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歩行速度を向上させるヒント!!![CPGと腸腰筋を狙う理由]

お疲れ様です!はらリハです!

本日は…

脳卒中後遺症による股関節機能障害に対して考える「歩行時の大腰筋(腸腰筋)の伸張から歩行速度の向上」を解説していきます。

当事者とその家族に向けての投稿です。

※ 引用書籍

はじめに

 まずは「股関節って何??」について。

 股関節は球形(丸い)の関節で…

□ 体幹と下肢を繋ぐ関節
□ 自由度が非常に高い

 の特徴があります。

 股関節は腰椎、骨盤とも密に連携をとっており、股関節の機能に向けたリハビリを行う際は、腰椎、骨盤の動きも意識しながら行う必要があります。

 また、動く範囲は広く、動く方向が多いため、同じ筋肉でも動かす方向と姿勢によって、筋肉の働く作用が変わることが多い関節です。

 そのため、脳卒中後に伴う…

☑︎ 筋緊張異常
→力が入らなかったり、過剰に力が入る現象
☑︎ 関節拘縮
→関節の動かせる範囲が狭まる現象

 など…

 特異的な症状から正常な動きとは異なる股関節の動きになりやすいです。

 そこを踏まえて…

 前回までは「股関節の役割/起きやすい問題」について解説しました。

 本日からは…

 これらの問題を「解決するためのヒント」をお伝えします。

 ここでは、

☑︎ CPG(歩行時に必要な神経回路)
☑︎ 腸腰筋(腰椎と股関節を繋ぐ筋肉)

 この2点が「歩行へどう影響するのか」について説明します。

CPGって何?

 CPGとは…
 『中枢パターン発生器(Central Pattern Generator)』の略です。

 歩行は本来「無意識」にできる行為です。

 ここでいう無意識とは…

 ☑︎ 周囲を注意しながら歩く
 ☑︎ 話をしながら歩く

 など、歩くこと以外に意識を向けながら歩くことを指します。

 この無意識に歩く時に必要になるのが『CPG』です。

 脳卒中後は歩くことに意識を向けないと歩けないことが多いです。

 その原因は、CPGの活動が乏しいことが原因の一つかもしれません。

CPGを駆動させるために必要なこと

除脳猫を用いた研究では…
トレッドミル歩行中の立脚後期に股関節屈筋群が伸張されると、伸筋群の活動抑制と屈筋群の活動更新を引き起こし、これにより支持期の終了と遊脚期の開始を制御していると報告

Krielllaarsら

立脚後期(下記図の姿勢)で大腿骨頭は前方に張り出し、伸張された大腰筋腱にさらに伸張を加えることで大腰筋の活動を高めると報告

吉尾ら

 この研究では「股関節を曲げる筋肉(腸腰筋)を伸張させることで足の振り出しが自動で起きる」ことを報告しています。

 つまり、歩行周期の中でも『立脚後期(下記図の姿勢)の足部を後ろに残し、股関節を伸ばした姿勢が遊脚相(足の振り出し)の誘発』に重要と結びつけることができます。

立脚後期 図

※ 歩行周期:歩きを相に分けて分析したもの

腸腰筋と歩行速度の関係

股関節伸展筋(大殿筋/ハムストリングス)と膝関節伸筋(大腿四頭筋)が立脚後期に集中的に活動し、推進力に寄与する

Gottschall
Kram

脳卒中後の片麻痺患者では、立脚終期での股関節の伸展の増大と遊脚初期の股関節屈曲運動の増大が歩行速度の増加に関連している

Olneyら

 上記の報告から「腸腰筋が伸ばされる刺激(伸張)により、足を振り出す推進力が向上する」ことがわかります。

結論

 つまり…

 CPGを活性化し、円滑な歩行リズムの獲得と歩行速度の向上には『歩行に伴う腸腰筋への伸張刺激』と『リズミカルな股関節への荷重刺激』が必要

 と考えられます。 

脳卒中後遺症の問題点/代償

 ここまでの話から…

 脳卒中後は無意識に歩くために必要なCPGの活動が低下しやすく、歩行時の「推進力の低下」や「リズミカルな歩きが出来ない」ことが起きやすく、歩行速度が低下する。

 それを解決するためには…

☑︎ 股関節を曲げる筋肉を伸張させる(腸腰筋への伸張刺激)

 ここの活用が必要になります。

 では、脳卒中後遺症で出現しやすい歩行時の推進力(歩行速度)の問題点と代償を紹介します。

☑︎ 推進力(歩行速度)の起きやすい問題
脳卒中後遺症後の歩行では、麻痺側立脚後期(下記図の姿勢)に股関節を伸ばす動きが不足することが多く、さらに振り出しは過剰努力となっていることが多い。
→その結果、麻痺側から足を出し、両足を揃えてから足を振り出す歩き方となり、歩行リズムが失われ、左右不均等でばらつきの伴う歩きとなる。
→また、麻痺側で支えるときに足は外側の位置に置きやすく、非麻痺側を振り出すときに重心が麻痺側の足の外側へ移動する度合いが増えることで、前方への推進力が不十分となる

麻痺側立脚後期 図

 これらの問題は「腸腰筋を伸張刺激」が有効です。

 なので、リハビリの流れとしては…

 ① 腸腰筋の伸張を考慮したリハビリ
 ② トレッドミルの活用

 を取り組んでいきましょう。

 次回は、自主トレメニューを紹介します。

終わりに

 ここまで、読んで頂きありがとうpございます。

 最後に、脳卒中後遺症の改善に向けた自主トレメニュー(有料500円)を紹介します。

病院でやっていたリハビリ」と「本来回復に必要なリハビリ

 がズレていることが非常に多いです。 

 よく聞くのが「原因は筋肉」という話。 

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 だって脳の損傷なんですもん・・・ 

 脳の回復に必要なリハビリしないといけないじゃないですか。

 そこをピックアップした自主トレを提供しています。

 なぜ自主トレで回復するのか・・・ 

 根本的な問題である脳の問題に対して「脳と手足の神経の繋がりを作るリハビリ」を根源に作った自主トレメニューだからこそ「改善する」がついてきます。

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 内容は大きく分けて3つです。 

☑︎ 病態、症状の理解  
☑︎ 病態、症状の原因  
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 となっています。

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 全く動かせない方から、症状が軽いけどうまくいかない方まで、必要な機能的要素と脳科学的な知見を併用したメニューになっています。

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