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169.自治体が訴えられた!自治体のほとんどは著作権のことを知らない?

23.自治体が訴えられた! 自治体のほとんどは著作権のことを知らない


 
「画像が鮮明にならないように調整すればかまわないと思った!」
2005年10月12日。横浜市が訴えられた。

これは、同市が税金滞納者から差し押さえた絵画をインターネットオークションで公表する際、画家の許諾を得ないで画像を掲載するのは、著作権の侵害にあたるとして、著作権管理業者が同市を相手取り、掲載の差し止めなどを求める訴訟を東京地裁に起こした。

著作権訴訟で自治体が訴えられるのはめずらしい。

著作権は、画家や作家などの死後70年まで存続する。
絵画などの作品を買ったとしても、著作権まで得られるわけではなく、著作権の譲渡がなければ、著作者の許諾なしに複製や展示などはできない。

報道目的などを除けば、ホームページに作品の画像を掲載する場合も著作者の許諾が必要とされる。

訴えを起こしたのは、絵画などの美術品の著作権を管理する「美術著作権センター」(東京都中央区)。

訴状によると、横浜市は2005年2月、民間業者が運営するサイトで、市税滞納者から差し押さえた物品の公売オークションを実施し、この中で、原告が著作権管理委託契約を結ぶ洋画家の絵画1点を出品し、全体写真と署名部分の拡大写真計3枚を掲載した。

これについて原告側は、同市は著作権者からの画像掲載の許諾を得ておらず、著作権を侵害していると主張。掲載の差し止めと、未払いの許諾料など約17万円の支払いを求めている。

一方、横浜市側は、「公表オークションでは画像が鮮明にならないように調整しており、著作権の許諾が必要な『複製』には当たらない」と反論。

また、複製だとしても、「今回のケースは『引用』に当たるため、やはり著作者の許諾は必要ない」と反論している。

今回の訴訟について、公売のための情報提供であっても、著作権者の許諾は必要。
これは横浜市の大きな誤りだ。

また、これらの原因は自治体の著作権意識が薄く、「画像が鮮明にならないように調整」することで違法性はないと反論している。

画像を著作権者の許諾なしに勝手に改変し、著作者人格権侵害になってしまっている。
よく、著作物の画像を不鮮明にしてあるから大丈夫だと勝手に解釈している人が多いが、それはあくまでも肖像写真に関することで、美術は画像を改変すること自体が違法といえる。

また、『引用』という言葉で逃げても、引用であるための諸要件を満たしていなければ、これも引用としては一切あてはまらないだろう。
それにしても、日本全国の自治体に著作権のことをわかる人がほとんどいないとは残念なことだった。

©NPО japan copyright association


そして、現在。


平成21年3月10日、「著作権法の一部を改正する法律案」が国会に提出された。改正案47条の2は、
「美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権限を有する者が著作権者の譲渡権又は貸与権を害することなくその原作品又は複製物を譲渡しようとするときは、譲渡等の申出の用に供するため、これらの著作物の複製又は公衆送信を行うことを認める」

つまり絵画をネットオークションで販売する場合には、その絵画の写真を必要な範囲内でネット上で公開することを認めるという意味です。
2009/11/25補足
平成21年6月に著作権法の一部を改正する法律が公布され、平成22年1月1日より、美術の著作物や写真の著作物をネットオークション等の対面で行われない取引において販売する場合には、権利者の許諾がなくとも、その美術の著作物等を複製、公衆送信することが認められるようになった。
但し、著作権者の利益を不当に害しないため「政令で定める措置を講じ」る必要がある。

では、どんな措置が必要かというと、(著作物の表示の大きさ又は精度に係る基準(法第47 条の2、令第7条の2、規則第4条の2)を設けた。
ⅰ図画50平方センチメートル以下となる。
ⅱデジタル32,400画素以下となる。

ⅲⅰⅱの基準のほか複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が、譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること、としている。


 

24.パチスロ特許裁判。

特許無効で「アルゼ逆転敗訴」



 2005年10月12日。パチスロ機に関する特許を侵害されたとして、遊技機の大手「アルゼ」(東京都)が、「サミー」に約100億円の損害賠償を求めた訴訟審判決で、知的財産高裁は、サミーに約74億円の支払いを命じていた一審東京地裁判決を取り消し、請求を棄却した。

判決理由で、篠原勝美裁判長は、「アルゼの特許を無効とする別の訴訟が確定したことで、特許は初めから存在しなかったとみなされるから、請求は理由がない」と述べた。

アルゼの特許をめぐっては、別の訴訟で有効性が争われ、最高裁第一小法廷が、2005年7月に特許無効の東京高裁判決を不服としたアルゼ側の上告を退け、無効が確定していた。
問題となったのは、大当たりの後に一定回数だけ制御装置を解除し、プレーヤーの技術で絵柄をそろえやすくする「チャレンジタイム」に関する特許の部分。
 アルゼは1994年に登録、サミーともう1社がその後、同様の機種を販売したことが問題となった。

2002年3月の一審判決は、特許侵害を認め、サミーともう1社に計約億円の賠償を命じたが、同年12月、特許庁が、サミーの請求に基づき、特許無効と審決。2005年2月、東京高裁は、アルゼの審決取り消し請求を棄却していた。


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25.「ネット図書館問題あり!」著作権侵害の恐れ 


 
2005年10月19日。インターネット検索最大手の米グーグルが進めているネット図書館構想について、米国の出版大手五社が著作権侵害に当たるとする訴訟をニューヨークの連邦地裁に起こした。
9月には、約8000人のメンバーを擁する米国の作家団体が同様の訴訟を起こしたばかりで、ネットと著作権をめぐる新たな問題として波紋を広げそう。

ネット図書館は、ハーバード、オックスフォードなど米英5大学の図書館の蔵書をスキャナーで読み取って電子化し、ネット上で検索や内部の一部閲覧できるようにする構想。グーグルは、「読みたい書籍を簡単に見つけることが可能になる歴史的な試み」としている。

一方、マグロウヒルなど5社は、一民間企業にすぎないグーグルが膨大な書籍の電子情報を手にすることを警戒。これを認めると、違法コピーされる恐れがあるとして、著作権者から事前に許可を得るべきだと主張してきた。

 株式会社図書館流通センター(TRC) ||電子図書館サービスTRC-DL:導入事例(図書館ツール)



©NPО japan copyright association

「図書館と著作権」
公益社団法人著作権情報センターホームページより

2009年以来の著作権法改正は、国立国会図書館による資料のデジタル化に始まって、デジタル化資料のうち絶版等資料については、各図書館等へ送信できるまでになってきて、今回の令和3年改正は、その先の各研究室や家庭にまで直接送信できるようにしようという主旨の改正です。

その背景としては、①新型コロナ感染症の流行等のため図書館が休館している場合、②病気・身体障害等で図書館に行けない場合、③近隣に図書館が存在しない場合などの理由から図書館等での閲覧等が困難な利用者がいること、研究者へのアンケートでも75%の人が公開範囲の拡大を要望していること、そして2012年改正の際の著作権分科会でも最終的には各家庭等での閲覧を可能とすることが適当とされたことなどが挙げられています。

この改正は、国立国会図書館が特定絶版等資料を事前登録した利用者(ID・パスワードで管理)に対して送信できることとしました。

特定絶版等資料とは、著作権法31条2項の規定により記録媒体に記録された著作物に係る絶版等資料にうち、3月以内に復刻等の予定があるものを除いたものと定義されておりますので、送信可能な資料はごく限定されたものになります。

また、関係者間の協議により、漫画、商業雑誌、出版されている博士論文等については送信しないこととされており、その他の図書等についても国立国会図書館による入手可能性調査などで権利者の利益を不当に害しないことが担保されておりますので、なおさらのこと範囲は狭いものとなっています。

特定絶版等資料を送ってもらった利用者は、必要とも認められる限度のプリントアウトをすることや受信装置を用いて公に伝達することができるようになっています。

なお、この改正は「著作権法施行令の一部を改正する政令」及び「著作権法施行規則の一部を改正する省令」が令和4年4月27日に公布され、令和4年5月1日から施行されました。また、これを受けて、国立国会図書館は「個人向けデジタル化資料送信サービス」を令和4年5月19日から開始しています。


https://www.cric.or.jp/qa/cs03/index.html図書館と著作権 | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC

「クリエイター著作権全般」特定非営利活動法人著作権協会(NCA)
https://www.npojapancopyrightassociation.com/https://www.npojapancopyrightassociation.com/

 
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