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みんなのおすすめの本 記事まとめ

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読書感想文や書評など、おすすめの本について書かれた記事をまとめたマガジンです。
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『1Q84』:春樹ワールドの魅力にどっぷり浸かる

みなさん、いかがおすごしですか! オーウェルの1984を紹介したこともあって、今度は村上春樹さんの代表作の一つ『1Q84』について、じっくり語りたいと思います。この小説は、私たちを別世界へと誘い、現実とは少し違う不思議な世界観で魅了してくれます。それでは、さっそく『1Q84』の世界へ飛び込んでいきましょう!  ※ネタばれありなので、読まれていない方は注意してください。 ストーリー:2人の主人公と不思議な世界の始まり『1Q84』は、30歳の青豆という女性と、予備校講師の天吾と

筒井康隆「ビアンカ・オーバースタディ」ほか

【どうでもいい話】「作品を出すだけで嬉しい」とは、作家にとってある意味で辛い言葉ではなかろうか。 もちろん褒め言葉としても取れるが、自作の作品としての良し悪しを度外視されるのは優しい戦力外通告のようにも聞こえる。 それでも、筆者には二人「作品を出すだけで嬉しい」作家がいる。一人は筒井康隆、一人は萩尾望都だ。 もう筒井康隆は「ダンシング・ヴァニティ」も「聖痕」も「モナドの領域」も読んでいない。萩尾望都も新作のポーの一族は「春の夢」で止まっている、「王妃マルゴ」は今後もおそら

【読書メモ】今週読んだ3冊

『青の炎』貴志 祐介 ・母親の元夫のクソ男の殺害を企てる少年のお話。このあらすじだけで分かる通り全体的に暗い話だけど、ときどき同級生と繰り広げる和やかなやり取りと、湘南という爽やかな舞台設定のおかげで中和できている。かも。ちなみに男女物。 ・化学の授業で習ったことが犯行計画に影響したり、国語の授業で習う『山月記』や『こころ』の内容が主人公の心情とクロスオーバーしたりと、高校生主人公ならではの展開がある。主人公の属性を思う存分活かしているなーと。 ・犯人を応援したくなるミス

『城』小説家 辻邦生の始まり。運命に左右されるリゾート地の夏。

発表年/1961年 短編『城』は、辻邦生作品の中で初めて商業出版誌に掲載されたものです。辻邦生さんはこの小説で「小説を書くというエクスタシーを全身で味わった」とおっしゃっています。そのことは、このあとに書いた『ある晩年』についてのあとがきでも語っておられます。 さらに雑誌『近代文学』を創刊された埴谷雄高氏から、いいものが書けたら「近代文学」に載せてあげる、と言われたことで、辻邦生さんは最初から、 ということになります。何と羨ましい出発でしょうか・・・ 1.フランス滞在か

『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』読んだよ

谷川嘉浩『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』読みました。 なかなかすごいタイトルの書籍ですが、いきなり感想を言ってしまうと、これはめちゃくちゃ良かったですね。 著者は哲学者の谷川嘉浩氏。恥ずかしながらあまり具体的な活動は存じ上げないのですが、他ではこの『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる』でも共著者の一人として登場されてますね。(こちらは江草は絶賛積読中) で、今回の『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』。タイトルからも分かるように「衝動」がメインテーマです。

「人間失格」の超かんたん解説~太宰治の魅力にハマる?~

今日は、超有名だけど暗そうで敷居の高い本「人間失格」について、分かりやすく語っていこうと思いまーす。ちょっと難しそうなイメージがあるかもしれないけど、この小説、じつはとっても共感できる人間ドラマなんですよ。太宰治の波乱万丈な人生も垣間見えちゃうから、興味津々間違いなし!さぁ、「人間失格」トーク、スタートしましょう! 太宰治って、どんな人?まずは、この小説を書いた太宰治について、ちょこっとお勉強しましょう。太宰治は、昭和初期に活躍した、とっても個性的でユニークな小説家なの。彼

【読書感想文】ナースの卯月に視えるもの

Amazonへ投稿したレビューをまず転載します。 【これは慈愛の物語】  タイトルだけを読むと「ちょっとホラーかしら」と警戒してしまいました。良い意味で騙された気分です。だって卯月に視えるのは「優しい心が生み出す優しい世界」なのですから。その優しさを受信して卯月が動き出し物語が展開していきます。  看護の現場を緻密に心情豊かに描く「お仕事の場面」と日常的な「お食事の場面」を切り替えながら、主人公や同僚、患者など登場人物たちの生活、生命の活動の物語です。  病も死も悪い事、

最近読んでいる本(12) #115

GWはあまり読書をする時間を作らなかったので、ここ数日は読書が進んでいません。 最近は読書以外のことができないか、いろいろと悩むようになりました。 手芸でもいいし、何か形に残るものを作り出したいと思うことがあります。 何かいいものはないだろうか・・・。 読んだ本のストックがたまってきたので感想を書き残したいと思います。 肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行 平松 洋子 (著) ↑普段何気なく食べている畜産物の歴史、屠畜、調理などについて取材をした内容が詰め込まれてい

子どもでもわかる「原因・結果の法則」⁉️芥川龍之介の『蜘蛛の糸』②

いつも私の記事をご覧くださり、ありがとうございます! この度、定期購読マガジン「仲川光🌸文学入門①近代文学」、第四回目の記事を公開させていただきます! この記事がいいな!と思った方、続きが読みたいと思った方は、ぜひ定期購読マガジンの方をご検討くださいね。↓↓ ※単体の有料記事だと250円。 ※定期購読マガジンですと1ヵ月980円。(約8記事分) ※単体記事で8記事買うと2000円になるため、継続購読であれば、圧倒的に定期購読マガジンがお得です🌸 前回に引き続き、芥川龍

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4月の購読本紹介📕

どうも、カンイチです。 4月に購入し、良かった本を紹介しようと思います。 今回のテーマは普段なら手を出さないだろうと思う本を あえて読んでみました。 【バフェットからの手紙】まずはこの本なんですが、有名な投資家で名前は知っていたんですが、 どういう人なのか知りたいなあと思い購入しました。 本を読む前の印象ですが、常に銘柄の動向を気にしながら売り買いをしてるやり手のイメージでした。 ただこの本を読んでいくと、印象と大きく違うことに気づかされました。 まず、いい経営状態の会社の

『純粋理性批判』に挑戦したい人向けの哲学入門書10選

※このページはAmazonアソシエイトの広告を含みます。 哲学を勉強し始めると、「カントを読め」という意見をよく目にします。カントの著書について調べると『純粋理性批判』とかいう難しそうな本が出てくるではないか。 今回は難解な『純粋理性批判』に挑戦する前に僕が読んだ入門書を紹介します。ちなみに僕は哲学の専門家ではなく、ただのど素人です。あまり間に受けすぎないようにしてください。 しかし、哲学入門とタイトルに書かれていても、ど素人から見れば難解な入門書はたくさんありますから

「十三月怪談」 川上未映子

「わたしはもっとじゅんちゃんと、いきていたかったんだな。」 「十三月怪談」 川上未映子 「愛の夢とか」より 時子はなんとなく不調になって、駅前の病院で血液検査をしました。 翌日の午後4時、病院からの電話。 「検査の数値に問題があるので、紹介状を書きます」と医師は言いました。 時子は、極度の心配性でした。 総合病院で検査を受け、進行性の腎臓病であるとわかり、時子はみるみる弱っていきました。 夫の潤一は、考えます。 時子にとっては、夫の潤一しかいませんでした。

SF短編集2冊の感想

少し前に読んだ作品の感想を2件、まとめた記事です どちらもジャンルとしてはSFに相当する作品なのですが、SFってこんな作品もあるんだ、こんな切り口のSFもあったのか、と、意外性を感じ取れる作品集ですので、普段SFというものを読みつけてない方へも、どっぷりSF沼に漬かっている方へもおすすめしてみたい作品となっております 高山羽根子/うどん キツネつきの タイトルにきつねが入っているので読んでみた作品です 創元SF文庫というレーベルのこともあり、SFを読むつもりで飲み始めた

【本】2024年4月に読んだ本

ぴかぴかに晴れた4月25日の八重桜。 4月は、とにかくやりたいなと思っていたことをぐんぐん叶える月だった。 そうしたら、4月下旬から5月初旬くらいになってから、やる気がむきむき。 自分の課題に真っ直ぐ目を向けて、解決や知見のために本を読む気力があったり、自分の世界観の中で読書以外にやりたいことがたくさん出てきて、なんだかこの感じ久しぶりだなあと嬉しい。 嬉しくて、いけるところまでいっちゃえ〜!とGWを駆け抜けたら、まあ心が小石のようになりまして、そのあたりうまい塩梅…。