健全な肉屋

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遠きは花の香、胡桃の器

念願の三八式歩兵銃を購入したので 自宅の狭小スペースにガンラックを作りました。 使用したもの ・突っ張りパーテーション ・100均のフック ・キッチンスペースラック(山善) 大体一万円以内で作れました。 大まかなスペースは縦2m、横40cmとなっています。 M4、コルト、三八を並べました。 ハンドガン、ショットガンくらいならあと数本飾れそうです。 キッチンスペースラックを下に設置することによって、細々としたものを収納出来るので、高さに余裕がある場合はオススメです。

    • 神話は空には無く、人の中に有る

      映画「プラットフォーム」の考察を含む感想です。 映画内容に多文に触れます。  牢獄のような狭い部屋が数百も縦に重なった空間。一室に二人づつ収容された部屋の中央には四角い穴が開いており、上から下まで貫いて先は見えないほど深い。  部屋に扉はなく、外と連絡も取れず、食事は一日に一回、浮遊する不思議な台(プラットフォーム)に乗って穴から降りて来る。  というのが物語のあらすじ。  全て見終わって、前半「cube」で結末は「ハウスジャックビルド」という感想だ。  シ

      • 「危ない法哲学」日常の再考手引

        あぶない法哲学 ~常識に盾突く思考のレッスン~  法哲学。読んで字のごとく「法律を哲学的な視点から再考する」という学問。  学問の中でも明確な答えのない「哲学」。  それをある種社会の「明確な答え」である法律を再考するのに使うだけで中々面白い。 専門的な法律と、とっつきにくい哲学の融合は早々に読者の心を折りそうなものだが、初心者にも解り易い表現を用いており、内容に反して非常にマイルドな読み応えでした。  当書は以下、十一章から成り立っている。  その中で、面白いと命題だ

        • 未だ、人間ではない

          「さぁ、人間になりましょう」 ────若き日のキルケゴール(「死に至る病」の著者)の口癖だったと云う。 彼が指した人間とは、なんだったのだろうか。 人間とは何か、という問題は、生物的なものか哲学的なものか、はたまた思想的なものか。 その幾つかで答えは変わるし、また、答えが無くなる。 概念や思想、哲学は各々個人で答えを持つといい。 そしてわたしの答えは、わたしは「未だ、人間ではない」だ。 キルケゴールの時代。子供は「小さな大人」であった。庇護の対象ではなく、大人の出来

        遠きは花の香、胡桃の器

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          或るAの話

          昨今、セクシャルマイノリティにスポットがあてられる事が増えてきた。 レインボー(プライド)パレードも開催される度にその規模を大きくしている。 セクシャルマイノリティといえば「LGBTQ」をよく耳にする事が多い。 わたしは、この中にはいない。 ならば異性愛者かと言われると、そうだともいえるしそうでないともいえる。 バイ(B)という事か、と問われると、また複雑な気分になる。 勿体振るつもりも無いので言ってしまうと、わたしはこの枠の中にも入れない「A」なのだ。 アセクシャル

          「食人国旅行記」悪徳と美徳。その相違。

          サド伯爵著、「食人国旅行記」読了。 インパクトが強いこのタイトル。 実は翻訳された方がつけたタイトルで、本作でこのような表現は出てこないのです。 勿論人を食う表現はあるのですが、それはその旅行先の悪徳の一つに過ぎません。 あらすじとしては、道ならぬ恋をした二人が、逃げ出した先で女だけが攫われてそれを追いかける男の冒険譚、といったところでしょう。 この中に、当時の荒れ狂うフランスの政治や、著者の(当時にしては非常に)先進的な考えが述べられた、一種の哲学書的な側面もあり

          「食人国旅行記」悪徳と美徳。その相違。

          4度目の殺人

          ゴシック・バロックそのもののような展示を得意とする、ヴァニラ画廊さん。 様々な展示をされており、わたしも何度も通わせていただいております。 そんなヴァニラ画廊さんで展示をして、大変話題になった展示の一つに「シリアルキラー展」があります。 内容は、シリアルキラー(連続殺人犯)の残した「何か」のコレクションの展示だ。 2016~2019の間に、年一回、四度展示が行われました。 高校生以下立ち入り禁止、2019年の開催時は混雑を避けるためにチケットを日付指定で前日購入

          4度目の殺人

          マシニスト

          映画「マシニスト」のネタバレを多分に含んだ感想です。 あらすじ1年もの間、重度の睡眠障害に悩まされ、眠ることが出来ずに痩せ細ってしまった主人公トレバー。 その見た目からドラッグなどを摂取している嫌疑をかけられて、仲の良かった同僚に避けられ、身体的にも、精神的にも限界が来ていました。 心の拠り所は唯一、空港のカフェテリアの店員マリア。 そして、意味深な嫌がらせと意地悪な同僚アイバンに悩まされたトレバーは、彼の存在と、嫌がらせの意味を探るために行動を始める。 罪と罰

          マシニスト

          悪い種子

          1956年版、映画「悪い種子」のネタバレを多分に含みます。 あらすじ悪い種子(わるいたね) 上品で知的な、クリスティーン・ペンマーク(母) 可愛らしく服を汚したりしない少女、ローダ・ペンマーク 無躾で大多数の人間に嫌われている、リロイ(アパート清掃員) 遠足の途中に息子が事故死する、デイグル夫人 ローダを可愛がる、モニカ(アパートの大家) 陸軍大佐で今回仕事のため家を開ける、ケネス・ペンマーク(父) 父は軍人、母は繊細で優しい、恵まれた家庭に育つローダという可愛らしい少

          魂がふるえる

          塩田千春展、「魂がふるえる」。 糸が多い。 白い空間全体を侵食するような糸だ。 赤と黒と白。人間がまず知覚する原初的な色だ。 ヒトの魂というものがあるのなら、生物としての記憶があるならば、その色がまだそこに染み付いているのだろうかと思ってしまう。 糸を使った空間展示は、作者の代表的なインスタレーションであるらしい。 こういった、代表作の、大規模展示。一度は見ておいて損はないと、経験上知っている。 焼けたピアノや空の船、それに絡みつくようにある糸の存在の不確かさが

          魂がふるえる

          ミイラ展

          科博、特別展「ミイラ展」を見てきました。 展示開催ギリギリまでなにが展示されるかが全く情報がない展示だったので、自ずと期待値がグングン。 どうしても好き勝手見たくて、しかし混雑が酷く苦手な私は、夜勤明け、その足で科博の開館と同時に突入、という絶対にヒトが少ないであろう方法で向かいました。 案の定、人は少ない。ですが、驚いたことに数名の人が並んでいたのです。 平日の早朝に何してんだこの人たち……と、自分の事は棚の上に放り上げて思っていたのですが、この時間を選んだその勇姿

          来世を迎えにゆく

          「ボルタンスキー展」に最近行ってきたんですけど、脳味噌に展示内容がこびり付いて離れないので感想にします。 クリスチャン・ボルタンスキーの日本最大の回顧展(生涯を通した作品の展示)と云われたら行くしかないでしょう。 ……嘘です、最初はそんなに乗り気じゃなかったです。立体展示はアタリハズレが大きいので、ちょっとなぁと思っていました。 ボルタンスキーの事を知らなかったというのもありますね。これはわたしの勉強不足です。全然関係ないですけど立体で一番好きな展示は「幽体の知覚」です

          来世を迎えにゆく

          今死にたい人間がミッドサマーを見てはいけない、と云う感想

          ※映画ミッドサマーのネタバレを多めに含みます 日本上映前から話題であったミッドサマー。 今では、どちらかというと「失恋映画」や「セラピー映画」という感想が主流となり、当初流れてきた感想はあまり見かけなくなった。 「死にたい人間の背を後押してくる映画」 ショッキングな内容を含む映画として、様々な人間の好奇心を煽るような感想の中で、こんな感想も流れていたのだ。 前作、「継承」を見た人間はその感想にぞわぞわと好奇心がくすぐられるのを感じただろう。わたしもその一人だ。 映

          今死にたい人間がミッドサマーを見てはいけない、と云う感想

          切り札か、捨て札か

          映画「ジョーカー(ホアキン版)」ネタバレを含む感想。 公開の際、アメリカでは非常に厳重な警備がされるなど、大きな話題となりました。 そこまで厳重な警備に意味があるのかと思われますが、以前「ダークナイト」公開時に自らをジョーカーと名乗り、映画館で銃を乱射した事件、オーロラ銃乱射事件があったため、そのような警戒をすることとなってしまったというのもあるのかもしれない。 もちろん、内容も貧富の差に関してのものであり、転落した人間の救済措置が明らかに少ないアメリカには、「ジョーカ

          切り札か、捨て札か