安室透に恋をするための映画

「名探偵コナン ゼロの執行人」を見てきた。
私の周りの人は大体赤井秀一か安室透が好きだ。
コナンの大人女性のファン層が厚くなったのは間違いなく「純黒の悪夢」からだと思う。
ファンではない私ですら、そう認識できるくらい「純黒の悪夢」公開時に周囲が一気に赤井秀一と安室透に転げ落ちた。
公式も赤井秀一と安室透のグッズを多く出したりしてそれはもう手厚い歓迎っぷりだった。
もう一度言うが、私はコナンのファンではない。それなのにTwitterを眺めていればその程度の情報は入ってくるくらい、私がフォローしている人たちが一気にコナンを好きになり、毎週サンデーを買い、アニメを観て、同人誌を出した。
おかげで赤井秀一と安室透の人物像はだいたい把握してしまった。

安室透または降谷零は公安の刑事であり、潜入捜査のために黒の組織で探り屋として活動をし、またその探り屋の仕事のために毛利小五郎に弟子入りをしてポアロでバイトをしている。トリプルフェイスの男と言われるのはそのためだ。
今回の映画は主に公安の刑事としての降谷零に焦点を当てている。先程から安室透と言っているが、それは偽名で本名は降谷零である。しかしそんな名前さえもどうでもよくなるほど安室透という名前の方が浸透している。

29才でありながら公安で部下を持つほどの優秀な男の実力を見ることができるのが今回の映画。
映画を見終わった後にうしろから聞こえてきたのは「安室さんカッコよかった」
もちろん主役はコナンくんなのだが、男も女も安室透にやられてしまった。
公安としての仕事のあり方、部下の風見との会話で見せる憂いを帯びた表情、信じられないようなドライブテクニック、ガンアクション、大人の男が見せる色気。
そんなものがそこかしこに転がっているのが今回の映画だ。

ところが映画の内容といえばどうだろう。
もしかしたら子供には難しいかもしれない。
それは日本において”犯罪者が逮捕された後にどういう手順を踏むのか”というのが難しい言葉と共に描かれている。
もちろん分かりやすく説明するのだが、それでも難しそうである。
脚本家は櫻井武晴さん。ドラマ「相棒」で警察組織が絡む事件を描くこともある人だ。
今回の映画は警察組織を描いた内容だ。
これは子供が置いてけぼりになってしまう。
では、大人の視点で見るとどうなるか。
個人的にはエピソードは大味であまり魅力を感じなかった。
ただ、トリックに関しては常に新しいものを取り入れるコナンシリーズらしく、比較的新しいものだった。
ただ、やはり事件が起きたことの経緯などを理解するためには、大人でさえも警察と検察の関係性について理解しておいたおうがいいかもしれないと思えた。

「ゼロの執行人」は子供向けアニメの仮面を被った大人向けアニメだ。
そして安室透がいかにカッコいいのかを存分に味わうための映画だ。

「安室さん、彼女はいないの?」
とコナンくんが尋ねるシーンが最後の方にある。この頃になると観客はもう安室透に夢中になっている。息を飲んでその答えを待つ観客。安室透に恋をしたのにもう失恋してしまうのか、などと思う人もいたかもしれない。
その回答は文字にしてしまうとあまりにもキザったらしく陳腐なものだが、安室透に魅了された人々にとってはそんな言葉さえもキュンとしてしまう。萌えてしまうだろう。

長年主人公をしてきたコナンくんを凌駕する人気の安室透が気になったら映画を見ることをおすすめする。

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