ジャワ島のお祝い
赤ちゃんが誕生してからの様々なお祝い事。
日本なら、お七夜、お宮参り、お食い初め、初節句、1歳時の一升餅など。
子どもの健やかな成長への願いが込められているイベントは万国共通だ。
インドネシアの儀式やイベントは島や宗教によって大きく内容が異なるんだけど、ジャワ島では「Aqiqah」と「Tedak Siten」ってイベントがすごく大事。らしい。
コロナを理由にずっと帰省タイミングを逃してたけど、レンの出産&成長を村のみんなでお祝いするため、先週久々にジャワ島(アリフ実家)へ帰ってきましたー。
【イベントその1:Aqiqah】
本来は生後7日目に行う儀式。
「①ヤギ料理の振る舞い」「②散髪」の2部構成。
■Aqiqah:①ヤギ料理の振る舞い
赤ちゃんが男の子ならヤギを2匹・女の子なら1匹を屠殺。そのヤギ肉で食事を作り、皆に振る舞う。
でも、家族や友人に振る舞うだけでなく、知人でない生活困難者へ「お祝いですから、ぜひ受け取ってください」とお肉を積極的に分け与える、というのが一般的。
「赤ちゃんの出産」を理由に、みんなが遠慮なくお腹いっぱい食べれるって、すごくいい儀式だよね。
しかも、インドネシアでヤギ肉って高めだから、みんなが普段口にする機会はすごく少ない。
「みんなが喜んでくれて、自分も美味しいものを食べれる。それ以上に嬉しいことはないよ」とアリフ。うんうん、本当そう。
-----当日は朝4時半からみんなで集まり、約200人分のお料理を調理。
ご飯、ヤギの串焼き、煮物、野菜のスープ等など、盛り沢山!
お米は約160kg準備したし、配布用のお弁当やお菓子の詰め合わせもすべて手作りだし、レンはまさかの40度の熱を出しちゃうしで、大忙し。
大変だったけど、アリフの実家は「地域全体が親戚」みたいな村だから、みんなで毎日わいわい、文化祭の準備してるみたいで楽しかったな。
■Aqiqah:②散髪
夜に行われた散髪儀式はすごく神聖だった。
正装した村中の男性陣が赤ちゃんを囲み、ウラマー(日本で言うお坊さん)を中心に、みんなで何度もお祈りをしながら髪をカットする。
散髪前には伝統音楽の演奏が1時間以上続く豪華っぷり!
何でわざわざ散髪?と不思議だったけど、お腹の中にいる時から生えている髪は、柔らかくて繊細で、一生に一度しかない貴重なものなんだとか。
そういえば、日本でも昭和のはじめ頃までは、生まれて間もない赤ちゃんの髪の毛を散髪することがお祝い事の1つとして行われてた、と聞いたことがある。
儀式は一切おふざけなしだし、村のお偉いさんもみんな大集合だしで、すごく厳格な雰囲気。
なんだけど、1番肝心であろうハサミは「誰かハサミ持ってないー?」って近所の子どもから急遽借りた、普通の工作ハサミなのがめちゃくちゃインドネシアっぽくて笑った。
ちなみに。
散髪した髪は、出産時の「胎盤」と一緒に、庭に埋めて大事にするのがお決まり。
(インドネシアでは、病院から胎盤を必ず持ち帰り、庭に埋めて大切にする)
胎盤と髪を一緒にしておけば、邪悪な霊を騙すことができ、赤ちゃんが生涯危険を経験しないで済むんだとか!本当かいな。
【イベントその2:Tedak Siten】
Tedak Sitenは「地球に足を踏む」「地面に降りる」という意味。生後7ヶ月目の、赤ちゃんが立ったり歩き出す前に行われるイベント。
この儀式は「①沐浴」「②トゥトゥル&はしご」「③ニワトリ占い」の3部構成。
■Tedak Siten:①沐浴
摘みたてのお花&採れたて卵と共に沐浴をする。
「生涯たくさんの仲間に囲まれますように」という願いを込め、近所や親戚の子ども達に見守られながらするのが一般的。
だからレンの沐浴にもたーくさんの子ども達が集まってくれたんだけど、もちろんみんなレンの沐浴なんかに興味があるわけなく、沐浴後にもらえるお菓子が目当て、笑。
村の子ども達にとって、たくさんのお菓子をもらえるのはこのTedak Sitenの沐浴イベントくらいだから、朝早くから「沐浴まだやらないの?」「日本のお菓子もある?」ってみんながずっとずっとワクワクしてて、かわいかったな。
■Tedak Siten:②トゥトゥル&はしご
7色のトゥトゥル(もち米&ココナッツを混ぜて色を付けたもの)の上を歩き(踏みしめ)、サトウキビで作ったハシゴを登らせる。
将来どんな異なる色や高さ(つまりは困難)に直面しても、それを克服&乗り越えていけますように、って意味なんだって。
まぁ下記写真の通り、嫌がるレンを無理やりエアウォークでバタバタさせてただけなんだけど、大人はみんな大盛り上がり。
日本でも、1歳時に無理やり一升餅を担がせて、大人がわいわい盛り上がるもんね。国は違えどみんな同じだ。
■Tedak Siten:③ニワトリ占い
通常は、アイテム(本、スプーン、お金等)を赤ちゃんの前に並べ、どれを取るかでその子の将来や才能を占う、「選び取り占い」。(本なら将来学者さん、スプーンなら将来食べ物に困らないetc)
でも、アリフの村ではアイテムを使わず、代わりに鶏と一緒に占うのが風習。
大きな鳥かごの中に、鶏と赤ちゃんを入れ、赤ちゃんが鶏の身体のどこを最初に掴むかで占う、というワイルドさ。
レンは鳥かごの中で威勢のいい鶏に追いかけられ、突つかれ、ギャン泣きし、鶏から逃げるのに必死。
「これ、見方によっては虐待になるんじゃ…」と思ったりもしたけど、ジャワの洗礼だね、笑。
みんなに「鶏に負けるな!」と応援されるも、結局レンは調理された鶏で占いやり直し。
で、レンが最初に掴んだ鳥足の意味をみんなに尋ねると…、
「足が速くなるんじゃない?」
「いや、動きが早いって意味だから、多分仕事ができる子になるって意味だよ」
「じゃあお金持ちになるってことか、やったね!」
みたいな感じで、全然占いなんかじゃなかったのが最高でした、笑。
-----今回はそんなジャワのイベント「Aqiqah」と「Tedak Siten」を行ったんだけど、イベント前は「ヤギ肉食べて、散髪して、占いする」くらいにしか思ってなかった私。
でも、何日も前から&朝から晩まで村のみんなが一生懸命レンのために動きまくってくれて、当日は音楽とお祈りがずーっと続いて、レンはみーんなに抱っこされ終日ご機嫌にこにこで…、何だかジーンと感動してしまう瞬間がいっぱいだった。
「ヤギ肉、散髪、占い日」なんかではなく、「生涯かけて、みんなで必ずレンを支えて守っていくからね。何があっても絶対に大丈夫よ」と、ひたすら大きな安心をいただく日となった。
有り難いなぁ。
アリフの村は、生活インフラがぐんぐん整い始めているものの、かなりの田舎で、「結婚相手は村内の男女に限る」なんてルールもまだまだ残っている。
それなのに、よそ者(村外の人どころか外国人)である私を受け入れてくれて、レンを「みんなの赤ちゃん」として大切にしてもらい、溺愛してもらい、本当に幸せだ。
Togetherness is a very important ingredient to family/community life. I am the mother I am because of the community I’m part of.
みんなのお陰で今があると、改めて実感したジャワ島の10日間。
みんないつもありがとう, Matur nuwun.
レン、10ヶ月おめでとう。
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