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戦争と平和

泣いて、飲んで、出して、寝る。
生きるための大事なお仕事を毎日こなすレン。

ミルクと抱っこさえあれば幸せで、完璧に満たされる赤ちゃん人生って、最高すぎる。

レンは飲むことも出すこともどちらも大得意。「お腹空いたぞ!」とギャン泣きすれば称賛され、臭いうんちをすれば喝采を浴びている。

誰に抱っこされたって、レンは「ここは安心」「ここも安心」とばかりに、ぐっすり眠る。ここにも、そこにも、あっちにも、見渡す限り360度の安全地帯。

最近はいっちょまえに「快適さ」を求め、ベッドの上で寝かせようとするとすぐにバレて、「もっと抱っこしろ!」と大泣きするけど、基本はいつもずっとご機嫌。

いつの間にか「笑顔」という神業も習得した。
「やっぱり僕と目が合うといつも笑うよね」「私が話しかけたからだよ、もう私のこと分かるみたい!」と、たくさんの優しいお兄ちゃんお姉ちゃんに囲まれる毎日を過ごしている。

I'm so thankful for all the little lives surrounding my son. He has a rich life, full of love and I couldn't be more humbled at these moments. Ren has no idea how full of love his little life is.

そしてレンは心臓に穴があるから、薬を1日に何回も飲まなきゃなんだけど、毎回「え!ミルクと違う食べ物ですか!?」と、目を最大に見開いて驚き、夢中になって薬に食らいついてくれる。

ミルクもごくごく飲んでくれるから、あっという間に体重は5キロになった。1キロしかなかった頃がもはや懐かしいよ。

食いしん坊バンザイ!

アリフのギターの音、くるくる回るモビールに、ザーザー降る雨や、ピーピー鳴る体温計…。レンにとって全てが新鮮で楽しそう。

私もこの人みたいに、自分の身の回りのすべてに対して、大きな感動や喜びを見い出しながら生きていられたら、どんなに素敵だろうと思わされる毎日。

-----最近「もうボロボロだし、そろそろ捨てよう」と思ってる靴下やタオルのことをうっかり忘れ、毎回洗濯しちゃう私。干す時になって「またやっちゃった。でもまぁせっかくだからもう1回使ってから捨てるか」のループから抜け出せず、レンはくたびれた衣服を着ていることが多い。

私のズボラ加減を見かねたYaniさん(訪問看護師)には「レンくんのお洋服、毛玉がすごいし、穴も空いちゃってるし、良かったら…」と、服をプレゼントしていただく始末。

「よし。今日こそ捨てる!新しいものを買おう!」と、先日はアリフと久々にショッピングモールへ。
入口すぐの展示場みたいなとこに子ども服が沢山あって、「かわいい!何か袖の位置変わっててオシャレ〜!」とか言ってレンに服をあてて盛り上がってたら、「これ犬用です」だって…。

昔、良子ちゃん(母)が、犬用ビスケットだと気付かず、私に突っ込まれるまでポリポリ食べてたのを思い出したww

そんな幸せな毎日の中、ロシアやウクライナに思いを馳せる。

ウクライナにも、新しい赤ちゃんの命が毎日誕生している。レンのような早産児だっている。
本来NICUで治療を受けるはずが、仮設の防空壕や地下で簡易な毛布に包まれ、チューブにつながれながら、身をひそめるしかない赤ちゃん&ママ達。

現地で人道支援に入っている旧友の話は、ついこの間までNICUに入っていたレンと重なり、言葉にならない気持ちがあふれる。寄付金を送ることしかできない自分がもどかしくて、胸がぎゅっと苦しくなる。

朝日を浴びながらゆっくりお散歩をする。
家族みんなで食卓を囲んで、美味しいご飯を食べる。
友達とお喋りをして、大笑いをする。
海でサーフィンをする。

これからレンが味わっていくであろう、些細だけれど大きくて確固たる幸せたち。
戦争はそれらすべてを奪っていく。

ウクライナ侵攻が始まってから早3か月。
ミャンマーのクーデターからは1年。
シリア内戦に至っては、もう12年もの年月がたつ。

ウクライナにも、シリアにもミャンマーにも、ソマリアにもコンゴにも、どうかどうか1日も早く穏やかな日々が戻りますように。

子ども達みんなが、優しさと平和の中で、安心して暮らせる世界へ向かっていきますように。

レン、100日おめでとう。
生まれてきてくれてありがとう。


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