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家にやってきた、憧れのあの香り

自分でも気付かぬうちに、好きになっていた物ってないだろうか。

私はスパイスカレーが好きなことに、自分で気づいていなかった。

子供が生まれる前は、友人とランチに行くことも多かった。

「何食べる?」

「カレーかなぁ」

私は「カレーかなぁ」、この言葉を何度も繰り返していたようだった。

ある日友人に、「本当カレー好きだね〜」と言われて驚いた。

言われた直後は、私が「カレー好き」だなんて、何を言うんだろうと不審に思った。

だって私はカレーは、好きではない。

家で食べるカレーほど、食べ飽きた物はない。
だからカレーは好きじゃない。

でも私は外では、確かにカレーを食べることが多かった。好きなカレー屋さんも何軒もあった。

「確かに外で食べるカレーは好きだな」

銀座にあるグルガオンというカレー屋も好きで、良く通っていた。

丸いナンにチーズがたっぷり挟んであるチーズクルチャは、足を運んだら必ず食べて欲しい。

バターチキンは必須で、合わせてほうれん草カレーなど新たな味を食べるのも楽しかった。


去年までは門前仲町に住んでいたので、木場にあるカマルプールにも良く行っていた。

ここのカレーも、最高だ。チーズクルチャももちろんある。店内はこじんまりとしているので、少し並ぶこともあるがすぐに入れる。

夜は飲み屋さんとしても、おつまみメニューも充実している。


やっぱり私はカレーが好きなようである。

私はスパイスカレーが好きなのだ。

家では食べられないカレー。
だから外食の度に、スパイスカレーを求めていた。

引っ越してからスパイスカレーは、ご無沙汰してしまっていた。

寂しく思っていた頃に、Twitterで出会ったのが「印度カリー子さん」。



印度カリー子さんは、スパイスカレーの様々なメニューを短時間で簡単に作れることを紹介してくれていた。

家でスパイスカレーが作れるのか。

印度カリー子さんのスパイスを買ってみることにした。

基本のタクコスパイスセットに、大好きなバターチキンが作れるセット。

本当に自分に、スパイスカレーが作れるのだろうか。

少しの緊張と、楽しみが混ざった高揚感を感じる。

バターチキンが食べたかったので、まずバターチキンから作ることにした。

印度カリー子さんのレシピを元に、30分くらいで完成。

味を確かめる。

お、美味しい。

家でスパイスカレーが食べられるなんて。

バターチキンが食べられるなんて。

30分で出来上がるなんて。

本当に感動した。

気を良くした私は3日後、また基本のタクコスパイスセットでキーマカレーを作ることに。

焦がし玉ねぎは、2度目なので感覚を掴んでいた。
かなり深めの焦茶色にまで炒めるのだ。

再び30分ほどで完成。

味を確かめる。

お、美味しい。

タクコスパイスは、辛味はない。
家にあるガラムマサラで辛味をプラスした。

夫はキーマカレーが好きなようで、お店の味だと喜んでくれた。 

遠い憧れの存在だったスパイスカレー。

家で食べられる日が来るなんて、思ってもみなかったスパイスカレー。

無意識のうちに魅了されていた、あの香りを身近な存在に変えてくれた。

印度カリー子さんには、本当に感謝している。

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