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のざわちかこ/古典を未来に
2024年9月14日 21:18
大河ドラマ「光る君へ」は期待を上回る、おもしろさ。系図をみたら「光る君へ」の俳優の顔が浮かんでくるようになりました。平安時代が身近に感じられて、楽しい!さて、第34回を見ていると、まひろ(紫式部)の弟、惟規が「神の斎垣を越えるかも、俺」なんて言ってましたね。え、歌学書の、あのエピソードやるの?それじゃあ、去年(2023年)の6月に、惟規が蔵人になるところまで書いた、その続きを書きますっ
2024年7月6日 10:13
避らぬ別れ古文では、人が避けることができない別れ、つまり死別を「避らぬ別れ」と言うことがあります。「世の中に避らぬ別れの無くもがな」(この世の中で死による別れなど無くなってほしい)と詠んだのは、在原業平。仲良くけんかしていた、紫式部と藤原宣孝ですが[結婚(1)、結婚(2)]、二人が結婚した1年後(1000年)に娘[大弐三位]が誕生、その翌年(1001年)の4月25日に、宣孝が亡くなります。
2024年1月11日 14:45
ツンデレ紫式部「ツンデレ」。短大の授業で百人一首の周防内侍の歌を解説したときの学生のコメントに、「ツンデレな解釈がおもしろかった」とあって、ツンデレって何?と思ったのが、この言葉を意識したきっかけです。この説明によると、紫式部は「ツン多め」かな。紫式部と藤原宣孝との、結婚前のやりとりを読んでいきましょう。紫式部、はじめは自分の歌ばかり並べていますね。996年の秋、紫式部は国司となっ
2024年1月8日 10:49
紫式部に近づくには読者が自分自身にひきつけて自由に解釈できるのが、古典の魅力。古典は楽しくなくっちゃ。2024年の大河ドラマの主役が紫式部に決まって、続々と関連本が出版されています。えーっとこの本の広告では、紫式部の裏の顔は「マイナス思考で/激ネガティブな/コミュ障」この評価はわりと一般的だけど、ほんとにそう?だれかの解釈をまるごと受け入れるのはつまらない。可能なかぎり、生の資
2024年1月8日 20:40
紫式部悩みの相談室紫式部に近づきたい 女ともだち(1)では紫式部集1、2、6、7番の歌を読みました。紫式部と友達の和歌の贈答をさらに読んでいきましょう。*詞書と和歌を現代語に訳しました。和歌の現代語訳の上の▼は紫式部が詠んだ歌、▽は紫式部以外の人が詠んだ歌です。(八・九・一〇番)ーー都から遠く離れたところに、行こうか行くまいかと思い悩んでいる人が、山里から紅葉を折ってとどけてきた
2023年10月15日 12:44
須磨の秋 廊に立つ3人。左端が源氏の君です。目の前には庭の草花が咲き乱れ、沖には小さな舟、空には雁が列をつくって飛んでいるのが見えます。耳をすませば、舟人の歌声、雁の鳴き声、舟をこぐ楫の音‥‥。 絵になる景色ですねえ。ーーーーーー 須磨には、ますます物思いをつのらせる秋風が吹き、海はすこし遠いけれど、行平の中納言が、『関吹き越ゆる』と詠んだという浦波が、夜な夜な実にとても近くに聞こえて
2023年9月16日 17:02
若紫は11歳昔は数え年なので、お正月が来るとみんな、ひとつ年をとります。たとえば、12月に生まれると、生まれた時に1歳なので、あっという間に、2歳!この絵は、二条院の西対の元日の様子です。二条院は、元は桐壺更衣の実家でしたが、源氏の君が元服したときに、帝がリフォームさせて源氏の君の邸にしました。源氏の君をはじめとした絵の中の人物の視線の先にいる、左側の女の子が若紫でしょうか。豪華なお人形遊
2023年9月6日 10:52
内大臣家(弘徽殿女御の実家)で催された藤花の宴。遅咲きの桜も2本描かれています▼。ところで源氏の君、何をなさっているの?(左端)花宴の夜の出会い宮中で花宴が催された夜、源氏の君は、弘徽殿で出会った姫君と結ばれました。いつもの〈源氏も歩けば美女にあたる〉的な展開と思いきや、この出会いが、あとあと源氏の君が都から逃げ出す原因になっていきます。美しくも危険な出会い。その続きを。夜明けが近
2023年9月3日 14:18
照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき(月の光が明るすぎることもなく、暗すぎることもない、春の夜の朧月夜に優るのものはない)月がぼんやりと霞んで見える春の夜に、「朧月夜に似るものぞなき」と有名な和歌の一節を口ずさみながら、弘徽殿の細殿を歩いてくる姫君、それを見つめる源氏の君。どきどきする場面です。宮中の花宴 旧暦の2月20日、内裏の南殿(紫宸殿)の左近の桜の前で花見の宴が
2023年8月23日 15:43
六条御息所、京を離れる大河ドラマ「どうする家康」(2023)の6月の放送〈第23回〉で、瀬名と於愛の方が、「六条御息所との別れの場が大好きで」「藤壺との逢瀬は?」「あ、もうやだ、あそこ何度読んでも胸がどきどきして、顔が熱くなってしまう……」などと『源氏物語』についてキャピキャピ話していましたが、この絵は六条御息所との別れの場面です。御簾の中に半分身体をさしいれているのが、源氏の君。後ろを向
2023年7月9日 12:20
中の品の女性と中川の家で帚木の巻の冒頭、〈雨夜の品定め〉で男たちから経験談を聞かされて、源氏の君は中の品の女性に興味をもちます。父の桐壺帝の意向により宮中で育てられた源氏の君は、帝のお妃たちや宮中でお仕えする女房たちにいつも囲まれ、亡き東宮のお妃だった六条御息所ともお付き合いして、北の方は左大臣の娘の葵の上。中の品の女性となら、もっと気楽な恋愛ができると思ったのでしょうね。「帚木」巻の後半と「
2023年6月22日 21:25
ヒロイン登場『サザエさん』のように、登場人物の年齢がずっと変わらない作品もありますが、『源氏物語』は年代記、私たち読者は、源氏の君が生まれる前――お母さんの桐壺更衣が宮中で意地悪されているところから、ずっと彼の成長を追いかけています。そこにもう一人、成長が楽しみな、愛らしい少女が登場! 源氏の君18歳の春、瘧病(マラリアの一種かといわれている)にかかってしまった源氏の君は、治療のため北山に
2023年6月16日 14:40
荒れた邸で琴(きん)を弾く姫君読者は知っているのに、物語の中の人は知らないことってありますよね。『源氏物語』をあまり読んだことがない人でも、〈末摘花の姫君〉と聞くと、ああ、あの・・・。でも、この場面では、源氏の君はなにも知りません。いやむしろ、末摘花の姫君に恋い焦がれている状態。源氏の君は、乳母子*の大輔の命婦から〈亡くなった常陸の親王が、晩年にもうけて、とてもかわいがっておられた姫君
2023年6月7日 21:42
紫式部の周りをぐるっと大ベストセラー作家、紫式部さんはどんな人?2024年の大河ドラマ「光る君へ」ではどのように描かれるのかな?平安時代が立体的に再現されるので、とても楽しみです。史実と違う!と怒り出す人もきっとあらわれるでしょうが、ほほう、アレをそう解釈しますかなどと思いながら観るのも楽しいはず。そこでいろいろなアレコレを、できるだけ紫式部に近い時代に書かれた本によって、紹介していこ