「副業してもいいですか?」と社員に聞かれるまでにやっておきたいこと
こんにちは!
社会保険労務士を生業として、中小企業の雇用環境の整備を行っております、やはだと申します。学生時代のあだ名”つーじー”で活動する時もあります。
今日のテーマは≪副業・兼業について≫。
開業社労士の中でも、仕事が安定するまではアルバイトで生計を立てるなんていうことはザラです。これはある意味、兼業。
食えるようになるには何でも時間がかかるものですよね。かく言う私も、何か割のいいバイトがあればそっちに飛びつきたいなー、と思うことも。(基本、好奇心旺盛なので何でもやってみたいタイプ)
厚生労働省のモデル就業規則から副業禁止の条文が削除されたのが確か2018年のこと。
以降、働く人のキャリア開発、また企業側のメリットとしてイノベーション促進が期待されることもあり、大企業を中心に、副業・兼業が推進される流れになっています。
原則禁止から原則容認へ
①本業の職務専念義務・競業避止義務
②本人の職業選択の自由
これまでは①の方が重視されていたために副業を原則禁止とする企業が大多数でした。
②の視点や柔軟な働き方への変化、時代状況の変容により、原則解禁と扱う企業が増えています。
私のお客様でも、本業の仕事に影響を及ぼさないことを条件に副業を可能としたり、人材活用の道を広げることを目的に副業の社員を募る、という動きも出ています。
ただし原則解禁・原則容認でも原則は原則として、例外を設け禁止事項を定めていくことが、会社のリスク管理としては必要です。
たとえば副業禁止とするのは以下の場合。
①競業避止義務、営業秘密が漏洩するおそれがある場合
②本業先の信用や品位を害するおそれがある場合
③本業先での労務提供が困難となる、長時間労働の副業・兼業など
この辺り、規程で明文化するのは必要となりますね。
副業・兼業に関する労務トラブル事例
2021年の10月、公務員(某市職員)が副業でライトノベルを書いて2年間で320万円の収入を得ていた、と話題になりました。
ただし、公務員ラノベ作家が誕生・新たな働き方を実現した!というような華々しいニュースではありません。ある理由を元に市からの懲戒処分を受けたためにニュースになったのでした。
副業禁止の規定にでも触れてしまったのでしょうか?
堺屋太一さんは通商産業省の官僚時代に『油断』や『団塊の世代』を発表しています。
堺屋さんを例としてあげるのはケースが違うので相応しくないかもしれません。でもこれまでも二足のわらじを履いて作家活動をしていた人は枚挙に暇がないほどで、その中には普段は公僕として職責を全うしてきた人も少なからず存在しました。
つまり公務員がすなわち作家(副業)をするのはけしからんというわけでも 、公務員が文芸活動を行うのは禁止というわけでもなさそうです。
当のニュースにも、その辺の事情は書いています。
https://www.asahi.com/articles/ASPBN75R1PBNULOB032.html
記事によると平塚市の職員が停職処分になったのは、ライトノベルを執筆連載していたのが病気療養による『休職期間中』であったためです。
そもそも病気療養期間中には、仕事に専念する義務はありません。(通常の労働契約には職務専念義務が付随して生ずるが、免除される)
代わりに職務に復帰するため療養に専念する義務が生じてきます。副業・兼業とは離れますがこの辺も規定で明文化しておきたいところ。
元職員の場合、どんな病気かはわかりませんが、どこかに外出するわけでもないし、外に出ず自宅内で、なんならスマホ一台で完結出来る作業がお金になる、と思ったらつい出来心で執筆活動をするという心情も何となく理解できます。
とはいえ…ですよね。休職中でも身分は保障され公務員共済等には加入したままのはず。病気療養に専念していないことを理由に市が処分をくだすのはもっともなことです。
兼業の話に戻ります。
この場合、元職員の方が【適正な申請に基づいて】職務に影響のない範囲で(休職期間中ではなく、通常勤務をしている時などに)作家活動を行っていれば、何ら問題はなかったと考えられます。
以上、「副業・兼業をしたいと申し出を受ける事前の準備編」をお届けしました。では実際に「副業したいです」と言われたらどうするか…、それはまた機会をあらためて。
最後までお読みいただき、ありがとうございます♡
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