マガジンのカバー画像

今日の注目記事

33,358
様々なジャンルで話題の記事をまとめていきます。
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

一緒に生きよう。幸せになるために。

 窓の向こうの闇夜に淡い明るさが広がる頃、頬に柔らかくて温かいものが触れる。触れる、という表現では少し弱いような、ムニッとした感触。続く小さな「ニャー」という鳴き声。  あー、もう朝か、とぼんやり思った瞬間、反対側の頬に生温かい息が吹きかかる。フン、と小さく鼻を鳴らしたあと、ベロンベロンベロンと舐められる。くすぐったくて笑いながら「やめて」と言っても、舌の主はベロベロしまくる。  こうなってはもう起きるほかない。「ニャー」を聞いた瞬間、ほとんど目は覚めているのだが、惰眠を貪り

ニコのセカンドライフ

いま、私の横に保健所で出会って5年一緒に暮らしている保護犬だったニコがいる。 年齢も誕生日も不詳のうえ、かなり辛い状況で保護された様子を伺って、これからはずっと笑顔で過ごそうねと、ニコと名付けた。 そして誕生日も2月5日にした。 なぜ私が保護犬と暮らそうと思うようになったか、それは13歳で亡くなったラブラドールレトリバーを介護して学んだある思いからだった。 2017年夏、愛犬のブラウニーが骨の病で天国へ旅立った。 幼少の頃からずっと犬と一緒の生活をしてきたが、介護を体験

霙から桜へそして紅葉へ

「この子、可愛いね」 ある週末、私はパソコンの画面を指差しながら夫に言った。 夫がやってきて、私の人差し指の先の、こちらを見ている茶色の雑種犬の写真に顔を近づけて、うなずいた。 「可愛いね」 犬を飼うなら保護犬を引き取る形で飼うということは、私が以前から決めていたことだった。夫婦で話し合って犬を飼い始めることにした時から、私たちは毎日のようにインターネットで里親募集サイトを開いて見ていた。この子もいいね、こっちも賢そうだな。掲載されていた保護犬の写真と短い紹介文の情報を

父の仕事場は猫の通り道。

カトリック教会専門の木工職人の父。 一人で働く工場には、たくさんの猫たちが訪れた。 おそらく、「ここは安全で、ごはんももらえるよね」って、猫たちの間で話題になっていたかも。 物語は多いが、我が家に初めて来た子を紹介する。 もう30年くらいまえになるだろうか。仕事から帰ってきた父が一枚のポラロイド写真を持ってきた。 「猫が来てね」「あら、ブスちゃんね~」なんて会話をした。 それから毎日、父の工場に来るようになった。 私も見に行った。ブスじゃないじゃん!白地にサバ模様の入ったな

何年経ってもツンデレな美人さんへ。

我が家には3匹の猫がいる。全部別ルートからの保護したメス猫。 飼うなら保護猫にしようと思った訳では無く、一緒に住むならご縁で出会った猫にしよう、と私が軽〜く考えたからだった。 今日は1匹目のこーちゃんについて・・・ちょうど○ーグルフォトさんがこの猫の写真をまとめて送ってきた(最近のアプリはそうやって昔の写真を見せてくれるから便利だ)ので懐かしく思いながら。 ◈ 彼女は 猫を飼おう、という私の提案で2009年に家族四人でレスキューセンターに行き出会った猫だ。 そこは獣医さ

不妊治療に疲れた夫婦が一匹の保護犬と出会う話

「子供ができたら生もの食べられなくなるし今のうちに思いっきり食べるぞ~」 福井県は東尋坊にて。海鮮丼を目の前に妻は高らかにそう宣言した。 明るく前向きな様子の妻に僕は思わずにっこり。僕の右手には箸。左手には短く持ったリード。リードの先には1匹の犬。 僕たちはこの夏、初めてペットを引き連れて旅行にでかけていた。 ***** 「保護犬を迎え入れたい」 妻がそう言ったのは不妊治療の気晴らしで出かけた伊勢旅行帰りの車中だった。 義妹や周りの友人たちが次々と子供を授かっていく中

一緒に暮らすこと、それはきみの呼び名が増えていくこと #うちの保護いぬ保護ねこ

追記:書籍化されました! https://www.amazon.co.jp/b/?ie=UTF8&node=16332980051 2022年春、我が家にはじめての保護犬がやってきた。名前はりんちゃん。推定2歳。元野犬のMIX犬。 我が家はかれこれ20年、犬と一緒に暮らしてきた。初代♀・二代目♂ともに柴犬で、名前はどちらも「さくら」。いつも馴染みの柴犬ブリーダーさんに声をかけて、ふたりのさくらと運命の出会いを果たしてきた。 そんな私たちが、なぜ保護犬を迎えるに至ったのか

“推し活”マーケティングの時代

column vol.812 とある商業施設で、とある駆け出しアイドルの企画イベントを当社で行うのですが、109のエンタメ専用ポップアップストア「DISP!!!(ディスプ)」や、一昨日取り上げさせていただきました埼玉県発のスーパー「ベルク」など、小売業は積極的に「推し活」を取り入れています。 いや、小売業のみならず、今後はいかに「推し活」を取り入れるかが重要なのだと思います。 特に普段、推し活とは無縁の方には見ていただきたい話です。 有名な話としては、象印マホービンの

オリーブ収穫体験に参加したらオイルのなかに畑の風景と人の顔が浮かんでみえた

9月29日に澳敬夫さんが代表をつとめる高松市の「澳オリーブ」におじゃましてオリーブの収穫体験イベントに参加してきました。 澳オリーブは、いつもnote執筆でお世話になっている「乃木坂しん」や、「No Code」をオープンしたばかりの米澤文雄さん、「ブリアンツァ」の奥野義幸さんといった高級店で見かけていて、一方的に注目していました。 米澤さんと奥野さんが主宰するオンラインサロン「Close Table」のオフ会で、運よく澳さんにお会いしできたこともあって、収穫祭に参加をさせ

町工場の技術の片鱗に触れる企画展

11月は僕らのお店コトモノミチでは町工場の技術の片鱗に触れる企画展やります。 僕は日本各地を年間200日以上僕は工場や工芸の現場をまわってます。新たな開発のために技術分析や設備の確認する行程でいろいろと現場のアレコレを聞き取ってまとめていきます。 各地得意とする技術や普段の仕事もそれぞれ。だから町工場といえど機械が同じでも使い方も違います。 そして職人も図面をもらって仕上げていく行程で図面通りに行くことばかりではないので、当然あれこれ試しながら仕上がり精度を上げていきま

環境負荷の視点からイベントを問い直す。“グッド”な展示会はいかに形作られる?2022年度グッドデザイン賞受賞展の全容

時代と共に変わり続けるデザインを捉え、その時々の“グッド”を定義し続けてきたグッドデザイン賞。だからこそ、グッドデザイン賞自体も社会や地球にとって“グッド”にデザインされなければならない──そんな想いのもと、総合ディレクターの齋藤精一を中心に作り上げられたのが、2022年度グッドデザイン賞受賞展だ。 受賞展では、グッドデザイン・ベスト100の展示を中心に、全受賞作品が発表された。様々な興行などに携わってきた齋藤は、テンポラリーなこういった場をより“グッド”にデザインする重要

金継ぎ、やってみた!

バリンッ! 豪快な音をたてて茶碗が割れた。 陶芸市で買った一点ものの茶碗。陶器を物色する人々でごった返した坂道を何往復もして、ようやく出会った一品。何十品いや何百品も置いてある店内から、探し出した作品。 濡れた手から滑り落ちた茶碗が、シンクに大きな破片となって散った。 あまりの事態に、シンクの中をただ呆然と眺める。見るも無惨に散った茶碗とその破片。 一拍おいてでた第一声はもちろん 「うわーーーー!!!!!」 大絶叫だった。 ちなみに、わたしの手元はたいへん覚束

ローリングストックの調理実習

 こんにちは。先日、廊下を歩いていたら、調理室のドアの隙間から即席ラーメンが見えたので、「調理実習で即席ラーメン?」と思い、見学することにしました。  「チャルメラ」の麺を炒めて、そこに焼き鳥の缶詰を入れて焼ラーメンを作っています。「即席ラーメンと缶詰。斬新な調理実習・・・。」と思いながらホワイトボードをみました。  担当の先生に聞いたところ、「ローリングストック」の授業をした後の調理実習とのことでした。ローリングストックとは、「普段の生活に非常食を取り入れて、食べたら買

「最後の晩餐は唐揚げでいい」 常識を打ち破る食いしん坊チャレンジャーが ヒット商品を連発できるワケ

第1弾のおかずがウィンナーだけの「ウィンナー弁当」を皮切りに、次々と常識を打ち破る「だけ弁当」を開発し、ことごとくヒットさせてきたのが、ローソンストア 100の林弘昭さんです。しかも林さんの本業は店舗運営で、商品開発ではないのにも関わらず、ウィンナー弁当の発案から販売まで10年も要しました。その規格外のチャレンジについて聞きました。 ローソンストア 100 次世代事業本部 統括マネジャー/林 弘昭 1978年、千葉県生まれ。大学卒業後、九九プラス(現ローソンストア100)入