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頭おかしいのか?

1.頭おかしいのか?


自分の中でアイデアが溢れている時に限って、こう言われることが多かった。別の言い方で「何を考えているの?」という表現だったりもしていたが、遠回しなだけで、意味は同じことだと認識していた。「どうしてその発想ができるのか」と聞いてくれる人はまだ良い方で、むしろ軽蔑の言葉として言ってくる人が自分の周りには相当数いた。
独創的な発想とは、人とアイデアを出し合って生み出すことはほぼない。独創的な発想ができて、アウトプットできる人がどれだけいるのかという話。「頭おかしい」って言われることが恥ずかしいと思った時点で、その発想がアウトプットされることがない。今しか出てこない言葉が必ずあって、メモにして文章化したところでニュアンスが変わってしまえば、「頭おかしい」発想にますます拍車がかかってしまう。


2.それは最高の誉め言葉


「頭おかしい」発想の出来る人は、普通では思いつくことのない情熱で物事を考える事の出来る人。普通に思いつかない発想にしか成し得ない成功が隠れているということになるのではないか。周りが驚く発想をアウトプットするくらいで丁度いいと思っていて、常識や当たり前の切り口でしか考えられない発想には面白いものなどないと思っているから。
自分の人生での分岐点では、必ず「頭おかしい」と思いながら接してくる人が近くに大勢いた。直接言うことも無くはないが、噂をしているのが耳に入ることもあったし、理由もなく否定している人もいた。でも、それだけインパクトのある発想だったから、興味本位で聞いてくる人もいた。興味で知りたいというだけの人を相手にすることはなかったが、「どうしてその発想が?」と言ってくれる人には説明することにしていた。それは共感を求めようという意識ではなく、こういう方法もあるという発想を伝えたいという思いだけだったし、そこまで話せば止める人もいなかったし止めてもらうつもりもなかった。


人のいない場所には要注意!(アルゼンチン)


3.どうしてアルゼンチンなのか


移住の時に一番聞かれた言葉がコレだった。自分の中にはアルゼンチンじゃなきゃいけないっていう理由はなかったけど、挑戦しようと思って選んだ生活拠点がたまたまアルゼンチンだったというだけのこと。いろいろな縁があってアルゼンチンが近く感じていたし、そんな縁があるんだから興味が沸いてくるのも普通のことだった。行こうと思ったタイミングでアルゼンチンの入国制限が緩和され(日本はまだだっけ?)、観光する外国人の入国ができるようになったという情報を見た時に、今しかないっていう風に感じたというだけのこと。
本当に大事な時というのは、「決断」「決心」なんて言っていたら前に進まない。決断に迷うような事柄ならやらない方が無難にいくのはわかっているから。そこには迷いがないから決断もなかったし、決めてからは「どうして
アルゼンチン」と聞かれても答えようがなかったのを覚えている。


4.本気なら相談する時間はない


相談して「止めろ」って言われて引き下がる様な案件なら、相談する必要もないし、その時間は無駄になる。本気なら相談するまでもなく、「報告」して先に進んでいくしかないというタイミングが人生では何回かあると思う。いきなり報告される側からすれば、「頭おかしい」という感覚になるのだと思うが、もう決定事項なので「頭おかしい」を励ましの誉め言葉として前に突き進む以外に選択肢はないのである。当時、勤務していた会社に退職を申し入れした時も、突然の報告に空気が止まった記憶がある。会社(企業)として統制を取る事を日常としている環境での報告は、その報告にどう言葉をかけていいのかもわからなかったのだと思う。そこから先はゴシップ的に聞かれることばかりで、余計なお世話な言葉が多かったように思うが、独創的な発想の根幹はそういうこと。


5.アルゼンチンに来てから


当たり前なのだが言語の問題があり、今しか出てこない言葉を伝えられない場面が多くなってきている。こんな言葉をかけてあげたいって思うことはメモするようにしているが、日々の刺激が多すぎて書き切れなくなってもいる。このもどかしさを言語の習得に繋げられたら良いとは思うが、人に響く表現というレベルになるのにはまだ先かもしれない。
逆に言えば、純粋な気持ちで相手の言動を受け入れることができるし、言葉の駆け引きもいらないので、余計な情報にまみれて傷つくようなこともない。わからないからこそ感じることのできる感性、何だか子供に戻ったような気持ちで人と接していけば良いんじゃないかとさえ思っている。
アルゼンチンで赤ん坊を見る度に、「この子たちと同じレベルで話せるようになろう」って思うことにしている。そういう意味では、言語ができないってことが小さな子供と同じレベルであるって最近になって思う。言葉ができないからこそ、伝わったことを喜べる感性を磨いていって伝える引き出しを増やしていこうと思う。

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