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347.まったくのゼロ市場から生まれた大ヒット「クイックルワイパー」の戦略

1.まったくのゼロ市場から生まれた大ヒット「クイックルワイパー」の戦略


花王の「クイックルワイパー」9l


どうすれば買ってもらえるか、すべて貫きヒットは生まれる。
まったくのゼロの市場から発売され、現在も爆発的な大ヒットを飛ばしている商品がある。1994年の発売以来、今や世帯普及率90%。

それは花王の「クイックルワイパー」。
同社のハウスホールド事業部シニアマーケターの小泉篤さん(歳)はこう語る。

「本当のニーズは消費者へのアンケート調査では見えてこない。実際にご家庭を訪問させていただいて得た情報が、実はこの商品でも大きなヒントになっているんです。」

クイックルワイパーの原点ともいえるアイデア商品発売の年以上前からあったという。実はこの商品の大ヒットの裏には、綿密な消費者リサーチがあった。

丁度、同社では、「家事の快適性」をテーマに絞り、当時は家事をめぐる環境が大きく変化し始めた頃。その時期は、フローリングが増加傾向にあり、小さな建売住宅や、マンションなどにもこのフローリングが劇的に脚光を浴びていた。

そんな時、これからの住宅、住環境はどうなるのだろう。
どこへ向かうのだろうか。

そんな事から。消費者だけの調査だけではなく、住宅メーカーや設備メーカーへのリサーチを進めることになった。
さらに大規模なリサーチのみならず、直接、数十世帯への直接訪問も行う。

「訪問調査をして初めてわかったことは、そもそもフローリング人気は、カーペットなどに比べれば掃除がしやすいからだったんですね。でも、実際は、ホコリが逆に目立つ。掃除機をかければホコリが舞い上がってしまう。だけど、雑巾を使う床掃除は肉体的にきつい。消費者は従来にまして掃除に悩んでいることがわかったんです。」

さらに問題点としては、アレルギー対策、夜間の掃除機の使用は音が出てうるさい。ここでクイックルワイパーの商品コンセプトが固まった。
つまり、立ったまま、簡単に掃除ができる商品、というものだ。

だからといってこれで終りではない。
この後もさまざまな試行錯誤は続く、そして実際の商品へと結実していくが、あくまでもそのスタンスは、自社の都合ではなく、すべて消費者に向けられたもの。

また、花王のイメージは、洗剤など日用品が中心のメーカーであり、洗浄剤を一切使用しないというイメージがあり、化学薬品を用いない斬新な商品だったともいえる。

道具としての機能を持つ商品開発は実は花王では初めての取り組み商品、それだけにその後のマーケティング戦略は練りに練られた。

つまり、なにより市場にない商品のため、商品コンセプトを言葉で伝えるだけでは、消費者に伝わらない。そのため「どう買ってもらおうか」ということにポイントを置いたという。

花王の「クイックルワイパー」より



そこで考えぬかれた戦略として、
(A) 掃除道具売場には置かない、
販売を考えた流通戦略クイックルワイパーの商品はあくまでも掃除道具だが、実際にスーパーなどの売り場では、掃除道具売場は比較的端や隅に置かれ、あまり人通りのないところに置かれてしまう。

そこで他の商品との差別化を図るために、住居用洗剤などの他の売り場で売ってもらうための方法をとる。
また柄が長いままでは場所をとりすぎるため、住居用洗剤などと同じ棚の高さに合わせたコンパクトなパッケージにする。

その上で何の商品かがすぐわかるパッケージづくりや、見本品展示の徹底を行い、まず『使ってもらう』ためのコミュニケーション戦略を実践。

そして、まず『目で見てもらう・使ってもらう』戦略を徹底した。
このように売り場の選定、流通業への気配りが、『どうすれば買ってもらえるか』を貫いて、この大ヒットは生まれた。

(B)買ってもらえる上限は?からスタートした価格戦略
今まで市場になかった商品だけに価格設定は大議論となったが、最終的には消費者が買いやすい価格帯として3000円と想定し、さらに今後競合となりうる化学モップ(類似)のプライスゾーンを調査し、2000円弱という現在のプライスとなる。

またクイックルワイパーでは中身のシートを継続的に購入してもらうために、本体の利益はいらないという価格戦略を打ち出す。

(C)『使ってもらう』啓蒙活動、口コミ効果を狙った戦略
コミュニケーション戦略として、啓蒙活動によって口コミ効果を狙う。ここまでするのかと考えてしまうが、主婦や多く集まる美容院や大きなターゲットとなる人が集まるペットショップなどに無償で商品を提供し、使ってもらうことで、商品の良さと新しさを消費者に伝えることを考えた。

このように『誰に買ってもらいたいかを定め、何か求められているか』をしっかりと知ること、これがマーケティングで最も重要なこと。
消費者を想定する商品、流通を捉え考え抜かれた商品、目で見てもらう、使ってもらう。ここにクイックルワイパーの大ヒット商品に結びついた理由がある。

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