個人を守るために必要な支援と対策 第7章:孤立しない社会とは ⑧

私の場合は学生の間に60社に応募して、内定を頂けたのは3月上旬という事態になっていた。

そのため、最後の方は引っ越しを前提とする企業よりも地元企業に一旦就職しなくてはいけないという考え方になっていた事もあった。

私は若年層の短期転職増加や3年以内の離職率の増加の背景に“志望企業からの求人を見つけたから再挑戦したい”という志望の企業に入るために企業に就職するという本人たちのキャリアプランがある、“自分の思っている仕事内容と違っている”といった企業と個人のミスマッチが要因になっているなどそれぞれに事情は異なっているが、根底にあるのは“理想”と“現実”に対する自己防衛本能が働いている可能性は否定出来ないと思う。

 確かに、高校を卒業して就職をするか、大学を卒業して就職するかで給与などの待遇面も変わるし、業種・職種の選択肢の幅が全く違っているなど本人にとっては選択しにくい状況が出来上がってしまう。

 これらの判断には自分の学力や能力が社会から求められている状態になっているか、自分の価値観が社会に出て通用するのかなど自分と社会が求める条件がマッチングしている状態なのか、自分のなりたい職業や目指している職業はどのような学歴が必要になるのかで変わってしまうのだ。

 このように学歴が評価される社会になったことで子供たちの職業観がバラバラになってしまっている可能性があるのだ。

 なぜなら、今の子供たちが持つ職業観が以前とは異なった形相を見せていて、企業等への就職に前向きな人も多いが、個人活動を始める人、海外に進学し、海外に就職する人、アルバイトなどを継続して、自分の夢を追う人など以前に比べるとかなり多角的な状況が作り出されている。

 そのため、進路に関しても個人差が出てくるなど以前のように学歴を重視する価値観では若い世代における人材確保が困難になる可能性がある。

また、現在の子供たちの価値観に基づいて考えると“高校に進む”・“大学に進む”など進路関係の悩みが自傷行為に繋がっている場合もあり、自傷行為が悪化することで“自分が無価値だ”や“自分は無能だ”と言ったネガティブな感情が芽生え、幼少期からこのような感情を持つことで次第に思考が偏ってしまう、思い込みが激しくなるなど子供たちの精神面に影響が出るだけでなく、失敗を恐れるようになってしまい、受験を失敗することで絶望を感じ、就職に失敗することで将来に絶望を感じるという負の連鎖が起きてしまう懸念がある。

 しかも、このような価値観が定常化し、若い世代の有能な人材が社会の中で眠っていたとしても現在の社会的価値観で考えると発掘されることは少ないだろう。

 仮に発掘出来たとしても人材育成を失敗することでこのような人材が増加することになり、孤立や孤独が少数であっても中長期的な視点で物事を考え、育成計画を作成すると深刻な事態を招きかねないだろう。

 現在の日本は年々少子化が進行しており、子供が今後増加する可能性は個人所得が増加する、男女間のマッチングの増加などさまざまな条件が揃わないことには好転することも、改善傾向になる事も難しいだろう。

 その上、良い人材は幼少期から海外に注目をされる形で流出し、再び日本に戻ってくることはないと言っても過言ではない。

現在、小説とコラムを書いています。 コラムに関してもこれから完成している物を順次公開していく予定です。 自分の夢はこれまで書いてきた小説を実写化することです。まだまだ未熟ですが、頑張って書いていきますので、応援よろしくお願いいたします。