望/Nozomu

詩歌とコラージュ。 読む・書く・綴る、そして切り抜く。

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最近の記事

文化という価値に対して、お金と敬意を「払う」。今なら、推しに課金すると言えばいいのかな。 日々享受してきた音楽や舞台が、よりかけがえのない存在であることに、図らずも気付いてしまった、今。我々にできるのは、提供されるコンテンツに、対価を払い、同時に敬意を払って受け取ることかなと。

    • サザンオールスターズのこと/文化という価値に、お金と敬意を「払う」

      苦境のエンタメ業界にあって、サザンオールスターズが、先鞭をつけて無観客ライブ配信を行う。その英断に対し、心からの拍手を贈る。 それにしたって、さすがサザンだぜ。ロックじゃないですか! さて、今回のライブ、肝要なのは「有料」である点だ(料金は3,600円)。 視聴料金を支払う行為は、サザンを応援することに他ならないが、目に映らない様々なスタッフさんの仕事をも支援することになる。 ライブという興行を行えば、確実に「人とお金」が動く。スタッフさんや関係各所に仕事が発生し、会場にも

      • 文化のこと、そして願い

        「文化」って、遠くにあるものじゃないんですよ。 例えば、お気に入りの音楽。何年も履いている靴、定番のおかず。部屋へ花を飾ること、眠る前に開く本。 ささやかだけれど、日々の生活に根を張って、時に自分を優しく支えてくれる、その存在こそが「文化」なのです。 今、その「文化」が、コロナ禍によって、息もつけないような苦境に追い込まれています。 なかでも、最も大きな影響を受けているのが、エンタメ、芸能の世界です。 ライブ、コンサート、舞台……あなたは行きたかった場所に行けましたか?大切な

        • 作り手と受け手のこと/表現をすることの延長に

          前回のnoteで「作り手と受け手は、等しく表現の場に存在する」と書いた。 この「表現の場」において、自身の作品を制作・発表する「作り手」は、「種まく者、花を咲かせる者」であり、「受け手」はそれを「享受する者」と思われがちだが、それは違う。 どんな分野のプロフェッショナルでも、「作り手」である前に、何らかの背景ある「受け手」であったはずで、それをきっかけや足掛かりとして「作り手」になるものだ。 また、「受け手」とは「作り手」の世界を愛し、拡げる存在である。「作り手」がひとり口ず

        文化という価値に対して、お金と敬意を「払う」。今なら、推しに課金すると言えばいいのかな。 日々享受してきた音楽や舞台が、よりかけがえのない存在であることに、図らずも気付いてしまった、今。我々にできるのは、提供されるコンテンツに、対価を払い、同時に敬意を払って受け取ることかなと。

          表現をすること

          私が「作り手」として、何らかの作品を発表するとき、相応の覚悟を持って公開している。「受け手」の大切な世界観に踏み込むのだから、趣味だ、素人だというのは、言い訳のように思える。勿論、作品の質やレベルと比例するものではないが、少なくとも発表する時点では、完璧な状態を目指す。 これは私が自分自身と交わした契約のようなもので、他者に当てはまるとは全く考えていない。 表現の場とは、誰の自由も思想も奪わない、広く平らかな場所だ。作り手も、そして受け手も、等しくこの場に存在していて、どんな

          表現をすること

          夏のはじめに。ゆうやみ、って口にしたときの、やさしさと寂しさ。そのさなかに、青く繁った木立を渡る風が、わたしのことも揺らしてゆく。その気持ちとか、感覚とかに名前をつけることはできないし、まして詩にすることもできない。ただ、黙って風のなかに立っていたいだけ。

          夏のはじめに。ゆうやみ、って口にしたときの、やさしさと寂しさ。そのさなかに、青く繁った木立を渡る風が、わたしのことも揺らしてゆく。その気持ちとか、感覚とかに名前をつけることはできないし、まして詩にすることもできない。ただ、黙って風のなかに立っていたいだけ。

          いのちのこと

          人間は、自ら死を望む、唯一の生き物だ。猫も、魚も、カラスも、自死しない。 わたしたちは、呼吸をし、食事を摂り、ときに眠りながら、それぞれのことばで会話して、日々を縫うように閉じ、また解いて暮らしている。ある日には番(つが)い、粛々と子孫を残す者たちもいる。 大筋はいのちに従っているのであり、多くはこの流れに逆らうことなく最期を迎える。 偶(たま)さか、捕食や病、事故でいのちを落とす者もいるが、それも淀みない流れのひとつ、いのちそのものに禍福はない。 ところが、人間だけは違う。

          いのちのこと