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劇団東京乾電池『十二人の怒れる男』 @ザ・スズナリ

劇団東京乾電池
『十二人の怒れる男』
作:レジナルド・ローズ
演出:柄本明
翻訳:額田やえ子

https://www.tokyo-kandenchi.com/stage-2023-01-12men.php

下北沢はザ・スズナリにて劇団東京乾電池の『十二人の怒れる男』を観劇。
東京乾電池にしては珍しいストレートな作品。

冒頭の転換後、舞台セットが変化して大勢がタバコを吸いながら始まるシーンが格好いい。

その後もテンポの良い会話劇が繰り広げられる。
基本的に役者陣の動きが少ない作品であるので、言葉のキャッチボールが肝になってくるはずなのだが、やはり東京乾電池の方々。全然見飽きることがない。
(唯一、谷川さんのセリフがところどころ聞きづらかった)

また、それぞれに個性や性格がでていてひとりひとりに注目できた。これはなかなか重要なことだ。
12人もの役者が出てくる作品は小劇場界隈は多いのだが、どうしても「あの人物いらなくないか?」と思うことが多い。演劇、特に小劇場と呼ばれる規模だとそういうスタイルをとらないといけない理由もあるのだけど、無駄な人物を生み出していると感じてしまってはお粗末な作品でしかない。
といったわけで、本作・本劇団と小劇場界隈を比較することもおこがましいのだけど、とにかくあれだけ各人の匂いが沸き立つのは役者陣や戯曲が素晴らしいことに他ならない。

少し脇道に逸れたけれども、会話が占める割合が多いだけに、いつ動くか・どう動くかといった選択も大事になってくる。会話の流れを邪魔せずに、いかに効果的に動くか。しっかりと稽古を積んでこられたのだろうなと感じた。

気になった登場人物は岡部尚さん演じる陪審員長。陪審員長というからには気配りができて全体を見渡せるバランスの良い役回りだったが、岡部さんがこれを見事に演じきっていた。

陪審員第十二号を演じた諫早幸作さんはやはりスタイルの良さ、顔の良さが目立つ。若いというのもあるが美男と形容できるこの特長は、東京乾電池のなかでも諫早さんだけでは?朴訥とした男性俳優陣が多い東京乾電池らしくないといえばらしくないが、例えば本作のような鼻につく高飛車なキャラクターには合っていた。彼は他劇団や映像作品で見かけることがあるが、年齢的に若手である東京乾電池の作品のなかで今後どのような配役で出演していくのか気になる。

前売りは完売のようで、当日のキャンセル待ちでないとチケットは出ないらしいが、ぜひとも多くの人に観ていただきたい作品だった。

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