バイクに乗りながら俳句を詠みたい 第574話・8.19
「お、ここがいいな」松尾良太は、富士山が見えるあたりでバイクを止めた。彼は自らを、松尾芭蕉の子孫だと自称している。だが実際には妻のいない芭蕉には、直系の子孫がいなかった。だが彼が言うには、芭蕉の兄弟が松尾家を継いだので、その子孫だという。そして彼は、誰よりも芭蕉を尊敬していた。
「本当は俳句のひとつでもだけど、とても無理だなあ」
良太は俳句を作ることをあきらめていた。だけどせめて芭蕉の足跡をと言うことで、残された芭蕉の句を一句ずつ丁寧に読んでいる。
そしてついに彼は行動に