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37.そもそも、note記事は著作者の許可なく勝手に使用してはなりません!

質問㊵・著作権には「著作者人格権」があると聞いています。その中で「同一性保持権」があるから勝手に改変したり、加工したりしてはいけないといわれていますが、著作権が譲渡されているものは「著作権者」が変わっているのですから、自由に扱えるものだと思うのですが、どうなのでしょうか?
 

著作権は「著作者人格権」の中の「同一性保持権」があるから、勝手に改変したり、加工してはならないという意味ではなく、そもそも著作権自体に著作者の許可なく勝手に使用してはならないという規定があるのです。


厳密にいうならば、「同一性保持権」とは、著作物の同一性を保つことであり、著作者の意に反した改変を受けない権利のことをいいます。


これは著作物の同一性を保持することに関する権利で、勝手に改変することは〈著作者の人格を傷つける〉おそれがあり、著作権として主張はできるものです。

著作者が著作権を譲渡することによって、新たな「著作権者」が生まれる事になりますが、その著作物をそのまま利用することはできますが、元の著作者に確認なく勝手に改変することはできません。

たとえば同一性保持権を侵す行為の例として、カメラマンが撮影した写真があったとします。その写真(著作物)は譲渡されました。しかし、スペースの都合上、著作物の一部分を勝手にトリミングしてカットする場合もありますが、この場合も同一性保持権の侵害となります。


「著作権」は譲渡できるものですが、「著作者人格権」は著作者〈一身属性のもの〉で、譲渡はできない、人格権(著作者を傷つけてはならない)のあるものです。
 
「同一性保持権」は著作物の変更、切除、その他の改変について適用されるものです。たとえば文章を編集の都合によって修正し、一部をカット。また、写真やイラスト絵画の一部をカットしたり、トリミングによって変化を加えたり、映像なども放送時間の関係上一部カットして上映する場合もあります。


このような改変をおこなう場合に著作者の意思に反すれば、「同一性保持権侵害」となってしまいます。


たとえば、ある会社が著作物を買い取りました。しかし、この著作物は自分の求めているものとわずかながら違うため、少し手を加えて自分好みに修正したとします。その結果、もとの著作物とは大幅に変わってしまったが誰に見せても修正したものの方が良いという評価であったため、修正して公表することになりました。

この場合、たとえ著作物を買い取り、著作権者が会社に移転していたとしても、改変行為は同一性保持権侵害となります。


「同一性保持権」に関するこれまでの判例では、
①「懸賞論文について主催者側が送り仮名、読点の使い方などや改行の取り扱いなどを改変した場合」
②「美術品の色彩を変更した場合」
③「フォト・モンタージュの手法により複数の写真を組み合わせてひとつの写真を作成する場合」
④「写真について事実と異なる説明文をつけて掲載した場合」など、同一性保持権の侵害が認められています。


また、それに対して、雑誌に投稿された俳句を選者が添削した場合については、俳句界の慣行に照らし、同一性保持権侵害に当たらないとされている例もあります。

このように、著作権は使用許諾契約を交わしたから、著作権を譲渡し、著作権者になったからといって、すべてを自由に扱うことができる訳ではありません。


「著作者人格権」は、著作者の人格的利益を保護するために認められた権利であるため、他の人格権と同様に、著作者を離れては存在しえないものです。

つまり一身専属性のものです。


したがって、複製権などの著作権とは異なり、著作者人格権は譲渡することはできません。また、著作者人格権が一身専属的であることから、著作権は相続できたとしても、著作者人格権は相続の対象にはなりません。

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