見出し画像

Vol.11② 法学徒の自覚 〜2016年春、本郷〜

Vol.11① 法学徒の自覚 〜2016年春、本郷〜

ワイズマンとランズマン


文学関連ですけど、同じ時期に、漱石講演会で作家の水村美苗先生のお話を伺えたのがよかったです。
※神奈川近代文学館 特別展「100年目に出会う 夏目漱石」記念講演会 「漱石と日本と日本語と日本文学」

水村先生は、それ以前に『私小説 from left to right』というバイリンガル小説?というんでしょうか、それを読んだときに「こんな小説があるなんて!」とぶっ飛びまして、その後『増補 日本語が亡びるとき ─英語の世紀の中で』を拝読して、これもまたとても感銘を受けましたし、共感しました。
いつかお話を伺う機会があればと思っていたので。


漱石もお好きでいらっしゃいますし、それは佐々木さんは行かねば、ですね。

漱石の講演会なので漱石がらみのお話でしたけど、愛読している作家さんのお話を直接伺えるのは、なかなかそんな機会はないですけど楽しいことですね。

その、ご自身がお忙しい中でもアンテナを張られているといいますか、聴きたいお話は聴きに行くとか、観たいものは観に行くという、行動力の高さがすごいと思います。

好きなことについては腰が軽いみたいです(笑)。

在学中は映画にもよく行きました。
フレデリック・ワイズマン監督のドキュメンタリー映画が大好きなんですけど、ワイズマン作品はほとんど映画館に観に行ってます。
DVDも持ってるんですけどね。映画館で観る楽しみはまた別にあるので。

「法と秩序」「基礎訓練」「霊長類」「ストア」「視覚障害」「パブリック・ハウジング」……、挙げるときりがないというか、作品全部好きなんです。
最近では、「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を観ました。すばらしいですね!


評判になっていましたよね。

ワイズマン作品を最初に知ったのは、愛読する金井美恵子先生のエッセイでした。
「パブリック・ハウジング」のことが書かれてたんです。
もともとドキュメンタリー作品が好きだったので、金井先生のお好きな監督の作品ならぜひ観てみたいと思いまして。

最初に観たのが「法と秩序」でした。
別に法学部生だからじゃなくて、偶然ですよ(笑)。
それで、これはすごく好みの系統だと思って、そこからワイズマン作品を片っ端から観ていったんです。
それからずっと大好きです。

好きな作家さんのエッセイで知った映画がすごく好みの系統だったなんて、嬉しいですね!


実は、金井先生のトークショーに行ったことがあるんです。
トークショーの後のサイン会でサインをいただいてるときに、「先生のおかげでワイズマンを知りました。ありがとうございます」みたいなことを言ったんですけど(笑)、後になって、「先生のご本にサインをしていただいているのに他の人のことを話すなんて。しまった。失礼だった。わー」みたいに後悔しました。

いえいえ、きっと先生も、ご自分のエッセイに書いたことがきっかけで読者さんが映画を観たなんて、嬉しいと思いますよ!

そうだといいです。
でも今度からは、サインをいただいているときにはちゃんと先生の作品のお話をします(笑)。

普段はサイン会に出演されるお立場というか、サインをする側でいらっしゃいますけど、佐々木さんが逆に他の方のサイン会に並ばれるなんて不思議な感じがします(笑)。

わりとありますよ!

自分でサイン会に並んでみると、サイン会に並んでくださる方の気持ちがわかる気がします。
最初に何を言おうかとか、話しかけるとサインの邪魔にならないだろうかとか、去り際になんて挨拶しようかとか、並んでいる間にいろいろなことを考えるものなんですね(笑)。

で、後になって、「あああーあれを言えばよかったのに!」みたいになるとか(笑)。

サイン会あるあるですね(笑)。

実際、ご自身でサイン会をされるときはどうなんでしょうか?
話しかけられるとサインの邪魔になったりしますか?


いえ、まったくそれはないですね。
話しかけていただいて全然OKですよ!
せっかくいらしてくださってるし、そこしか話すタイミングないですしね。
自分が出演した作品とか演じた役の感想とかを直接聞ける機会は貴重なので。

そうですね。
直接感想が伝えられるのは、ファンの方にとってもタレントさんにとっても、お互いに貴重な機会ですよね。


それと、これもドキュメンタリーなんですが、ずっと観たかったクロード・ランズマン監督のホロコースト三部作も、在学中に全部観る機会があってよかったです。
※ホロコーストを題材にした「SHOAH ショア」(1985年)、「ソビブル、1943年10月14日午後4時」(2001年)、「不正義の果て」(2013年)


三部作のうち、「SHOAH ショア」って9時間半あるんです。
※全編9時間27分

9時間半ですか!

もちろん、一日でじゃなくて分けて観ましたけどね。
東京の映画館に観に行くタイミングを外してしまったので、大阪にも行ってきました。

映画を観るためにですか?

そうですね。
大阪、名古屋は近いですからね。

その他の都市でも、観逃した映画を観に行くとか、都内の書店になさそうな本を探しに行くとかの小旅行はけっこうします。
こういうことが楽しいんです(笑)。

大阪で観られたおかげで、ランズマンのホロコースト三部作はコンプリートできました。
特に「SHOAH ショア」は、内容的にも長さ的にも、あちこちでしょっちゅう観る機会がある映画じゃないと思いますし、ずっと後にアウシュビッツに行ったんですけど、その前に観ておけてよかったと思いました。


お読みいただいてありがとうございます。
次回に続きます!
Vol.11③ 法学徒の自覚 〜2016年春、本郷〜

佐々木望の東大Days:https://todaidays-nozomusasaki.com
↑ 本noteの元記事

記事を気に入ってくださった方は、よろしければ「佐々木望の東大Days」サイトの運営・維持へのサポートをお願いいたします!