力ですが、今までは「暗唱」が効果的だと言われていました。例えば、中高生に俳句などの暗唱をさせるよりも、幼児の方が優れていることは既に承知の事実です。繰り返し・五七五の語感とリズム、文の短さ、言葉の連鎖などから俳句は覚えやすい一つに数えられます。しかし、これは特別な教育でもなければ、驚きでもありません。言語習得の途中である幼児にとっては、繰り返し聞いて、口にする学習と、五七五のリズムは馴染みやすく、知りたいと願う本能的な脳の活動に伴い中高生より速く習得してしまうでしょう。

暗唱と同じように使われるのが「暗記」です。暗記と記憶は同じなのでしょうか。皆さんは、中高生時代に覚えた(暗記した)化学記号や歴史的年代をまだ覚えていますか。これからの教育に必要な学力に思考力があります。暗記・記憶・思考力、さて、これらから何を導き出せるでしょうか。私の結論は、暗記<記憶<思考力という数式になります。

暗記は、記憶力を高める手段、方法として学習現場で使われています。学校のテスト自体(理科・社会など)も暗記を前提とした出題が多く、このことが学習の知識偏重となっていきました。知識偏重とは、学習内容を知識として覚えていれば良いのです。そこに少しの思考力があれば足りていました。だから記憶絶対主義の教育体制が出来上がったと推測できます。我が国の学力不振が何故問題視されているのでしょう。それは、国民の創造力・想像力の欠如からきています。ちょっと教育の話しとかけ離れてしまいますが、我が国の経済発展は「物まね経済」でした。アメリカの模倣をし、安い労働力でモノを作り売ってきました。それは、現代の中国や韓国の姿です。我が国の経済も科学も、新たな創造性を持った人材を必要とし始めているのです。また、ゆとり教育で歪んでしまった我が国の教育体制を根本から変える必要性も同時に出てしまいました。

記憶について、側面から捉えてみて下さい。記憶とは忘却が加わり対を成すのです。全てのことを記憶していることは辛く苦しいものです。嫌なこと、悲惨な体験など毎日思い出していては日常生活はおくれません。記憶とは忘れていくモノとして考えておくべきです。だから、考える道筋、思考力が大切なのだと思います。この時代にはコンピュータという記憶では人間が適わない優れた道具があります。多くの知識はコンピュータに任せ、如何に情報や知識を利用するか、またはできるかだと思うのです。

私達の「物心」がついた時期は3,4歳頃です。言葉を覚え使い始めた頃と言えばお解りでしょう。そして、学力を左右するのは何であったかお考え下さい。心は言葉によって形成される、そして、学力を左右するのも言葉、つまり何度も言いますが語彙数です。速読でも触れましたが、語彙数の高い子どもは1秒間に読む事のできる文字数「読字数」にも大きな差が生じています。評価5の子の読字数は毎秒20~25字、評価1の子は毎秒0~5字です。学力や記憶力を左右するのは語彙数です。新たな言葉の獲得が記憶力を高め、学力向上に繋がります。その為に本を読み、語り、会話し、考える、こうした学習環境が必要になるのです。暗唱・暗記も記憶力について多少の助けにはなるのですが先に繋がる学習法かと言えばそれは違うでしょう。重要なのは先にも申し上げた通り思考力ではないでしょうか。記憶されている体験や言葉など様々な記憶をまとめ、変化させ一つの考えにまとめる働きを思考と言います。

例えば、以前このブログでも紹介した教材に、紙製のパズルとマス目くん、そしてタイルを使い、正方形・長方形・三角形・平行四辺形・菱形・円、それぞれの面積を求める言葉の式を完成させる問題があります。自分で考え生み出す公式です。自らの知識と体験、目の前にあるものを使い、公式を導き出す。直ぐに、面積を求める公式を指導する、これは知識だけを伝えた学習で、その場しのぎの学習だと思います。あまりにも管理され、パターン化されすぎた教育からは思考力も創造力も生まれないでしょう。そして、記憶力を考えるとき、その元になる学習を念頭に置くべきでしょう。

暗記学習+暗唱学習≠記憶力 < 語彙学習×考える学習=記憶力+思考力

さて、どちらの式を選びますか?

2014/4/30


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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