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Vol.2③ 駒場のキャンパスライフ 〜東大1年生スタート!〜

Vol.2② 駒場のキャンパスライフ 〜東大1年生スタート!〜

ランチタイムは芝生で


じゃあ次に、クラスのことを教えていただけますか?

はい。
駒場のクラスは主に必修の語学を一緒に受ける単位としてのクラスで、語学の授業はほとんど毎日のようにあったので、同クラの人とはだいたい会えてました。

仕事関連でキャンパスを出たり入ったりとバタバタしていることが多かったので、彼らとツルんで動くような機会はあまりなかったですけど、できることならもっと密に付き合えればよかったなと思います。

もしかしたらクラスの方たちも、佐々木さんに話しかけたくても、大人の方に何をどう話しかけたらいいのか、みたいに遠慮されていたのかもしれないですよね。

でも同クラは皆さんすごく優しく接してくださって、とても感じのいい人たちだったんです。

最初の頃、自分は全然大学のことが分からないし、当然学内に知り合いもいないし、で心細かったりしましたけど、履修登録のコツとか教科書の買い方とか試験情報とか、いろいろ親切に教えてくださったりして、たくさん助けてもらいました。

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▲ 法学部の講義を受けた駒場900番講堂


その時、佐々木さんが声優さんだと皆さんはご存知でした?

いえ、最初の頃はまだご存知じゃなかったと思います。
だからきっと、社会人と言ってるけど何の仕事をしてるのか分からない怪しいおじさん、またはじいさん、みたいに見えたかも(笑)。

でも、皆さんいつもにこやかで、気さくに声をかけてくれたりして嬉しかったです。
昼休みに、佐々木さんもよかったら一緒に食べましょうと誘ってくれたり。

ランチタイムは学食が混み混みで入れないくらいになるんですが、うちのクラスはいつも芝生にピクニックシートを広げて、お弁当やらパンやら学食からテイクアウトしてきたものやらを食べながら、皆んなでわいわいランチしてました。

芝生にピクニックシートでランチする東大生たち!
想像するとすごくかわいいです!
そしてその中に佐々木さん!

一人がピクニックシート係になって、毎日持ってきて持って帰ってくれるんです(笑)。
本当にいいクラスだったなあ。
駒場は短い期間でしたが、彼らと一緒にいられて楽しかったです。

……そういえば、後日談があるんです。
私の仕事を知ってくれていたことについて。

先ほどおっしゃった、佐々木さんが声優だと分かった東大生の方たちが、ネットを見ても佐々木さんのプロフィールにその記載がなかったことから、公表してないんだと察して黙っていてくださっていたというお話ですね?

はい。
特に同クラの多くは、わりと早くから私が声優だと分かったそうなんです。
私の方は、彼らに自分の身分を話していないことにずっと気がとがめていたというのに(笑)。

これはつい先日、卒業後に聞いたんですが、ある人は幽白、ある人はさくら、ある人はテニプリ、私の出演作品を子どもの頃に何度も観ていた、大好きだった、佐々木さんには言わなかったけど、とおっしゃっていて、驚きましたし感動しました。
※「幽☆遊☆白書」幽助、「カードキャプターさくら」エリオル、「テニスの王子様」亜久津、を演じています。


うわあ……。
クラスメイトの皆さん、そんなに佐々木さんを知っていても、一切口外しなかったんですね!

同クラ以外にも何人か、分かった方がいらっしゃいました。
ゲームやってましたとかアニメ観てましたとか、授業の後でコソッと話しかけてくださったこともありました。

でもその方たちも、普通の学生でいたいという私の気持ちをとてもよく理解してくださいました。

その後に法学部に入ってからも、お話ししたことのない方で私を知っていた方々も何人もいらっしゃったようで、皆さんに気を遣わせてしまって申し訳なかったですが、おかげで大学生活を存分に味わうことができて、とても感謝しています。

本当にすばらしいですね!
私からもありがとうって言いたいぐらいです!(笑)

クラスの外にも同学年の友人ができて、その人たちとは今もたまに会って食事したり近況報告し合ったりしてるんです。

一番仲のよい友人は、クラスは別でしたけど、同じ文一からの法学部進学で、法学の勉強のアドバイスをくれたり答案の書き方を教えてくれたり、1年生のときから卒業までずっとお世話になりました。
普通に食事をしたり飲みに行ったりもしょっちゅうして。

勉強の話だけでなく、文学や映画や音楽や絵画の話でも、ヨーロッパ芸術の話でも日本の古典の話でも、過去の偉人の話でも現代の俗人の話でも、何でも話せる相手なんです。

その方は東大在学中に海外留学された時期があったんですが、そこに遊びに行って大学や寮や町を案内してもらったりしたこともありました。

すごくいいお付き合いをされてますね!
それってやっぱり東大に行かなければ絶対に出会わなかった人ですよね。

そうですね。
まず一生出会うことがなかったんじゃないかな。

同学年だった人たちは、今は法曹や官庁や国際機関、銀行や出版社やマスコミ系にいらっしゃいます。
それぞれに世界が違うので、お話を聞くのがとても楽しいんです。

佐々木さんにとっても学生さんたちにとっても、とても運命的な出会いだったのかもしれませんね。

そうですね。
ご縁ですよね。

歳は親子ぐらい違いますけど、全然それを感じないんです。
彼らは本当に優秀で精神年齢も高いので。
私が歳より幼稚とも言えますけど(笑)。
貴重な友人たちです。

そういえば、私が朗読ライブの公演をしたときに観に来てくださった方もいました。
こっちは、「同クラに舞台を観てもらうなんて」で、あっちは「同クラの舞台を観るなんて」みたいに、たぶんお互いに不思議な気持ちになっていました(笑)。
※朗読ライブ「きのう何食べた?」(よしながふみ原作/講談社)で企画制作・プロデュース・演出・主演(筧史朗 役)を務めました。


素敵ですね!
そういえば、佐々木さんが演じられたシロさん(筧史朗)は弁護士でしたね!

長く声優の業界にいて思うのは、私たちの仕事の魅力のひとつに、いろんな人と出会えていろんな人と仕事を一緒にできる、ものづくりができるということがあるんですけど、大学に行ったことでさらにそれが広がったというか、出会える人の世界が広がったので、これは本当に嬉しいんです。

ちょっと短絡的な考えかもしれないですけど、こうしていろいろな人の人生と出会うことで、自分の演技の根底にある部分が、ポジティブな意味で何らかの影響を受けるんじゃないかと思うんですよね。

絶対そうだと思います。
アニメとかでも、勇者とか超能力者ばかりじゃなくて、普通に現実の人を演じることも多いわけですよね。学生だったり、普通のおじさんだったり。

違う人の人生に触れると、きっと演技にもその分さらに深みが出ますよね。

そうなるといいですよね。

ただ、経験したことのないことは演じられない、とか、実体験をした役者の方がしてない役者よりも演技に深みが出る、とは必ずしも思ってないんです。

だけど、自分同士、つまり「そうでない自分」と「そうである自分」とは比較できるんですよね。

だから、たとえば大学生を演じる場合だったら、大学生を経験したことがない自分と比べると、その経験をしたことのある自分の方が絶対によく分かった上で演じられると思います。

漫画家さんでも、大学に行ったことがないからキャンパスライフの雰囲気が分からないとか、OLをしたことがないから上司との関係や会社の中の風景が分からないって悩まれている方はすごくいらっしゃいます。

ドラマを参考にして、学生ってこんな感じかな、OLってこんな感じかな、って描くと、ちょっと真似ごとっぽい感じになってしまうし、難しいと。

ですから、佐々木さんの大学生としてのご経験は、絶対に声優さんのお仕事にもすごくプラスになったんじゃないでしょうか!

うんすごい、私は今どんな方にお話を伺っているのか、不思議な気分になります(笑)。



お読みいただいてありがとうございます。
次回に続きます!
Vol.2④ 駒場のキャンパスライフ 〜東大1年生スタート!〜


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