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ローカル ↔ グローバル? エシカル消費を年代で紐解く

こんにちは。「Tカードみんなのエシカルフードラボ」の中岸です。
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」では、食の領域を中心とした生活者のエシカル消費に関してさまざまな視点で研究開発し、その成果を発表していくエシカル消費研究会を立ち上げました。

この記事では、「エシカル消費研究会」の活動の中で行った「エシカルに関する実態調査2021」について掘り下げながら、連載形式でエシカル消費の現状について考えていきたいと思います。

初回の今回は、エシカル消費に対する、年代ごとの意識や行動の違いがテーマです。
Z世代はエシカル消費やSDGs、サステナビリティへの関心が高い、というのはよく聞かれる言説ですが、具体的にどのような領域に関心があるのか、そしてどのようなことを実践しているのか、また、それ以外の年代は関心が薄いのか、 調査結果から読み解いていきます。

1. エシカルフードの購入意向

まず、エシカルフードの購入意向を性年代別にみた結果がこちらです。

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TOP2(「買いたい」+「やや買いたい」)でみると、全体と比べ男性の購入意向は低く女性は高い傾向ですが、10代に関しては男性も購入意向が高くなっています
また、特に高いのが女性60代です。購入意向には、エシカル消費への関心だけでなく、日常的に買い物を担当しているかどうかも影響していると推測されます。

2. エシカルフードへの関心領域

では、エシカルフードのどのような領域への関心が高いのでしょうか。エシカルフードに関連する事柄への関心度を5段階で聞き、TOP2(「関心がある」+「やや関心がある」)の数値でグラフにしました。

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全体としては、「食品ロスの削減」「過剰包装の削減」「消費者の健康への配慮」「地産地消」「労働者への公正な賃金の支払い」などへの関心が高くなっています。消費者にとって身近なことや当事者である事柄、直接消費者に見える領域への関心が高いようです。

10代の傾向をみてみると、「フェアトレード」は男女とも全体と比べて高い傾向で、「動物福祉」についても女性は高い傾向です。この2点は全体としては関心が高くない事柄でしたが、10代が特徴的に関心を持っている領域であるようです。その一方、「過剰包装の削減」など全体と比べて関心が低い事柄もあります

女性は年代の上がるほど多くの事柄への関心が高くなっており、エシカルフード購入意向の高かった女性60代は、特に多くの項目で全体と比べて高くなっています。女性に絞ってみると、「過剰包装の削減」「環境に配慮した包装材の使用」「地産地消」「地域の生産者からの調達」などは、概ね年代が上がるほど関心が高くなるようです。

3. 食領域で実践していること

では、どのようなことを実践しているのでしょうか。どの程度実践しているか4段階で聞き、TOP2(「よくしている」+「たまにしている」)の数値でグラフにしました。

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全体では、「お買い物の際エコバックを持参する」、「資源をリサイクルする」、「調理の際、電気をこまめに消す、節水するなどエネルギーを節約する」などが上位でした。商品の購入以外で消費者が実践できる内容や、節約にもなる事柄が上位にきています。一方、「お金の寄付や物品提供を行う」、「フェアトレードの商品を優先的に購入する」は下位になっており、直接的な金品の負担や、海外の物事に対しては実践者が少ないようです。

10代はどうでしょうか。女性10代は、全体と比べると「お金の寄付や物品提供を行う」が高くなっています。また、「地元の商品を優先的に購入する」「被災地や応援したい地域の商品を購入する」は男女とも全体と比べて低くなっており、『地域』に関しては、関心と同様、実践でも低い傾向です。

関心領域と同様、女性は年代の上がるほど多くの事柄の実践率が高くなっており、女性60代は特に多くの項目で全体と比べて高くなっています。
10代の関心が低かった「地元の商品を優先的に購入する」「被災地や応援したい地域の商品を購入する」は、概ね年代が上がるほど実践率が高くなるようです。


4. まとめ

10代はエシカルフードの購入意向が高く、他の年代と比べるとフェアトレードなどグローバルな課題に関心が高いのが特徴です。その一方で、『地域』に関わることについては、10代は関心・実践とも低く、年代が上がるほど高くなる傾向でした。
こういった傾向が表れた背景には、情報源の違いがあるのではないでしょうか。10代はエシカルフードに関心を持ったきっかけとして、「学校教育」が全体と比べて高い傾向でした。物理的な距離ではなく、授業などで見聞きした事柄の方が情報としてのキョリが近いのかもしれません。一方で年代が上がるほど地域と関わる機会が多くなり、自分で直接見聞きしたことが地域への関心へ向かったのかもしれません。


今回は、ローカル ↔ グローバル の観点で、消費者の年代別に意識や行動に迫りました。
次回は、食品カテゴリ別のエシカルとの親和性について深堀する予定です。


Tカードみんなのエシカルフードラボ「エシカル消費研究会」
エシカルに関する実態調査2021
調査方法:インターネットアンケート
調査期間:2021年2月26日(金)~2月28日(日)
調査地域:全国
調査対象:16歳~69歳男女
サンプル構成:居住地8エリア×性別×年代を人口動態に沿って割付
サンプル数:3,000名


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