【気になる生態】 #37 崖っぷちの生活 「チョウゲンボウ」
最近猛禽類を腕に乗せました。
リズミカルで耳心地の良い名前。チョウゲンボウ。
ハヤブサ科特有の目のくりくり感がたまりません。
フクロウなどと同様にアニマルカフェで触れ合えることができたりします。
全長は30~40cmと猛禽類の中でも小型の部類ですが、特徴的な生態がいくつかあります。
獲物を逃さない最強の眼
チョウゲンボウは草地や農耕地などの平野部に生息しています。
猛禽類であるため食性は肉食で、獲物はネズミやモグラ、トカゲなど畑に生息している生き物です。
そして、チョウゲンボウの特徴的な生態は「ネズミ類の捕獲については、ネズミの糞尿に反射する紫外線を感知することにより、効率的にハタネズミを捕獲しているといわれています。」
チョウゲンボウの説明でよく書かれるこの紫外線の話題。
以前ある動物の生態にまつわる展示会に行ったときに知ったのですが、紫外線を使って獲物を探しているということが最初にわかった猛禽類がチョウゲンボウということで、チョウゲンボウだけが使える特権ではないようです。
また、チョウゲンボウの眼はどの時間にも獲物をとらえることができるそうです。
夜でも紫外線が見えていたりするということなのでしょうか。
華麗な空中停止
チョウゲンボウが狩りに置いて使う技は紫外線だけでなく、飛び方にも工夫があります。
それがホバリングです。
ホバリングとは空中の1点でとどまる飛翔法です。
ホバリングができる鳥類はハチドリなどいくつか挙げられますが、猛禽類の中でもチョウゲンボウはとくに精度の高いホバリングを行うことができます。
このホバリングを用いて、上空から獲物の動きや紫外線を目視して一気に滑空するのです。
集団繁殖地
チョウゲンボウは単独営巣と共に集団営巣されることが知られています。
日本各地で、集団営巣が確認されているのですが、その中でも一番有名なのが長野県中野市にある「十三崖」という場所です。
この十三崖は高社山の火山堆積物が夜間瀬川で削られてできた大きな断崖です。
本来集団で生活しないはずのチョウゲンボウが、日本ではこの場所だけ独自の進化を遂げているということで、国の指定を受けた史跡名称天然記念物となっています。
集団繁殖は、スペイン、ドイツ、日本、ノルウェー、ロシアなどで記録されていますが、最も多くの記録があるのは日本だそうです。
しかし近年では崖が崩れたり、ハヤブサが近くに巣を作りチョウゲンボウの巣立ちを妨げているようです。
同じ猛禽類でもハヤブサはひと回り小さいチョウゲンボウを狙うことがあるということです。
自分より強いものが生活エリアへ侵入してくるのは自然界で起きてることなので難しい問題ですね。ハヤブサも生活エリアが狭められている身であるわけですから。
保護活動も行われているみたいですが、”チョウゲンボウだけの保護を”という考えにならずに全体的な生態環境を考えつつ、またチョウゲンボウの住みやすい環境が戻ってきて欲しいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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