2023年9月の本棚
9月に読んだマンガをまとめていきます。
ゆうやけトリップ 2 / ともひ(芳文社)
新聞部員の茜は町の心霊スポット取材を通して、仲良しの雨村さんと二人だけの放課後を過ごしていく。ノスタルジックほんわかホラー。
怪談の正体はどれも単なる枯れ尾花ですが、それがそうだとわかった後に流れる優しい時間や消えてなくなってしまいそうな町の情景、二人の心地良い会話、いつまでも読んでいたい。
約2年半ぶりの待ちに待っていた新刊。1巻と比べてだいぶ分厚かった(1巻137ページ、2巻201ページ)のも嬉しいポイント。「ガチャポコ」の語感が好きすぎて何度も口にしてしまう。
【完】本の虫ミミズクくん 3 / カラシユニコ(小学館)
ミミズクくんの周りの世界も、ミミズクくん自身も、変化していく。その流れは止められない。小学校を卒業し、中学生になったミミズクくんはあることがきっかけで本を読めなくなってしまう。あれだけ大好きだった読書と距離を置いて考える、ミミズクくんのたった一つの勝味とは。
残念ながら打ち切りという形で幕を閉じてしまった文学少年の読書ワールド。正直めちゃくちゃ悲しい。これから先の自分の読書体験、延いては世の中のあらゆるエンタメを享受していく上での光になってくれるような、そんな素敵な作品でした。ありがとう。
裏表紙のあらすじに超初歩的な誤植(「3集」と表記されるところが「2集」と表記されていた)があったことだけは、一読者の分際で言わせてもらうけど、ありえない。
打ち切り自体は商業誌連載のさだめみたいなところもあるし、コミックス派なのでデカい口は叩けませんが、だからこそ出版社には最終巻を、作者と読者の手元に残る最後の一冊として、責任持って最高の状態で世に出してほしかった。あまりにもやるせない。電子版だけどもちゃんと更新してほしいです。
これ描いて死ね 4 / とよ田みのる(小学館)
沢山の漫画に触れて育った相が目指すのは、それらを超える漫画ではなく、あくまで自分の好きを貫く漫画。プロの漫画家として地獄の一片を見てきた手島先生の目に、その姿はとても眩しく見える。
第15話を何度読み返してもボロボロ泣いてしまう。漫画を描くことの厳しさを描きつつも、それでもやっぱり「好き」を追い求めるキャラクターを描く。それが良いとか悪いとかではなくて、これはそういう漫画なんだと、いいから黙って読めと、そう言われている気がします。
【完】犬とサンドバッグ 下 / 尾崎かおり(小学館)
居心地の悪い島を飛び出し、一人ぼっちの東京の街で、寂しさを埋めてくれるような人を好きになった。でもその人には家族がいて、やっぱりここにも自分の居場所はないのかと島に戻ると、一匹の犬に懐かれた。犬は怪我をしていたけれど、それでもどこまでもついてきて、自分の日々を照らしてくれた。どうしようもないと思っていた自分の人生のきらめきを知り、どうしようもないなりにそれが続いていくことを、今は愛しく思える。
人生は思った以上に醜くて上手くいかないけど、思ったほど捨てたもんでもない。上下巻に良さみが詰まった作品でした。下巻は発行部数が限りなく少ないらしく、紙版の値段が跳ね上がっているようです。
【新】だれでも抱けるキミが好き 1 / 武田スーパー(講談社)
好きになった人は、ヤリマンギャルでした──。
童貞陰キャ男子のゴトウは、片想い相手のギャル・アガワさんが同級生の男子と空き教室でセックスをしている場面を目撃してしまう。絶望するゴトウだったが、当のアガワさんは超ヤリマンで、自分ともヤってくれると言う。困惑しながらも自分の欲望に正直に、それはもうめちゃくちゃまぐわったゴトウだったが、同時に情緒もめちゃくちゃになってしまう。
”一線を越えた”状況から始まる関係。性交描写もガッツリ描かれているので苦手な方は注意が必要ですが、そんなことよりももっと奥にあるテーマが切なすぎて堪らなく面白かったです。
性関係を結んだ二人の”意識の差”から生まれる葛藤。満たされたはずなのに満たされない欲求。あとがきに「大丈夫!!ハッピーエンドだから!!」と書かれていたけど、この場合における「ハッピーエンド」って一体何なんだ。
【新】生まれ変わるなら犬がいい 1 / 堤葎子(徳間書店)
山で遭難していたクズ男を、過去に失踪した愛犬と”思い込んで”保護し世話する少女の話。少女の言動が完全に狂っていてとにかく怖い。クズ男もクズ男で、表面的な女性付き合いしかしてこなかったので少女に犬として愛情を注がれることで初めて愛を知り犬として飼われることを受け入れていく。
漫画でちょくちょくある「飼う・飼われる」系のラブコメとは別物の狂気じみた微ホラー。人間不信の二人(一人と一匹)の歪な関係の行方が気になります。めちゃ面白かった!
【新】恋せよまやかし天使ども 1 / 卯月ココ(講談社)
周囲からの期待に応えるべく完璧美少女を”演じてきた”桂おとぎ。人々の心を撃ち抜く彼女についた異名は「心撃の天使」。そんな彼女が普段誰にも見せない裏の顔を、あろうことか気になる完璧美男子・一刻に見られてしまう。しかし、彼にも裏の顔があったのだ!完璧美男美女を装う二人の”共犯ギャップ”ラブコメ。
竹を割ったような性格のヒロイン大好きマンなので、まんまとハマりました。少女漫画のヒロインはこれくらい自分で動けるキャラクターの方が読みやすくて良い。一刻くんはちょっとロン毛すぎるけど表も裏もかっこいいのでOKです。
【新】どく・どく・もり・もり 1 / 背川昇(ヒーローズ)
キノコの妖精たちが暮らす平和な村が一人の毒キノコに皆殺しにされた。一人生き残ったキノコ少女は毒キノコへの復讐を誓う。
擬人化されたキノコたちによるダークファンタジー。ベニテングダケとツキヨダケ(どちらも毒キノコ)が人間の死体を探す旅に出るという流れですが、どう展開されていくかはまだ謎です。
いわゆる「可愛い顔してグロいやつ」系なので、苦手な方は要注意。あと単純に食べ物としてのキノコが苦手な方にもおすすめできないかも。自分はキノコ大好きですが、なんか嫌いになってしまいそうになった。でも心が不安定になる感じは読んでいて楽しいです。
ベニテンちゃん(キノコなので性別はない)の北海道サイコロキャラメルバッグが可愛い。
フールナイト 7 / 安田佳澄(小学館)
アイヴィーを生み出したという九大教授の元へと遂に辿り着いたトーシローとヨミコ。明かされるアイヴィーの誕生の秘密と悲しい過去の記憶。”0”から”1”になれなかった少年の、悲痛な叫びがこだまする。
辛い。辛すぎる。辛すぎて──、面白すぎる。
クロシオカレント 2 / こかむも(KADOKAWA)
異界の地、高知で紡がれる人や人じゃない者たちの物語。1巻は割とポカーンとしている間に目の前をのそのそと通り過ぎて行った感じだったけど、2巻はその通り過ぎていくキャラクターたちの表情まで分かって楽しめたと思う。
世界がバグっていること以外は、ごくごくありふれた等身大の日常が、高知にはある。気がつくと、この世界にどんどん惹きつけられている自分がいる。マナちゃん可愛いよマナちゃん…
漫画に「整合性」なんてものは必要なくて、可愛くて楽しくて面白ければそれでいいんだと思うます。
【新・完】国家心中 枝田作品集 / 枝田(集英社)
新進気鋭の枝田先生の初短編集。『めがねの弔い』と『幸福な食卓』しか読んだことなかったけど『国家心中』も面白かった。でもやっぱり『幸福な食卓』が好きすぎる。
前にも言った気がするけど短編集の各話解説を読むのが好きです。
キャラの顔がとても好きなのでオリジナルアニメのキャラ原案とかやってほしい。
【新】ウマ娘 プリティーダービー スターブロッサム 1 / 保谷伸・文殊咲ほか(集英社)
ウマ娘の次なるコミカライズはサクラローレルが凱旋門賞制覇を目指す物語。
シングレと比べて新米トレーナーとの二人三脚感が強く、派手さよりも愚直な雰囲気がまた違った味を醸し出していて良い感じです。
【新】MUJINA INTO THE DEEP 1 / 浅野いにお(小学館)
浅野いにお先生の新作。現代社会に溶け込む人権なき暗殺者”MUJINA”が悪を成敗していく、みたいな爽快アクションではなく、社会風刺・エログロ盛り盛りのいつも通りかつ新しい”いにおワールド”って感じでした。面白かったです。
【新】バットゥータ先生のグルメアンナイト 1 / 亀(秋田書店)
変人学者先生と奴隷少女の14世紀グルメ旅行記。良い意味でふわっとした読み味で肩肘張らずに楽しめます。某地球の歩き方風の表紙も楽しくてナイス。リタの奴隷らしからぬポジティブさとコミュ力の高さが可愛いくて面白いし、巻末の引きが最高だった。「正直ちょっと 興奮 する」
【新】半人前の恋人 1 / 川田大智(集英社)
美大受験を目指す男子高校生の伊吹進太郎は、ある日美術室で目つきの悪い女子と出会う。そんな彼女は実は和太鼓職人で──。ジャンプラにて連載中の奥手美術部男子×ツンデレ和太鼓職人女子の不器用ラブコメ。
ラブコメとしては少し地味目だけど、丁寧なほのぼのが良い感じでした。線とかがジャンプっぽくないな、と思ったらハルタ出身の方だった。
【新】ミモザイズム 1 / 松尾あき(小学館)
『きみのご冥福なんていのらない』の松尾あき先生の新作は、二世アーティストの芸術論漫画。キュレーターとして個展の企画をしながら小遣いを稼ぐ美大生・福沢が出会ったのは、超有名芸術家の実娘・花屋敷みもざという変人だった。彼女のお世辞にも高いとは言い難い画力と清々しいほど突き抜けたカリスマ性が、周囲の人間を惹き付けていく。
”本物”と”偽物”の違いは何なのか。”名画”とは。”芸術”とは。高尚なようで、ただの詭弁を並べているだけのような、そんな「ミモザイズム」にあなたもきっと目が離せなくなる、はず。
【新】冥天レストラン 1 / 鈴野スケ(小学館)
財閥の御曹司でスーパーお金持ちの薔薇園蛾太郎は不慮の事故で死んでしまった。未練たらたらのままあの世で目を覚ました蛾太郎を待っていたのは、死者の未練を「最後の晩餐」として提供し成仏させる『冥天レストラン』なる怪しげな名店レストランだった。美味しくて優しい、ヒューマン・ゴースト・グルメ・コメディー。
先輩ウェイトレスガールの骨ミちゃん(表紙の娘)のキャラクターデザインがなんとも私好みで大好き。肋!
大丈夫倶楽部 5 / 井上まい(レベルファイブ)
後頭部を強打して「大丈夫倶楽部」の活動の記憶だけが飛んでしまったもね。あれだけ執着していた「大丈夫」の精神が薄れていくことに、もねより芦川さんが酷く動揺するが、周りの人たちの「大丈夫」について見解や姿勢を聞く中で、もねは自分自身の「大丈夫」への意欲を取り戻すのだった──。きっと、全てが「大丈夫」になる第5巻。
今回は原点回帰というか、改めて主人公もねの「大丈夫の研鑽」の日々が描かれていて良かった。これよこれ、自分がこの作品に求めているものは。芦川さんのあれやこれやとかは正直ちょっとどうでもいい。変に話を広げ過ぎずに「大丈夫倶楽部」の活動を中心にこれからもまったり続いて行ってほしいです。
舞妓さんちのまかないさん 24 / 小山愛子(小学館)
前巻に引き続き1冊丸ごとあずさ(千佳子)さんおかあさんと百子さん姉さんの過去を描いた外伝という形をした”光の百合”。もう本当に眩しかった。破壊力バツグンだった。
この先も一生踊り続けたいと言う百子との実力差を痛感し、引退して市のおかあさんとなった千佳子。二人の物語の先に百はな(すみれ)がいて、その隣にキヨがいる。全部繋がっている。ずっとキラキラや。
天狗の台所 3 / 田中相(講談社)
秋から始まったオンと基とムギの丁寧な隠遁生活は、冬を越え、春を迎える。山菜のケーク・サレ、苺とミルクのアイスクリーム、手毬寿司、潮汁、タラの芽の天ぷ、春の色鮮やかな料理の数々。食を通して育まれていく兄弟の絆と移り行く季節を楽しむ、心躍る一冊。
二人の両親もNYからやってきたり、オンの背中に羽が生える予兆のような模様が現れたり、環境や関係はゆっくりと変化しながらも早いもので隠遁生活は折り返し地点。終わってほしくないよ〜
ドラマも10月からスタート。題材的に実写化に向いてそうだし楽しみです。
逃げ上手の若君 12 / 松井優征(集英社)
悲願の鎌倉奪還を成し遂げた時行たちは、故郷の地にて束の間の休息を過ごす。一方、京では帝の意向を無視する形で尊氏が満を持して出陣。平穏を願う時行の前に、あまりにも理不尽な足利尊氏という人間の本性が立ちはだかる。
完全に「RPGの負けイベント」みたいになっていて辛い。史実上最終的に負けるにしても、今のこの絶望的すぎる現状に、ただただ天を仰いでしまう。
黄泉のツガイ 5 / 荒川弘(スクウェア・エニックス)
鍵を握ると思われる両親の手掛かりを探るユルたち。一方、東村は影森アスマ派のイワンという男に荒らされ壊滅状態。東村という「箱」そのものへの信用が損なわれ、疑心暗鬼になってもおかしくないところを冷静に現状を俯瞰できるユルの芯の強さを改めて見る。
ハガレンセルフパロもあったりと、シビアながらもユルくて楽しい。このまま振り回されていたい。ユルの山での思考が自分が自転車に乗る時とも通ずるものがあって嬉しかった。思考がクリアになる感覚、大事。
誰何Suika 3 / つばな(徳間書店)
アイドル部での活動がネットに公開され、かつて所属していたアイドルグループ「レインメーカー」としてのはるかの存在が世の中に知られてしまう。グループでのいざこざで顔面が消えてしまったはるかは完全に塞ぎ込んでしまい、アイドル部の優しさももはや届かない。のほほんとした部の雰囲気とは真逆に、ストーリーはシリアスさを増していく。
毎回おまけ漫画のぱっぱらぱー感が救済。なんかいい感じになってくれ〜
ラーメン赤猫 5 / アンギャマン(集英社)
猫が営むラーメン屋は今日も今日とて大繁盛。それぞれの店員猫には固定ファンも大勢おり、猫好きが猫好きを連れて来て、それはもう天国のような雰囲気が流れているのです(一部の厄介客もいる)
読むと心が満たされる至極の一冊。
散歩する女の子 2 / スマ見(講談社)
散歩が大好きなにほとその友達まよいの二人による散歩の変態漫画(?)超待望の2巻!「はたらくおもし」が可愛くて微笑ましかった。散歩あるある100は9個当てはまりました。
にほは妄想力の高さ故みたいなところもあるけど、これだけ世界の解像度が高いと散歩するのも楽しそう。相変わらず素敵な作品です。
氷の城壁 4 / 阿賀沢紅茶(集英社)
家族の中での自分の立ち位置を見失っていたヨータ、学校で自分本来の性格を押し殺して振る舞っていた美姫。二人の友人の背中を押してあげるこゆんが強くて頼もしい。本人は押して”あげた”なんて微塵も思っていないと思いますが。
みんな自分のこと以上に隣にいる大事な人のことを思える人たちで優しい世界(故に拗れていく)
百合にはさまる男は死ねばいい!? 3 / 蓬餅(LINE Digital Frontier)
トランペットの1stの座を奪われた片桐と奪った相川。大会に向けて部が一つにまとまらないといけない時期なのに、それぞれの言動は揺らぎ合う。怯えながら過ごした先であっけなく見えた相手の表情。複雑だけど単純、そういうもんなのかもしれない。
なんか全然どうでもいいけど、良い作品に出会うと、その作品がアニメ化されたと仮定してOPやEDの映像を妄想するのが好きなんです。『百合はさ』はそれぞれのペアが両手繋いで踊っている映像がめちゃくちゃ想像できる。4巻も無事出ることを祈ってます。
ココロのプログラム 3 / 中村ひなた(集英社)
中学生2年生の夏休み。愛の告白を受け、付き合うことになった九。順調なようでままならない二人の恋路は、高校進学前に愛の申し出により終わりを告げる。
世界で一番好きな人が自分のことを好きになってくれる。それだけでいい。それだけでいいのに──。
サバキスタン 2 / ビタリーテルレツキー・カティア・鈴木佑也
1巻の時代から時が経ち、サバキスタンには表面的な平和が訪れていた。
そんな中、好奇心旺盛な小学生・ハニーとウーフの二人は、かつて独裁国家時代の権力者「同志相棒」の存在を密かに知る。しかし大人はそのことについて一切口を噤み、教えてはくれない。真実を追い求め行動に移した二人が出会ったのは、驚くべき人物だった──。
おお、面白い。来月の3巻で完結。楽しみです。
天幕のジャードゥーガル 3 / トマトスープ(秋田書店)
モンゴル皇帝オゴタイの第一皇后ボラクチンがファーティマと接触。絶妙な力関係で成り立っていた帝国の空気は、金侵略後にオゴタイの弟にしてファーティマの復讐相手・トルイが命を落としたことでバランスが崩れていく。
目下のキーマンはやはりボラクチンか。したたかな雰囲気が強者感を醸し出しているが、彼女の目論見は一体何なのか。期せずして言論が手元に還ってきたファーティマの次なる行動は。可愛い絵柄と重厚なストーリ−のギャップが難しくも面白いです。
葬送のフリーレン 11 / 山田鐘人・アベツカサ(小学館)
黄金郷編完結。過去から続く心情描写という名の舞台設定は前巻で整備された感じだったので、今回はマハトとデンケン、ソリテールとフリーレンのそれぞれの目の前相手との戦いが描かれます。
派手ではなく、あくまで淡々と相手を叩き潰すというフリーレンの静かな意志がやっぱり良いですね。ソリテールの倒し方グッドでした。
アニメも遂に放送開始。猛プッシュ具合がすごい。
しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 5 / 左藤真通・富士屋カツヒト・清水陽平(白泉社)
なりすまし編の解決まで。大抵の場合、どちらか一方だけが悪いということはない。裁判の勝敗と善悪は全くの別問題で、今回も盛大な「どっちもどっち」案件だった。こういう奴らほんと全員インターネットやめろ!
この曲正直あまり好きではないけど、こかむも先生の描く超てんちゃんはめっちゃ可愛くて好き。
ウマ娘 シンデレラグレイ 12 / 久住太陽・杉浦理史ほか(集英社)
天皇賞(秋)でスーパークリークに敗れたオグリキャップは悩んでいた。自分の走りに足りないものは何なのか、と。
そんな中、マイルを得意とするバンブーメモリーの宣戦布告を受ける。オグリは自分の答えを見つけるため、ジャパンカップに向けた調整をズラし、マイルチャンピオンシップへの出場を決意するのだった。
溜め巻って感じでした。バンブーメモリーの名前の通りの竹割ハツラツ感が好き。
少年のアビス 14 / 峰山りょう(集英社)
流石に死んだかと思われた夕子が生きていてちょっと残念。「なんで…死ねないんだよ…」ほんとそれな。
警察が介入してきたり、青江ナギについてのネット記事が拡散されたり、同級生たちが茶化してきたり、事情を微塵も知らない部外者たちの存在が、読者の安心材料になっている現状。あまりこういうことってない気がする。
当事者たちはもうドン底もドン底のドンドン底だから無関係な人たちに安心感を求めているのかもしれない。
その着せ替え人形は恋をする 12 / 福田晋一(スクウェア・エニックス)
人気コミック『天命』のキャラクター・大天使ハニエルのコスプレで冬コミに参加することになった北川さんと五条くん。クリスマスもそっちのけで制作の日々を送る中で描かれる、物作りに向き合う者の苦悩と足掻き。
ハニエルに取り憑かれたかの如く制作に打ち込む五条くん。その様がもう限界突破していてラブコメの波動をほぼ打ち消してしまっている。良く言えば「溜め」の回が続いている感じだけど、ここのところ二人の関係自体はあまり進展していないので、冬コミでドカンと一発欲しいところ。
矢野くんの普通の日々 6 / 田村結衣(講談社)
修学旅行先の関西で発熱に見舞われた矢野くん。ホテルで一人寂しく過ごす時間もみんなが気遣ってくれてハッピー。
矢野くんと吉田さんは今日も幸せそうで何より。もう圧倒的に羽柴くん×泉さんの関係の方が楽しみすぎてね。穏やかで優しい作品です。
恋人以上友人未満 4 / yatoyato(集英社)
既に身体の関係も持ってしまっているという事実が、自分の気持ちの邪魔をする。”良い大人”な二人のもどかしラブコメ第4巻。
虎は龍をまだ喰べない。 参 / 一七八ハチ( KADOKAWA)
幼き雄龍・碧童と美しき雌虎・白麗。種族の異なる龍と虎は同じ時間を生きることはできない。なんとか解決策を見出すために旅を続けているが、碧童を狙う雌龍・深翠の追跡が迫る。
旅の目的がハッキリしていて、結構ハラハラドキドキで楽しい。龍と虎、運命共同体の二人(二頭)を待ち受ける運命とは。
サンダー3 4 / 池田祐輝(講談社)
体感20秒で読める超弩級SFの第4巻。異星人と人類の交戦が続く渋谷。思いの外善戦するリベリオンだけどこのままだと埒が明かない。スモール3──!!!!はやくきてくれ──っ!!!
ドクたちも元のバースから移動してきたり、と思ったら画面を通って異星人がバース移動しちゃったり、めちゃくちゃになってきた感。大丈夫だろうか…
無田のある生活 2 / 朝比奈リョウ(小学館)
元カレも捨てられないゆかりと、己以外全て捨ててきた無田。二人の同居生活はギクシャクを極めながらも続く。
まだ二人の関係がお互いに好影響を及ぼしている感じが薄いので「さっさと各々別れて生活した方がお互いの為では?」感が否めない(元も子もない感想)
キミと越えて恋になる 5 / 柚樹ちひろ(集英社)
学内新聞に虚偽の記事が掲載された問題も無事収まり、クリスマスお家デート。夏に繫の部屋でやった"練習"を経ての"本番"。
なんかさらに過激な描写になってて凄かった。ほぼ成年向けレベルだった。少女漫画ってやっぱり下手な成年向け漫画よりエロいですよね…
【既】魔女先輩日報 1~3 / 餅田まか(秋田書店)
「魔女」という存在が希少ながらも認知された世界が舞台の、魔女先輩OLとイケメン後輩の社内恋愛ラブストーリー。
1巻でほぼ付き合い、2巻で結婚して一旦完結し、人気を博したので結婚までの過程を描く形で3巻が出た、という珍しい流れの作品。先輩の使い魔的ペットのイグアナが可愛い。もちろん、先輩も可愛い。
【既】放課後ブルーモーメント 1 / 旗谷澄生(講談社)
真面目が取り柄の女の子・鈴は、憧れの進学校に合格したものの、一瞬で周囲に置いていかれ夏休みの補習組に。落ち込む鈴に声をかけてくれたのは、同じく補習組になったクラスの男の子・清登。清登がキッカケとなり、他の補習組メンバーも巻き込みながら鈴の日々は青春に染まっていく。
短編集『月曜日が待ち遠して』の旗谷澄生先生の初連載作品。短編集大好きだったので期待して読んでみたらもうスーパーハッピーな青春漫画で拍手喝采だった。少女漫画特有のクサい感じとかがなく素朴で自然体で、でもキラキラしていて爽やかな作品でした。
【既・完】ほてりほてってファーストキス / 卯月ココ(講談社)
『恋せよまやかし天使ども』の卯月ココ先生のオムニバス短編集。タイトル通りキスして終わるような甘々なカップルが描かれていて、かなり糖分過多でした。だがそれでいい。
改めて見比べると、デザート掲載の人気作はどれも絵柄が似ている気がするのは気のせいか(文句とかではないです)
【既】ぷらせぼくらぶ《特装版》 / 奥田亜紀子(祥伝社)
どうしようもなかった自分の思春期を、今はもう笑って蹴飛ばせるけど、自分以外の全員が前に進んで行っているような感覚は、なんだか今も普通に感じている気がする。どうしようもない大人になってしまったなと思う。
【既】心臓 / 奥田亜紀子(リイド社)
奥田亜紀子先生の短編集。『神様』好きだなー。注目の作家さんにまた一人、出会えて嬉しいです。
雑記
以上、9月のまとめでした。
今月はなんといっても『ゆうやけトリップ』ですね。待ちに待った2巻が、9月の初日にいきなり出てくれて幸せでした。
そして『本の虫ミミズクくん』の最終3巻。打ち切りが本当に悲しい。今月は『天狗の台所』と一緒に紙でも揃えました。「マンガの続きが出てくれること」のありがたさを実感する今日この頃です。
その他サムネ以外の作品だと『バットゥータ先生のグルメアンナイト』『大丈夫倶楽部』『散歩する女の子』『放課後ブルーモーメント』なども好きでした。なんかこう、つくづく自分はほわ〜んとした雰囲気の作品を好む傾向にあるな、と感じます。
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そして今月は何を思ったか、この「本棚」とは別の「何か」も書きました。何が言いたいのかは最後までいまいちハッキリしていませんが、ハッキリしないなりに思考は整理されたので満足しています。
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だんだんと秋の気配が感じられ、過ごしやすくなってきました。10月も良き出会いがありますように。
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