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『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く

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主に「自由」をテーマに『進撃の巨人』を真剣に深掘りしています
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記事一覧

【進撃の巨人】始祖がもたらす影響には過去も未来も無い?【SF考察】

【進撃の巨人】始祖がもたらす影響には過去も未来も無い?【SF考察】

『進撃の巨人』関連の記事はこれで14個目になるのですが、記念すべき13個目がnote公式にピックアップされたおかげでかなりの反響がありました。閲覧数が1週間で12万件近くあったようです。こんなことになるなんて思ってなかったんや…。

ついでに最終回考察記事もピックアップされてこちらもかなり読まれたようです。Twitterでこれすごいと共有してもらったり直接コメントをいただいたり少しは報われた気持ち

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【進撃の巨人】10年間理解することを諦めなかったオタクのアニメ最終回感想

【進撃の巨人】10年間理解することを諦めなかったオタクのアニメ最終回感想

アニメ最終回、無事に終わりましたね。
おめでとう!ありがとう!
1日でとりあえず3回は見ました。

アニメ放送までになんとか最終巻振り返りを書き切り放送終了と同時に公開できました。まずはそちらを読んでいただけるとありがたいです。

「僕が言ったこと… 間違ってなかっただろ?」

大方の予想通り「10年以上は引きずっててほしい」より後からアルミンが目を覚ますところまで完全アニメオリジナルでしたが、そ

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【最終34巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑪

【最終34巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑪

「不条理に抗い続ける姿勢=なりたい自分を自ら選ぶ=自由=人間讃歌」と定義し『進撃の巨人』を振り返ってきましたが、ついにこれが最後となります。

まずはじめに前回も紹介した作者である諫山創先生のこのブログを読むのをおすすめします。作品外の情報には触れないと最初に決めたのですが、これだけはエレンへの理解の補助線としてうまく機能すると思うのでぜひ。いや読め。

この記事では諫山先生が考える『ヒメアノ〜ル

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【33巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑩

【33巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑩

ついに…たどり着いたぞ この景色に

前回の最後を読んでおくとエレンの自由意志の話が理解しやすいかと。

調査兵団がマーレに上陸した初日、エレンはキヨミの用意した館を飛び出して市場を歩きながら自問自答していました。

未来の記憶によれば自分はこれからここにいる人たちを皆殺しにする、それほどの選択をしなければパラディ島が生き残る道はないとして、本当にそれでいいのかと。

とくに、亡き母親カルラはどう

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【31〜32巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑨

【31〜32巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑨

最終PV公開されましたね。兵長がビュンビュン動いてるだけでバイトの昼休みに半泣きになるオタクになってしまった…MAPPAさんありがとう…

いやリンホラ!! Linked Horizonが主題歌??!? 2曲も??! 分割版にはヒグチアイも?!! やっぱ「調査兵団 vs 巨人」の主題歌はRevoさんしかいないとは思ってましたけど夢かと思った…アルバム『進撃の軌跡』何回聴いたと思ってんの…フェス2日

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【29〜31巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑧

【29〜31巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑧

ジークの脊髄液入りワインでイェーガー派は兵団を制圧します。シガンシナ区に兵が収容される中マーレ軍が奇襲を仕掛け街は戦場となりました。

一方捨て身の自爆で体が真っ二つになったジークでしたが、巨人のお腹に取り込まれ「道」で出会った始祖ユミルによって復活を遂げます。(安楽死計画の首謀者が赤子が産まれるみたいに出てくるのが良い)

ジークはシガンシナ区に到着し、かつての仲間たちを投石で蹂躙します。それで

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【26〜28巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑦

【26〜28巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑦

「プロフェッショナル 仕事の流儀 エレン・イェーガーSP」を見ました。
普通によかったですね!ネタ番組かと思いきや半分くらいはかなり真面目な内容で、とくに地鳴らし直前のエレンの心境が語られるかなり貴重な資料になっていたように思いました。しかもかなりエレンの核心をついていて誰が脚本を書いたんだろうと思いましたが、それを書いたのが梶裕貴さんご本人と。もうこの人すごい通り越してこわい。

このパートはど

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【23〜26巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑥

【23〜26巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑥

ウォール・マリア奪還から4年。ここから舞台はマーレに移り、物語は第2部(と呼ぶことにする)が始まります。

第1部は「人類(正義)は巨人(悪)に勝てるのか?(勝てる)」という少年漫画の命題を愚直にいく王道作品で、巨人を倒せば万事解決の解決可能問題に挑戦していました。巨人という理不尽に対して、人は自由であれるのか?

一方第2部では、戦争、差別、教育、環境、人種といった我々が生きる世界と同じ様々な解

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【18〜22巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑤

【18〜22巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く⑤

この振り返りシリーズの最初に書いた記事が、応募していたお題2つにおいて先週特にスキを集めた記事になったそうです。本当にありがとうございます。

この振り返りもついにウォール・マリア奪還作戦編に突入します。あと2週間ちょっとでアニメ最終回とは想像できないですね。

この編のはじまりではまず、アルミンによるナレーションが入ります。

ではウォール・マリアを奪還したなら
人類は何を叫ぶだろう

人類は生

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【13〜18巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く④

【13〜18巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く④

本章のキーワードは「役者」です。

エレンが座標の力を宿していることが判明し、王政府はエレンとヒストリアを狙うようになります。ここから調査兵団は対立する王政の人間を殺さなければならないという新たな通過儀礼を受けることになります。

そんな状況でも圧倒的な戦果を上げたのがリヴァイです。巨人であろうと人間であろうと目的のためなら容赦なく殺すプロフェッショナル・リヴァイの仕事の流儀とは「役者に徹する」と

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【9〜12巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く③

【9〜12巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く③

前回と前々回の最後に、本当の自分と向き合うことが精神の自由につながるという話をしました。本章はその流れをくむアイデンティティについてです。

ウォール・ローゼ内に巨人が出現したことで現場に駆り出される調査兵団。サシャが訪れた村はすでに人が出払っていましたが、取り残された少女カヤを発見します。サシャはカヤに「何でそんな喋り方なの?」と聞かれます。

森で育ったサシャは狩人の一族として生活していました

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【5〜8巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く②

【5〜8巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く②

『進撃の巨人』には様々な「自由」があるという話をしてきましたが、あらゆる自由を包括し体現している組織が調査兵団です。

調査兵団は他の兵団と違い命がけで壁外へ赴き、毎回多くの死傷者を出しています。中には税金の無駄遣いという意見も出るほど市民からは歓迎されていません。さらに王政にとっては「人類は巨人に勝てない」と納得させるための見せしめの役割もありました。

そんな調査兵団はなぜ心臓を捧げているので

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【1〜4巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く①

【1〜4巻】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く①

よろしければ前回からどうぞ

前回において「不条理に抗い続ける姿勢=なりたい自分を自ら選ぶ=自由=人間讃歌」と定義しました。それに当てはめながら第1巻の物語を追っていきます。

物語の舞台は強者が弱者を支配する圧倒的に不条理な世界。壁の中に囚われた人類は自由ではありませんでした。

彼らは壁の外に出られないから不自由なのでしょうか? それだけではありません。ここで重要なのが、彼らは心までも不自由で

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【はじめに】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く

【はじめに】『進撃の巨人』で描かれた多種多様な「自由」を紐解く

1ヶ月後に『進撃の巨人 The Final Season 完結編(後編)』が放送されます。今度こそ本当に終わるよ!

初めて『進撃の巨人』を見たのが当時中学生だった2013年。社会現象でした。紅白でRevoさん歌ってましたね。高校生で原作がウォール・マリア奪還作戦編を迎え、クラスの男子が通称「焦げミン」でざわつきました。予備校で浪人していた2017年からは毎年アニメの新シーズンが放送され、新シーズ

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