失恋した次の日のつぶやき

昨日、私は振られた。
たぶん、振られた。
でも本当に彼のことを好きだったのかはわからない。

私は付き合っているという認識をしていて、彼はその認識がないということが判明したのが昨日の夕方。

今月会う約束をしていたが、彼の体調がいまいち安定しないので断念。
仕事で海外出張があるというので、帰国してからの連絡を待っているところだった。

彼からのLINEがきた。
「あ、しまった。まだ言ってなかったね。向こうで暴動があって、到底仕事にならないだろうってことで、また延期になってしまいました」

私は思わず「え」「そういうのは早く言おう」とLINEした。

「直前で航空会社からも、現地での安全や十分な対応は保証できないって言われちゃってね。じゃあどうすんだ、って、ほんとバタバタしていました」

彼からの返信に、来月会う予定だった日を伝えると、「そうだね、大丈夫」「抜けてて、ごめんよー」と返事がきた。

この返事にもやっとしてしまった私。
夕方まで悶々とする気持ちを抱えて、不必要な言葉を送ってしまった。

「私たち付き合っているという認識でよろしいでしょうか」

彼からの返事。
「ごめん、前に話したときに、そういう人間関係がすごく嫌だと言っていたので、ちょっと混乱している。お互い拘束しない感じの方がいいものと思い込んでいた」

確かに私は恋愛が苦手で、男女関係における男性からの好意が苦手だと伝えた。それと「付き合う」ことは別だと考えていたが、そもそも彼は私を「付き合う」相手としてみていなかったことが分かって悲しかった。

私は「大切に思わなければ、もう会わなくていいよ」と送った。

もう引き返せないところへ、自分を追い込んでしまった。
私から別れのカードを差し出した。

彼からはちょうど4時間後、22時50分に返事があった。
「大切に思わない、という言い切るには抵抗がある。
でも、たぶん期待されているレベルには届いていないんだと思う。
ごめんなさい」

私は返事を打つ。
「あまり期待していない、といっても言葉の空回りだよね、、
束縛とかはしないけれど、最低限のマナーはあると思っていました」


「ごめんなさいは、もう会わないという意味であっていますか」

彼からの返事。
「気の合う人、という感じでいたけれど、そういう考え方での私の対応が物足りなくて、不満に思わせてしまっているのが現状。
会っても、より不満を募らせるだけじゃないかと思ってしまっています」

私は苦笑して、返事を返す。
「気の合うセフレかー」
「参考までに最後に教えてください。
気の合う人とは、みんなセックスをするのでしょうか」

彼からの返事。
「そういうわけではないつもりだけど、普通の男性より感覚が緩いのは否定できないだろうね」

私は彼を好きだったのだろうか。
よくわからない。
頭が良くて仕事のできる人だったが、人間性や見た目はあまり好きではなかった。ただセックスの相性はよかった。
淡泊で経験の少なそうなセックスだけど、持久力だったりフィット感がよかった。

私の方が身体目的で、彼に会っていたのかもしれない。
振られたのに、それほど悲しくない。
ちょっと残念で空しくて、チクンと心が痛むけれど、軽い痛みだ。
明日には痛みはなくなるだろうと思う。

私は言葉を重ねた。
「それなりに楽しくて
それなりにしんどくて
それなりにドキドキして
それなりに傷つきました」
そして感謝を込めて
「ありがとう」と送った。

どんなに不純な関係でも、その関係に半年間支えられたのも事実。
月に1回会って、食事をして、セックスをする関係。
夕方から会って、終電までの時間を2人きりで楽しんでいた。
美味しい食事を共にして、共に楽しく語り、共に性欲にまみれた。

彼からも最後のLINEが届いた。
「ごめんなさい
　ありがとう」

これで終わり。
40代後半になり、恋の一つを簡単に終わらせられるようになった。
心の痛みも僅かに残して、一つのいい経験とすぐに思えるようになった。
彼が本当のところ、どう思っていたのかは分からない。
私はまだ彼の心を、深く掘り下げて聞くことができていなかった。

彼は恋愛に不器用な人だと思っていた。
それでも40代前半の彼は、それなりの女性経験もあったということだ。
バツイチで嫁に逃げられたのも、よくわかる性格だった。
今は仕事のことで精いっぱいで、他のことまで手がまわらないのだろう。

今までどうもありがとう。
でも、これ以上いい女には、もう出会えないからね。
残念なことをしたわね（笑）さようなら。