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短編と掌編とショートショートと創作エッセイの違いを調べてみた。
「何書いてるんですか?」
先日こう聞かれて、困ったんです。
うん。わたし、何を書いているんだろ。
短編小説。
掌編小説。
ショートショート。
創作エッセイ。
小説?短編?ショートショート?記事一覧を眺めてみると、なんだかいろいろつけている。Hey!You! なに書いてるん題!……意外とわからん。
迷いに迷って、「インターネットで何かを書いているひとです」と答えたのだけど。
ちゃんとした違いもわからないまま、書くのが好きで書いて書いて書いて今日ここまで来てしまった。いいんだろうか。たぶん、ダメではない。でもよくもない気がする。
ほら、飛行機なんて、なぜ飛ぶのかわからないまま全然乗っちゃうし。飛んじゃうし。どこでも行けちゃうし。なのに、いざ言葉ってなると、ふだん使いで身近だから気になっちゃう。
言葉って、空中戦。意味は分かるけど、お互いどんな風に感じて、どう使って、何を伝えるかは人それぞれ。むずかしいけど、たいだい同じ領域の定義できてますよね???って前提で、伝え合うからこそおもしろい。赤って書いても、全員想像する赤色って違うんだもの。無理ゲースタートよ~いドンだから。
そう。だからこそ、できれば、できるだけちゃんとしておきたいって感覚、ありますよね。私もあります。
「何書いてるんですか?」
読む人に向けた、入り口門構えをどうするか。どの言葉でお出迎えするかで、読む前の枠、想像の形ってだいぶ変わる。例えば「桃太郎の鬼退治」にタイトルをつけるとして……、
短編小説「桃太郎の鬼退治」
掌編小説「桃太郎の鬼退治」
ショートショート「桃太郎の鬼退治」
創作エッセイ「桃太郎の鬼退治」
お~~~!!!かなり印象変わる~~~!!!
(エッセイつけると、なんかどろついておもしろそうだな桃太郎……!!)こりゃすごい。
ということで、このままじゃあかんよな……!よ~し!と、それぞれの違いを調べてみました!
きっかけはみずPさん!
短編小説と掌編小説とショートショートと創作エッセイと、ぜんぶちゃんと違いがわからないまま使ってるよ!ふんいき!
— 野やぎ🐐 (@noyagi_88) September 16, 2022
そんな私が違いを調べてみた!の記事を読みたさがあります🙋♂️
— みずのけいすけ(みずP) (@mikkemac) September 16, 2022
あざます!!!!
+
ちなみに調べる前の私的区分けはこんな感じ↓
短編小説→短い小説。一人称でも三人称でもOKなやつ。
掌編小説→使ったことない。短い小説。文学の香りがする。
ショートショート→さっと読める。仕掛けがあるやるも多い。
創作エッセイ→体験をもとにしたもの。エピソードにぶつかったときの感情を味わえるもの。
【やること】
・それぞれの違いを調べてみる。
・自分の認識とズレがあったら、ちょっと考えてみる
・今後作品を投稿するときのタイトルの参考にする。
レッツゴー!
短編小説って?
調べものをするのに便利なイマとなりました。
まずは、お世話になりまくっているコトバンクさんでそれぞれの意味を調べてみます。
短編小説
たんぺんしょうせつ
short story
短い虚構の物語。長編小説 novelとの違いは,作中人物の性格が事件を通じて展開,発展するよりは,集約的な構成のなかで人生の一断面をとらえ,その特徴の一面が強調される点にある。短編小説の発達は雑誌という発表機関の発達と深くかかわり,その技法の理論家として有名なのは,E.A.ポーである。彼は半時間から2時間で読了できるような,集中的効果を与える作品を考え,その理論に基づいて実作を試みた。短編小説はポーを先駆に,ロシアのチェーホフやフランスのモーパッサンらによって完成に達した。近代日本文学において占める位置はさらに重要で,「私小説」 (志賀直哉ら) ,伝統的な「説話文学」 (芥川龍之介ら) との関連など多様な発達を示した。
(ブリタニカを引用したのは、かっこいいからです。図書館にあったな、ブリタニカ大百科的なやつ)
短編小説は、長編小説がまずあって、そこから雑誌への掲載という制約から生まれたものっぽい。
ほかの出展をみても、長編・中編・短編と、違いは文量で見極めている記載が多い。
なるほど、なるほど。たしかに文庫本でまるまる一作だと短編とは言わないよね。2~3作くらいのやつも、短編集とは書いてないもんなぁ。それ以下の文量のものを短編小説というみたい。内容による縛りはあんまりなさそう。
掌編小説って?
さっそくふたつ目で挫折したですが、コトバンクの掌編小説にはブリタニカがなかった……。ぐむう。
日本国語大辞典より引用してみる。
しょうへん‐しょうせつ
シャウヘンセウセツ
【掌編小説】
〘名〙 短編よりさらに短い小説の形式。機知に富んだ、軽妙な小品。フランスにおけるコントや二行小説にあたる。てのひらの小説。大正一五年(一九二六)に刊行された川端康成の「感情装飾」に収められている作品を、千葉亀雄が称したことばに基づく。
てのひらの小説って言葉の響きがめっちゃいい~~~!!
しかし、いまやスマホで読める導線がほとんどだから、現代ではてのひらの小説の意味がでかそう。
てのひらから、宇宙へ余裕ですぞ。
わたしが感じてた文学的要素の縛りはなくて、あれ、これって意味的にはツイッターとかすべて掌編なのでは???そしておフランスにおける二行小説のほうが気になりすぎる……!なにそれ???
ショートショートって?
きましたショートショート!よかった…。ショートショートはちゃんとブリタニカにありました。引用します。
ショートショート
short-short
小説を長さで分けて,長編 (原稿用紙 300枚以上) ,中編 (同 100~300枚) ,短編 (同 20~60枚) と考えるのが普通である。これを海外では novel,novella,short storyと呼ぶ。したがって,ショートショートはこの短編より短く,きりりとシャープな小説を意味することになる。その中に,完全なプロット,新鮮なアイデア,意外な結末の3要素を備え,短編小説に必要なあらゆる技法を内包することを条件にする。日本では以前,川端康成の「掌の小説」という試みもあったが,1969年星新一の作品が直木賞候補となって以来,よく聞かれるようになった。最近のビジュアルな雑誌の中の気軽な読み物として重宝がられている。
完全なプロット!新鮮なアイデア!意外な結末の3要素を備え、短編小説に必要なあらゆる技法を内包することを条件……。まじでか!!!!社長級のレベル感や!!!!ハードルが高すぎる!!!!
ショートショートって、さっと読めてすっと入るくらいに思ってた。全然違う。
あとショートショートって最近の言葉かと思ってたのだけど、松本清張が「最近はやりのショートショートは私には合わない」とか言っていたらしく、もう50年前からある言葉なんだね。びっくり。
インターネットで書きものがしやすくなって、この辺りは受け取り手の感度も変わってきてそう。
創作エッセイって?
コトバンクにはそもそも創作エッセイはなくて、かなり真剣に思い出そうとしたのだけど、この言葉にはじめて出会ったときが思い出せない……。エッセイ(随筆)を引用します。
随筆
ずいひつ
essay
ある題目をめぐって,親しみやすい散文で筆のおもむくままに語るという形式で書かれた文章。題目や筆者の人柄,姿勢などによって多くの種類があるが,ヨーロッパではフランスのモンテーニュの『エセー』の親しみやすい対話風のスタイルと,イギリスの F.ベーコンの『随筆集』のやや硬くて格言風のスタイルが対照的である。イギリスの随筆はモンテーニュの流れをも受入れて独特の伝統をつくり上げたが,その中心人物は『エリア随筆』の作者 C.ラムである。日本では,清少納言の『枕草子』や吉田兼好の『徒然草』,鴨長明の『方丈記』などが古典的な随筆としてよく知られている。近代のものとしては,中江兆民の『一年有半』,正岡子規の『病牀六尺』などがあり,夏目漱石もすぐれた随筆を残している。
ちょっと難しいけど、ようするにエッセイってやっぱり中身と一緒に作者も読むというか、どんな人が書いたかの文脈ありきのテキストって気がする。エッセイかどうかは中身と文脈ってことだね!
文量でのラインはなさそうだけど、例えば長編小説くらいのエッセイがあってもいいのかな。それだと私小説ってなりそうな気がする。
あと、表記が「エッセー」もけっこうあって、語尾がえの音だとちょっと抜けてる感じがして可笑しかった。エッセーーーー、、、、
創作がつくエッセイだと、体験をもとに組み立てなおして、想像上の作者の文脈含めて読んでほしいものって感じだろうか。構造上一人称で書くと思うし、短い私小説ってくらいのおさまりかも。
考える:結局違いはなんだ???
それぞれを分ける視点は、主に文量と中身ふたつだった。
文量で言えばこんな具体。
短編小説>ショートショート>掌編小説
量問わず・・・エッセイ
中身で言えばこんな具合。
短編小説:問わない。
ショートショート:完全なプロット・新鮮なアイデア・意外な結末を備えてきりりとシャープ。
掌編小説:機知に富んだ、軽妙な小品。
エッセイ:親しみやすく作者も一緒に読む感。
うーん、わかったようなわからないような。作品って視点や読み解き方で変わるから、中身の方はぶっちゃけ宣言というか、どれでも大丈夫ってなりそう。
文量も本・雑誌・原稿用紙で換算することが、インターネットで読める作品に果たしてハマるのかは謎。むずかしいな。単位が変革してきてるような気がする。
結論:結局なにつけるの?
調べた結果、それぞれ見方によってベン図のように重なっている領域もありました。いや、全然思ってたのと違ったな……。びっくり。
調べた結果、絶対これ!という決めはなさそうでしたので……、
結論:作品をどう届けたいかで、好きにつけたらいい。
ただ、文量に応じたものを選ぶと読む前にかかる時間を伝えやすいし、作品の質感に対して一定期待値をコントロールできる気がするので、近しいものをつけておくと親切だなぁと思いました。
「何書いてるんですか?」
うん。やっぱり答えられぬ~~~~!!!笑
でもいろんな枠を知れておもしろかった!ジャンルの宣言込みで、読み手さんへの届け方も作品にしていけたらいいなぁ。
引き続き、自分のテキストを探していきたいと思います。
それぞれの違いや印象、受け取り方考え方あったら、ぜひぜひ教えてくださいね〜〜!!!
おわり。
おまけ:noteでは???
ぶっちゃけnoteは小説が読まれにくいのですが、ショートショートだと比較的お手に取ってタップってされやすい印象。やっぱり一定文量があるものは身構えてしまうのかも。
あと、しおり機能がないので「短い」ことが読まれやすさのメリットのひとつなのもある。
でも、読み手さんもそれぞれの言葉に印象があるから、やっぱり作品の入り口でどの枠から入ってほしいかを付けるのが一番なのかもしれない。
待てうかつに近づくなエッセイにされるぞ あ、ああ……あー!ありがとうございます!!