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【FINTECH】P2Pレンディングの仕組みついて

Hello world!!
インテック 金融第二システム部2年目のりょーまです!

今回は昨今世界で人気急上昇中のFintechサービスである
「P2Pレンディング」
の仕組みについて調査をしたのでご紹介したいと思います!

P2Pレンディングとは?

2_P2Pレンディングとは

「P2Pレンディング」と聞いてもみなさんはあまり聞き馴染みが無いでしょう。
何かわかるよという方は相当な金融リテラシーの高さです(笑)

「P2Pレンディング」とは
「Peer-to-Peer Lending」
つまり「個人間融資」のことです。

言い方は少し堅苦しく感じるかもしれませんが、
みなさんの身の回りで「個人間融資」は頻繁に行われているのではないですか?

例えば、いまは自粛期間ですが一昔前なら同僚と居酒屋へ飲みに行って
「やば!手持ちのお金足りない!」となったときに
同僚にちょっと建て替えといてというやり取りだとか
自販機で飲み物を買いたいときにちょっと小銭を貸してもらうとか
よくあるのではないでしょうか?

「そんな身近にあることをわざわざ今なんで話題にするの?」
「そんな個人同士のやり取りがビジネスの種になるの?」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、この友達や同僚にお金を貸すという日常のやり取りは
実は"隠された前提"のもと行われているのです!

その前提をITの力でスマートに解決してはどうか?
というのが今回の試みです!

同僚にお金を貸すときの隠された前提

3_同僚にお金を貸すときの隠された前提

それは「信用」です!

意識せずにやっていることかもしれませんが、
「こいつならちゃんと返してくれるよな」という前提の元で、
飲み代を建て替えてあげているのです。

当たり前の話ですが、
そこらへんを歩いている人にいきなり
「1万円貸して欲しい!」
と言われても絶対イヤですよね(笑)

つまり

お金を返してくれそうな人→貸してもいい
お金を返してくれなさそうな人→貸したくない

銀行がお金を貸すときは
もともと取引のない全く知らない人であっても
借りる人や企業を徹底的に調べてから貸しています。

ただ個人がお金を貸すときにそんなことを徹底的に調べてまで
そこらへんを歩いている人に貸してあげようと思う人はいないでしょう。

メリットがないことと手間が大きすぎます。

でも海外では「P2Pレンディング」がものすごい勢いで成長しているようです。

海外の「P2Pレンディング」事情

4_海外のP2Pレンディング事情

実は今海外では市場規模が急拡大しています。
主に中国、アメリカ、イギリスなどで利用が進んでいるようです。

日本と法律が違ったり、融資の環境が違ったりするので一概に比較することはできないですが、ビジネスの種としては有望なのではないでしょうか?

海外では以下のメリットがあり利用者が増えています。
・スマホから簡単にお金を借りられる
・個人の信用度を計測する手段が整っている
・貸す側にもきちんと金利が発生して儲かる

P2Pレンディングの仕組み

個人でお金を貸し借りするってことはわかったけど
実際どういう仕組みなの?ということですが、
これは国によって法律が異なるので国ごとに仕組みが違います。
例として日本の法律に近いアメリカでの仕組みについて解説します。

5_アメリカでのP2Pレンディングの仕組み_new

個人間にP2Pレンディング業者と銀行が仲介することで
お金の管理は業者に任せることができます。
万が一お金を返してくれないとなったときもP2Pレンディング業者が
回収も担当してくれるので安心ですね。
※金融商品のため不確実性が伴うため100%絶対に返ってくるという保証はありません。

それぞれの用語の細かい解説はここでは割愛しますが、
簡単に説明すると個人への融資を債権という金融商品に替えて取引をしているイメージです。

ちなみにイギリスでは仲介なしでそのまま個人間で直接やり取りをしているようです。

6_イギリスでのP2Pレンディングの仕組み

ただし、個人が直接お金をやり取りすることはアメリカでも日本でも法律に抵触してしまうため同じ手段を取るのは難しいです。

それでもアメリカの仕組みで市場規模が急拡大している現状を踏まえると
日本も同じような仕組みを作ることができれば
一気にビジネスチャンスをつかめると考えられます!

※P2Pレンディングの仕組みの図(アメリカ・イギリス)はKirby and Worner(2014)を参考に作成しています

日本の法的な制約

7_日本の法的な制約

日本でP2Pレンディングが流行していない原因となっている代表的な法律を3つ簡単に紹介します。

①貸金業法
ものすごく簡単に説明するとお金の貸し借りについて定められた法律です。
この貸金業法では特定の個人にお金を貸すのを「業」として行うためには貸金業法で決められた免許が必要になります。

この「業」としてというのはお金を貸すことを商売としているかどうかが判断基準になります。

例えば先ほど例に出した飲み物を買うお金を友達に借りるのは、商売としてお金を貸しているのではなく日常のやり取りという判断になります。
(流石にそこまで規制されていたら窮屈で仕方ない世の中ですよね笑)

つまり、P2Pレンディングを行おうと思うと貸し手側は免許が必要になるわけです。
しかし、その免許の基準は非常に厳しいため個人で取得することは不可能と言っていいでしょう。

ちなみにアメリカ方式のように仲介業者が免許を持っていれば貸し手側の免許はなくても成り立ちます。

②金融商品取引法
P2Pレンディングを仲介する業者に関係する法律です。
銀行や保険、証券会社など金融商品を取り扱う業者はこの法律を守らなければなりません。

これも簡単に説明すると、P2Pレンディングを仲介する業者は
利用者の資金と自社の資金を分割して適切に管理しなければならないというものです。

貸し手(投資家)の資産を守るための法律で、この厳しい基準を守らなければ仲介業をすることはできません。

③出資法
これもお金を貸すときのルールです。
「業」としてお金を貸す場合は金利の上限が20%と定められています。

これ以上の金利でお金を貸すといわゆる「闇金」と呼ばれる違法なものになります。

どのようにすれば借り手に合わせた適正な金利設定ができるかというところに工夫が必要になると思われます。


今ご紹介した3つの法律に関して直接の動きはありませんが、
近年金融業界では新しい取り組みを推進していくために
様々な法律が緩和され始めています。
例えば送金サービスを提供するために必要になる資金移動業に関連する法改正が2020年に行われ、新しい送金サービスが芽を出し始めています。

あとは最近サービスが始まってきたスマホで簡単に投資できるサービスなどに関わる資金決済法なども法改正が閣議決定されていたり、フィンテック界隈には新しい風が吹き始めています。

P2Pレンディングに関する法律も今後社会の要望を受けることで法改正が行われていく可能性も考えられるでしょう。

ITの力を使うところ

8_ITの力を使うところ

ここまでは仕組みについて解説してきました。
我々にとって大切なことはこの仕組みを
ITの力でどのように実現するかです。

まず、この仕組みの中でITの力が使えそうなところを2つリストアップしてみました。

①信用度の計測(適正金利の設定)
②貸し手と借り手のマッチング

①は最近SNSなどを活用した個人の信用度の計測方法が芽を出し始めています。
例えば「LINE Score」や「J.Score」ですね。
アメリカでは「Credit Karma」というサービスも流行しているようです。

ITの力で信用度を正確に計測することで
これまで金融機関から融資を受けることができなかった人が
融資を受けることができるようになることが考えられます。

②は利用者の結びつけの機能になります。
信用が低いけれども金利が高い人に貸して儲けたいと考える人もいるでしょうし、
信用が高い人に貸したいから多少金利は低くても構わないと考える人もいるでしょう。

貸し手と借り手がお互いに納得できるような条件に当てはまる人同士を適切にマッチングさせてあげることもITの力が活用できるところです。

当本部ではAIを活用したマッチング案件を実施していたこともあり、
マッチングのIT化は知見のある分野です!

まとめ

今回は 「P2Pレンディング」について解説しました。
うまく活用できれば、
コロナ禍で資金繰りに困っている個人事業の方や
失業してしまった人たちを助けられる
素晴らしい仕組みになると思っています。

例えば、似たような仕組みであるクラウドファンディングはコロナ禍で
多くの人に認知されるようになり
資金調達額も右肩上がりで増え続けています。

苦しいときこそ人々が助け合えるような新しい仕組みで、

サービスを受ける人が嬉しい
サービスを提供する人も嬉しい
社会貢献もできて嬉しい

三方良しのサービスを作っていきましょう!

きちんと法律を理解した上で
新しい融資の仕組みが実現できると良いですね!

最後までお読みいただきありがとうございました!


参考文献:
Kirby, Eleanor, and Shane Worner, “Crowd-Funding: An Infant Industry Growing Fast,”Staff Working Paper 3, International Organization of Securities Commissions, 2014.
https://www.iosco.org/research/pdf/swp/Crowd-funding-An-Infant-Industry-Growing-Fast.pdf

※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。



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