第2章:格差拡大の背景とは ①

現在、所得の格差だけでなく、その他の格差も次第に拡大しており、この事が社会に与える影響はかなり大きいのではないかと思うのだ。


 特に所得の格差は年々拡大しており、このことがこれまで安全圏内にいた人を一気に安全圏外に押し出してしまっている印象が強い。


 そのうえ、これらの格差をこれ以上拡大させることはかえって社会の安定を揺るがす事態になりかねないのではないかと思うのだ。


 その理由として、現在の就労状況を見ても正規雇用と非正規雇用がはっきりと分かれる形で統計が推移していることから、これらの差が現状よりも拡大すると経済循環だけでなく、あらゆる格差に影響を与えてしまい、これまでと生活が変わらない国民が生活の変わってしまった国民から危害を加えられる、被害を受けるなど悪循環が発生する可能性が出てくるのだ。


 このケースはあまり表面化していない事例も多いが、多い事例として”窃盗“や”詐欺“・”強盗“といった相手の資産を奪う事で自らの資産に換金するという手口が多く、利己的な心理が働くだけでなく、仮に相手を傷つけたとしても”自分の命が延びるなら何でも良い“というローンオフェンダーに近い心理が芽生えているケースや”生きていくためにこうするしかなかった“という追い詰められたことで引き起こされた事例など一般的な生活をしている人が意識しないところであらゆる格差が問題や課題を引き起こすきっかけを作っているということが分かってくる。


 特に短期間に“就職失敗”と“短期失職”などネガティブな経験が増加すると増加するだけ心理的に憎悪感が先行することになるため、これまでは通常の感覚で生活出来ていたとしても突発的に心理異常等が発生し、本人の心理状態や精神状態、価値観などを破壊していくという状況が出来てくる。


 これらの原因としていくつか挙げられるのだが、これらの原因には個人差や個人の置かれている環境などが関係してくることから、全ての対象者が同じ条件で発生するというわけではない。


まず“競争社会”や“学歴社会”といった対人評価に対するレッテルや先入観による人材の過小評価・過大評価だ。


これは“企業がもたらす原因である”と一般的には言われているのだが、一方で個人の社会評価やこれまでの企業等での人材評価がどのような状態になっているかという点をきちんと関係者間で把握することが求められる。


 その理由として、現在は“即戦力”や“経験者”といった企業の負担を軽減できる人材を重宝する動きがあることから、これらの条件を満たさない人材が増加している可能性も否定出来ない。


 そのうえ、企業においては人材育成というベクトルが縮小もしくは廃止されている可能性が高く、以前よりも優先順位が下がってしまっていることから、企業の意識が“時間をかけて人材を育てる”ではなく“すぐに最前線で活躍して欲しい”という異なった方向に進んでいる可能性が否定出来ないのだ。


 そのため、これまでは“育成前提”の採用が主流だったが、現在は“戦力前提”の採用に変化していることもあり、企業としては“企業に利益をもたらす人材”を探すのだが、現代は以前に比べるとこのような人材は長期間企業に所属するというキャリアプランになっていないことから、待遇面を改善したとしても人が集まらないという状況が出来てしまっている。


 

現在、小説とコラムを書いています。 コラムに関してもこれから完成している物を順次公開していく予定です。 自分の夢はこれまで書いてきた小説を実写化することです。まだまだ未熟ですが、頑張って書いていきますので、応援よろしくお願いいたします。