Forever Young 【ショートショート】
漫喫のドリンクコーナーでホットコーヒーをカップに注ぐと、青田亮平はその場で一気に喉に流し込んだ。時刻は午前4時。コーヒーが全身に染み渡る時間帯だ。
亮平の背後を40代くらいの男性が通り過ぎた。ああ、漫喫の匂いだ、と思った。自分も今こんな匂いなんだろうか。汗と、個室に染みついた煙草の匂いと、あと古本独特の匂い。以前何かの雑誌で、本にはバニラやアーモンドなどの香り成分と同じ化合物が含まれていると書いてあった。確かに自分の服からは少しだけバニラのような甘い匂いがした。
シャワールー