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#写真 記事まとめ

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写真や撮影テクニック、写真に関する記事をまとめていきます。
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2020年7月の記事一覧

それはまるで母のような

雨に濡れて湧き立つ土の香り。小さな赤い果実を摘む。どんぐりを踏みしめながらリスの残像を見た。霧が朝を囲む。まばゆいほど輝く緑は風に揺られ、キツネは銀世界に足跡を残していく。 そんな海のない土地で生まれ、山のふもとで育った。 だから、海は特別な場所だった。 夏休みになれば、家族三人で新潟の海水浴場へと赴く。小学生の頃の話。手押しポンプでふくらませる浮き輪は、もう何色だったかも思い出せない。海の家で食べたのはいつも焼きそば。高齢出産のもとで生まれてきた私。両親との体力差など

京急の街「汐入」|軍人の歓楽街を訪れた僕は、気づくとお地蔵様に手を合わせていた

2020年のある日曜日の朝10時くらい。 軍人の歓楽街を撮りに来たつもりが、気づくと線香の煙がたちこめるお堂の中で右往左往しながら、地蔵に向かって手を合わせていた。 前日の夜は、きっとどんちゃん騒ぎ。 朝日を浴びて清々しさを感じるほどの静まり返ったどぶ板通りに、カランカランと乾いた鐘の音が鳴る。 普段なんのお祈りもしていない。 それなのに、お地蔵様になにか僕も一緒に救われたような気持ちになったのはなぜだろう。 「救い」とか大袈裟だろう、と言う人もいるかもしれないが、「

「SEIN編集部」インサイドストーリー

今日の担当|編集長① こんにちは。SIGMAの季刊広報誌「SEIN」の初代編集長として創刊からウェブ移行までを担当した編集長①です(現在の「SEIN Online」は広報チームの編集長②が担当してくれています) ちょうど今日、SEIN Online更新の一時停止のアナウンスをさせていただいたばかりです。せっかくなので、今回のサイトリニュアルを機に、SEINについてちょっとした振り返りをしてみようと思い立ちました。 というのも、創刊から今にいたるまで「SEIN編集部」名義

約2000円の投資でプロっぽい写真が撮れるようになった話。

ごきげんよう~ 写心家ツッシーです。 またの名をご近所カメラマン。 今回は約2000円の投資でプロっぽい写真が撮れるようになった話。 ■滝を上手く撮りたいから始まった 滝をプロっぽく撮りたい、三脚を立ててスローシャッターで撮る。理屈、やり方は分かるんだけどなんかしっくりこない。プロっぽい「白糸感」が溢れる滝の写真が撮りたい!!! 悪くないと思うんですがもっと「白糸感」が欲しいなぁと思ってました。 川の流れ。これも悪くないなぁと思いますがなんだか物足りないですね~ ■

NikonNFM2で残す、家と暮らし

初めて手にしたフィルムカメラはNikonのFEというカメラで、 父が使っていたカメラを貸してもらってから そのまま返さずに、私のものになっていたりする。(借りパクともいう) 写真の専門学校へ進んでからも、 デジタル一眼レフカメラが主流になった時代の中、 NikonのFEをメインに、フィルムカメラ一筋で作品を撮っていたくらい、 お気に入りで大切にしていたけれど、 ある日からシャッターが気分屋になってしまい、 機嫌よくシャッターがおりる日と、不機嫌でシャッターがきれない日があ

わたしが写したかったもの、写らなかったもの

「いい写真やけど、なんか闇を感じるわ」 以前一眼レフでわたしが撮った写真を見て、母はそう言った。 写真は”人の心を映す鏡”だと聞いたことがある。 だとすれば、母が写真から感じた闇は「わたしの心の闇」なのだろうか。 その言葉の意味は、いまいちピンとこないままだった。 __ 先日、前々から少しずつ少しずつ撮っていたフィルムカメラをようやく使い切った。 27枚撮の”写ルンです”。 写ルンですを買ってから、どこかに出かけるときは必ずカバンにカメラを持っていくようにした

『フィルムカメラブーム』で終わらせたくない。

最近は『フィルムカメラブーム』と言われていますが、嬉しくもあり、不安でもある。 私は、時期的に言うと『ブームになりはじめの頃』にフィルム写真を始めている。 誰かの写真を見たわけじゃなく、撮ってみたらすごく素敵だったから。 まるで魔法のようだった。 フィルムが生み出す味わいのある描写が、なんだかとても懐かしい気持ちにしてくれたり、子供の頃を思い出させてくれるようだった。 私は撮れば撮るほどフィルムにのめり込んで行った。 一方で、そう言う人はまだまだ少ない。 『撮っ

夏の雨とFUJIFILM

全く書かなくなってたNoteですが、時間ができたのでたまには書いてみようと思います。 梅雨が明けない。 もう7月も終わるというのに。 天気予報は毎日コロコロ変わって、昨日の予報が信じられない。 昨日の夜の時点での天気予報は確かに曇りだった。 でも。 朝起きて見てみると、曇りのち雨。 え、雨? 「え、昨日から雨の予報出してましたけど?」と言わんばかりにシレっと変わってた。 とりあえず海側での撮影はまた今度、という事で。モデルさんに時間も取って貰ってるので、「じゃ

ネオンが眩しい秋葉原の夜

こんにちはO太郎です。 秋葉原と言えば電気街。電気屋とメイドがひしめくこの街の夜は、眩しいほどネオンが輝いてます。 昔からよく来ているんですが、どんどんと店が変わりビルが変わり、飲食店も増えて綺麗になった気がします。 そんな変化の激しい街、秋葉原をスナップしていきます。 それではどうぞ。 久しぶりの秋葉原。萌え文化は根強いですね。 有名なメイド通りは今日も活気づいてます。 駅前の一等地をドラッグストアが抑えてました。 派手な街並み ニッチな店が集まって か

写真は詩

写真と「詩」はよく似ています。両方とも、見えるものより見えない何かを語ろうとするからです。例えば、匂いや手触り、音や温度や味、それから時間や感情だってそうです。どれも視覚以外の感覚で目には見えないものばかりです。写真や詩なら、そのままを写したり言葉にしなくても、感じてもらうことができるはずです。 だからなのか写真と詩の作り方には共通する部分があります。 実際に写真に対して「poetic(詩的な)」という表現が使われたりもします。優れた詩からは自然と画(つまり写真)を心の中に

ミラーレス一眼でオールドレンズを使う時のはじめの設定。

この設定をしないと撮れません。20万円とか50万円とか高額なカメラではなく、気軽にカメラをはじめる方法の1つとしてオールドレンズのことを書きました。 → 気軽にオールドレンズを楽しむために。 頑張れば5万円程度で一眼カメラをはじめることができてしまいます。中古カメラと古いレンズ、そしてそれをつなげるマウントアダプターの組合せで日常カメラを楽しむという提案です。 レンズをつけるのは簡単ですが、それだけでは機能しないのです。 ある設定を変更しなければいけません。 今回は、ミ

¥100

僕はなぜ京急の街を撮るのか|Kaniemon自己紹介

アカウント名を「京急の街フォトグラファー」としてしまった。 半分、決意表明みたいなものだ。続かなかったら笑ってください。 僕は今、京浜急行の街を、なるべく全部、数年かかってもいいから、写真を撮りたいと思っている。 品川から浦賀までの本線、京急蒲田からの空港線、京急川崎からの大師線、金沢八景からの逗子線、そして堀之内からの久里浜線。 合計72駅。 一つの駅が一つの記事で収まらない可能性もあるわけで、終わりを考えると途方にくれる。 お金になるわけでもない。 むしろ出費

fp用ウェブカム化ブラケットの3Dデータ公開

2020/10/2 追記 当初公開していた3Dデータは、アルカスイス互換プレートがJIS規格に準拠していない形状となっており、一部カメラ、雲台等で取り付けられない事が判明しました。このたび、JIS規格に準拠する形でアップデートいたしました。 今日の担当:K(デザイン課) 今回の記事では当社代表のTwitterでも紹介されたブラケットの第二弾の3Dデータ公開と、制作時の小話をしたいと思います。 「第二弾」というのも、実は第一弾には致命的な欠陥がありまして..... テレワ

カメラを買ったはなし

 今年の9月からフランスのリヨンに留学する予定だった。人生で初めての一人暮らしを、フランスのリヨンで始めるはずだった。留学することが決まってからのわたしは、週に5日朝6時からコンビニでレジ打ちをし、週4で塾で講師をし、週末には派遣バイトに出かけた。お金をなるべく使わないように飲み会を断った。フランス語の勉強も頑張った。リヨンの街はしっかり頭に入れたし、美味しいレストランを調べてみたりもした。全ては9月から始まる、ワクワクドキドキな、リヨンでの生活のためだった。  3月の中旬