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紫式部に近づきたい

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いろいろな方向から紫式部と『源氏物語』に近づいてみます。ぜひ、ご一緒に。
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#枕草子

光る君へ de『源氏物語』~帝の悲しみ

光る君へ de『源氏物語』~帝の悲しみ

一条天皇と皇后定子と『枕草子』

大河ドラマ「光る君へ」も、いよいよ後半に入ります。『枕草子』が誕生する場面、素敵でしたね。何度も録画を見直してしまいます。そして、皇后定子が亡くなった後に、光り輝いていた定子の姿(日記的章段と言われる部分)を書き継いだというのが、「光る君へ」が採用した解釈でした。

鎌倉時代初期に書かれた最古の文芸評論『無名草子』も、「定子さまがすばらしく最も輝いていて、帝のご寵

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光る君へ de『源氏物語』~源氏の君と若紫

光る君へ de『源氏物語』~源氏の君と若紫

ディベートを楽しむ女房たち

「光る君へ」第35回、中宮彰子さまの前で、女房たちが『源氏物語』の源氏の君と若紫について、あれこれ論じ合っていました。平安時代も、現代の読書会のようなことをおこなっていて、その雰囲気が伝わってきます。

『枕草子』79段には、『宇津保物語』に登場する、仲忠と涼の優劣を、中宮定子の前で女房たちが議論したと記されています。仲忠が、子どものころに母と木の洞(うつほ)で暮らし

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絵で読む『源氏物語』これはどんな場面?〜源氏物語絵色紙帖 末摘花

絵で読む『源氏物語』これはどんな場面?〜源氏物語絵色紙帖 末摘花

荒れた邸で琴(きん)を弾く姫君

読者は知っているのに、物語の中の人は知らないことってありますよね。『源氏物語』をあまり読んだことがない人でも、〈末摘花の姫君〉と聞くと、ああ、あの・・・。

でも、この場面では、源氏の君はなにも知りません。いやむしろ、末摘花の姫君に恋い焦がれている状態。

源氏の君は、乳母子*の大輔の命婦から〈亡くなった常陸の親王が、晩年にもうけて、とてもかわいがっておられた姫君

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紫式部に近づきたい 平安時代の葵祭と賀茂斎院

紫式部に近づきたい 平安時代の葵祭と賀茂斎院

葵祭は賀茂祭

賀茂祭は、参加する人が葵を身につけるので、葵祭ともいいます。その起源は奈良時代ですが、平安時代に入ると、内親王の中から選ばれた賀茂斎院が祭に奉仕しました。平安時代の文学作品にも、賀茂祭の行列を見物する場面が描かれています。

紫式部や清少納言の時代の斎院は、村上天皇の皇女、選子内親王です。円融天皇から後一条天皇までの五代、50年余りの長きにわたって斎院をつとめたので、大斎院と呼ばれ

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