note2815

基礎美術教えたり、考えたり感じたり行動して疲れたりする北の地方都市 詩とエッセイで絵に…

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基礎美術教えたり、考えたり感じたり行動して疲れたりする北の地方都市 詩とエッセイで絵にならないものを置き、 絵で言葉にならないものを置きつつ散歩する惑星 https://suzuri.jp/asteroid2815

マガジン

  • わしのパンセ

    絵と呟きの随想録

  • 小さなまちと幼年期のおわり

    小さな社会で暮らしていた幼少期のことを紐解いて、消化しずらい感情をちょっとほぐすために描いている漫画

最近の記事

天体でした

とうとさの種類で言うと天体でした 仰ぎ見るみたいに相互にまなざしていて 体でないものをたくさんさぐり合ったために 輪郭の外とか背中の後ろとかに新しい空間が生じていて それにたくさん名前をつけて楽しかったですね 星の密度のはざまに残っている指の跡は 目を逸らすと浮かび上がるくらいの明度で (すばるで言うと5つか6つめのやつね) きっと 私は 生きるための暮らしが眩しすぎて疲れると思うから 命とか実務の喧騒を少し逃げたい時にたぶん そこに目をやることになるん

    • たよりの印画紙

      遠くに揺れる花から手紙が届いてあける 従順でらんぼうな庭から手紙が届いてあける 近視眼の望遠鏡から手紙が届いてあける 解けはじめた呪いから手紙が届いてあける 部屋にあるそれぞれの窓から 異なる入射角で手紙はとどく てがみのなかで体積が それぞれのにおいでくらしを語る 手紙の届かなくなった窓に目をやると それは絵になっていて傾いていた 椅子の上にのぼり ほんの少しさわって なおす

      • 庭ちゃん

        施錠がとかれて来訪を待っている庭の前を 風ではないものがうろついている それは重みや爪のあるどうぶつで この庭がどうやって病むのか 何によって荒れるのか見当もつかない 風ではないどうぶつは 自分の持っている障りを気にして 少し離れた場所から眺めていた 違うどうぶつが遊びに来るのを 外から眺めるほうがさいわいだと思ったから 庭は 待ちくたびれて病み 荒れてしまった

        • しかたのない水槽

          しかたのない水槽にまちを飼っていて 足を浸している しかたのないバスとしかたのないタクシー しかたのない地下鉄が走っていていつも夜 しかたのないまちが きまじめに むすうのランプをつけたり消したり しかたのない生活を呼吸すると しかたのないくすぐったさと しかたのないいとしさがある 崩したくはない 毎日しかたなく 身動きすることなく 足を浸し続けている

        天体でした

        マガジン

        • わしのパンセ
          7本
        • 小さなまちと幼年期のおわり
          2本

        記事

          悪夢ちゃん、(ままならぬ)

          じくじくするところを剥がした空が ちょうどこうもりの形をして目の前を通り過ぎる 墓場のほうから強い花の香りがするから マッチを擦っても擦っても消えない、 夜が舐めるように、 燃えさしから広がってひたすらつめたい 色んなものが怖いから ひたすら平気な顔をしようと努めても 顔の中にある水平線が歪んでくる 横になって 目を閉じても閉じても 目の中で目を閉じても 瞼の裏から無数に隕石が降ってきて 避けられない 昼夜が無限の層になって連なる窓ガラスを割ろうとし

          悪夢ちゃん、(ままならぬ)

          絵描き/こだまのてざわり

          飛べなかったはねと 走れなかったあしで絵を描いてる 歌えなかった口と 見れなかった目でやっぱり絵を描いてる 握りかえせなかった手と 連れていけなかった星の上で ずっと絵を描いてる にせものだけど ほんとだよ こだまが今日を生かす いつか答えた問のこだま それを 復唱する声が 連れていけなかった星の 血を巡らせて 鈍く鼓動する きこえるかエバーグリーン おまえの 腕にかけたねがいが風化して 読めなくなった頃 季節を巡った数だけ 感光した景色が 壁

          絵描き/こだまのてざわり

          宵のスケッチ 4/16

          ひえたアルミサッシが よるというくにのふちを囲う 散りつつある桜の花びらの隙間にも しみて広がる 風と揺れるくに 蛍光灯で慣れた目でその深さを測ろうとすると 深みからやってくる羽虫の 小さいはねにつけた立派な目玉が 盲ているので (手のひらでつつんで) あかり一旦消しますか (入口とびらからは商店街のにおい)

          宵のスケッチ 4/16

          腹くだす飲み会のぶるうす

          12種類の声が均一な音量で耳に入ってきて何一つ聞き取れない食い合わせの悪い晩餐、張りたくもない膜が厚めに張られていくのを斜め上から傍観して解散、徒歩、1500mぶんを吸って吐くだけのテンポで助かって夜桜、風の中からは沈丁花のにおい 浮くはずだった歯は口ん中で並び順を逸し咀嚼、たどり着いた暮らしの鍵はこともなく開いて カーテンの隙間からおるごおるの音色フロム愛すべき場末の(ホテルプレリュードルナシス入口より)上空を一瞥すると人生の雑言と賛美がぼんやり座を組んでいた

          腹くだす飲み会のぶるうす

          返歌

          うたのようなものを受け取るので、 返歌をしています 発話ではなく その合間の横たわり もしくは底流 底流、小さい音なのではなく 遠くの 滝 そのとどろく音が いつも なぜか ここまで届く もっとも、至近の半径においては ちらつく色味で細かく飛びかう虫を (草むらに飛ぶ無数の意味たち) 捉えないといけないのに 私のフォーカスは遠くの 滝のほうに当たっていて 虫の方をうまくかはしたり 虫同士を交わしたりしないといけない 色がさざめいて顔にぱちぱちあたる

          へいきでわらう

          大きなものの前で平気で笑っていた 国よりも大きなもののまえで 似ている宇宙と一緒に 目は 捉えるもののない空をおよいだ こわいといいながら平気で笑っていた 海より大きなものの下で 似ている呪いとあるいた 風が 明日より向こうの方に吹いていた しょっぱい味のする 明日より もっとむこうの方に

          へいきでわらう

          空のふた空いてて

          前にもはなしたことをはなす 前にもはなしたっけと言いながら 前にも来たことのある場所だっけ 夢の中で頑張って行こうとした 知らなかった場所が 知っている場所になってもまだ 残っている なぞなぞ このよのなぞなぞというきのこが 夢で行くばしょに生えている 木立や部屋やみずうみは体の中で 道になって自在に繋がっている 木の根元に一つ置かれた絵が何か教えたそうにしていたので その中にあるいていく 道はまぶしい春のていしゃばに繋がっていて ひとりだ 空のふ

          空のふた空いてて

          せかいのぴあの(れんだん)

          せかいをピアノにしてあそぶ ひけないピアノを せかいにすると おなかのなかで おとがなる くびのうしろで おとがなる 自分で自分のさわれぬばしょが のびて ちぢんで うたになる 階段を登り おり 和音にしてはまたもどす (たたく つねる そっと押す) こないだピアノになったのは 寒暖の対流のまんまんなかで 雪のまう春 日差しとくもり 続けて ひく手があったから わたしが またその 続きをひいた

          せかいのぴあの(れんだん)

          悲鳴、遠くになって

          意外とたくさんあるな、と思った 遠くで 肩や胸の骨格だったものが 灰青の空に、フレームみたいに浮かんでいる 肋骨からはみ出すみたいな もしくは 全身を溶け落ちて地面にしみをつくるような 呼気や呼吸の圧力だった 毎日のからだ それが音もなく 内臓によくある鮮やかな色合いで 骨の内側と外側を行ったり来たりしている 彼らの思い出す軌道に沿って 当時の10倍ほど緩慢に動作している あれはなんだったんだろうね  毎日のように覆いかぶさってくる悲鳴とか 体中うち

          悲鳴、遠くになって

          ていしゃば

          こんなにも重いのだっけか 3月のくも 忘れていたよな こんなにも何もないのだっけか しびれを切らして訪れたんじゃないのか 春 少しくすりを飲んだだけなのに 情けないな 液晶についた水滴が 世界のすべてをうつしても 何も動かないなんて 再生? 動かないのは何なのかな こころと窓 確かめる6ヶ月前 あの鮮明さは 録画には残っていなかった 胎動 ほこりを吸い込んで水滴は濁る 生活 にぶいひかり 明日の予定 ドア 賃貸 一年半後の引っ越し 停止ボタンを押し

          ていしゃば

          キク科もしくはイネ科の(土中にて)

          折り重なって こっそり光っている 土の中に埋まっている今年の夏 忘れている(素足になりたがる) あしの裏でそれをやや遠くにさわる 蒸散、遠景が屈折率に青く霞む ぬるい雨滴にさらされ 黒い土の上を ハネったり這ったり、 小さい声で一晩中鳴きつづけるいのち 土の中にはり巡る気配は知っていてだまる そんな音がそのうち地上に鳴ることも 一個ずつ消えてまた 静かになっていくことなんかも

          キク科もしくはイネ科の(土中にて)

          ランプ明、ランプ滅

          なにごとにも まぶしいときは必ず訪れるので 一瞬の過ぎ去りのじかんを、 ランプにして引き出しの中で息をさせる スイッチボックスを取り出して 暗がりの多い胸のうちに だいじにつけては、消す 眠らせては起こす 少し動きづらい体を 歩かせるためとか どうしても見たいものを見に行くために つけては、消す (今日も無事に息をしていたランプ)

          ランプ明、ランプ滅