悲鳴、遠くになって
意外とたくさんあるな、と思った
遠くで 肩や胸の骨格だったものが
灰青の空に、フレームみたいに浮かんでいる
肋骨からはみ出すみたいな もしくは
全身を溶け落ちて地面にしみをつくるような
呼気や呼吸の圧力だった 毎日のからだ
それが音もなく
内臓によくある鮮やかな色合いで
骨の内側と外側を行ったり来たりしている
彼らの思い出す軌道に沿って
当時の10倍ほど緩慢に動作している
あれはなんだったんだろうね
毎日のように覆いかぶさってくる悲鳴とか
体中うちがわを引っ掻く鋭角のささくれとか
ただの1日を送ることができている
脅かされないでいる こっちの窓にあるのは、
ゆっくりまともな時間を流れるからだ
さみしいね少し 思い立っていたずらに
紙飛行機飛ばす
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