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無口な歌詞

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あの日から、やめられない作詞。 歌い出してくれたら嬉しいのに。
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2021年3月の記事一覧

たとえば春のそんな日

たとえば春のそんな日

It's raining cats and dogs.
大体そんな気分
捨てようと思っていた
ぼろぼろの靴
.
なんだか最近は
すごく眠たいんだ
それだけ
.
あくびとあくびの間に
きっともう目はくっつく
見たくなくなった
そう言われれば
そうなのかも知れないけれど
今夜はただ
起きていられないだけ
.
.
It's raining cats and dogs.
そもそもそんな自分
変えようと思っ

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不時着

不時着

なんてことはない
涙が知らずに
頬を伝っただけ
痛みもない
.
嬉しくもないけれど
.
帰り道を走る
追いつかれないように
振り返りもしないで
とにかく速く速く
いつまでもそこにある
あの月から逃げ切ってみたくて
.
.
なんてことはない
気分が乗らずに
下手に当たっただけ
違いはない
.
申し訳ないけれど
.
好きな方を選ぶ
泣きつかれたとしても
言い逃れはしないで
小さく丸く白く
いつ見てもそ

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世界の壊し方

世界の壊し方

忘れ物をしなかった
子どもだけが
大人になれるんだって
教えてくれたあの人は多分
子どもだったの
.
いつかどちらかを
選ばないといけないのならば
何を忘れたふりをしよう
.
心を奪われそうな青空
見透かさないでと
俯いているなんてもう嫌だから
決めたことは一つだけ
朝の光の中で
朝の光の中でだけ
この世界を壊してもいいことにした
.
.
好き嫌いをしなかった
子どもだけが
やさしくなれるんだって

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Piano Man

Piano Man

旨いビールの味を
知っている大人にならば
なりたいのかもって
思ったことがあるんだ
.
ひび割れた画面
映り込む青い空が
幾つかに分かれていた
.
ストリートピアノで
彼女が弾いた
覚束なくも優しいあの歌
諳んじるように
口ずさんだ自分の唇を
思わず何度か触った
忘れられるはずもなかった
あの日々の真ん中
.
.
焼き付いた場面
繰り返す長い夜は
確実に増えていった
.
大道芸人の
パントマイムは

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リビング

リビング

思い出話に
花なんて咲かせないで
優しさだけは
弱さの裏返しだから
でもね
.
独り手酌で
酔い痴れたい時だって
きっと誰にでもある
.
空っぽのグラス
何度か持ち上げて
溜め息を呑み込めば
口ずさむ懐メロ
好きだったのにね
サビしか歌えなくて
笑った声も
淋しく響く広いリビング
.
.
机の余白に
星なんて並べないで
当て付けだけは
いつかの繰り返しだから
でもね
.
今日も汀で
見届けたいサン

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二度見する春

二度見する春

見兼ねたように
笑いかける
細めた目の奥から
押し寄せる波
冷たくて
.
合わせるように
話しかける
溺れる眼差しには
待ち望む当て
乏しくて
.
フロントガラスに
残っていた桜
ただいまって呟いた
.
たったそれだけのことで
泣けてしまうくらい
弱くなっていたなんて
大人なのにね
こんな時に独りじゃなくてよかった
独りじゃなくて本気でよかった
嬉し涙ってことにしよう
.
.
とぼけたように
肩を

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アーモンド

アーモンド

手を振ったらこのまま
もう逢えなくなると
判っていたのにね
こんな時にまで
恰好ばかりつけるのか
.
夜空は高さが読めなくて
迷子になりかける
長い帰り道
.
アーモンドの香り
運んだ風にも
春の気配
淋しいのは誰のせい
色のつく街角で
誰にも聞かれないように
囁いたさようなら
.
.
背を向けたらそのまま
もう逢わなくなると
判っていたのにね
どんな場面でも
想像しては立ち止まる
.
孤独は途端

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ラグ

ラグ

こうして僕が
星を見ているように
その中のどこかの星でも
こうして誰かが
僕のことを見ている
.
目が合ったなんて
どうかしているのかな
わりと本気でも
.
もう歌ってくれないじゃないか
あんなに好きだったのに
お願いするなんて
それはそれで違う気がして
いつも行ったり来たり
隔ててしまった距離の分だけ
合わなくなる息
.
.
気になったなんて
どうかしているのかな
わりと本気でも
.
もう歌って

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フルーツバスケット

フルーツバスケット

食べかけのアイスクリームは
早く食べた方がいい
そのくらいの判断の話
もともと知っていること
.
飛行機雲がとっても綺麗で
長い時間見つめていたら
不意に泣いていた
.
終わらせるんだ
今日だけを
ロウソクをふっと消すように
終わらせるんだ
今日だけを
チャンネルをぱっと変えるように
どうせやって来る明日に
飲み込まれないため
もう眠ろう
.
.
飲みかけのファンタグレープは
早く飲んだ方がいい

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大空

大空

愛を愛のままで
受け取れますように
出揃った手札の上
決めたらもう
変えたりはしないから
.
唇に触れたのは
多分風だった
それでも優しくて
誰かのことを
思わずにはいられない
.
笑っちゃう
笑っちゃう
独り言ちても
うわの空
.
.
嘘を嘘のままで
受け止めないように
間違ったヒントを見て
決めてもまた
初めには戻れない
.
片耳に落ちたのは
多分雨だった
それでも優しくて
誰かのことを
思わ

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Girl is mom, boy is dad.

Girl is mom, boy is dad.

他人事じゃないラブストーリー
それは切実に
僕の存続に関わる
重要なインシデント
.
毛色はもはやそれほど
そんな中で掘りたい
もっともピュアなスマイル
.
ドラマ仕立てか
エチュードか
知りたいことは多くない
二人きりから生まれた
アドリブだけを
なるたけそのまま
教えてほしい
山も谷も波も凪も何もかもを
.
.
他人事じゃないラブストーリー
もっと大切に
次の選択を揺るがす
大袈裟なアクシデン

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椿

椿

夢がないのと
夢で終わるのって
どっちがいい
.
.
美しいままで落ちる
それはまるで
未練のようにも
覚悟のようにも
.
カノンの進行通り
ここに辿り着く
ならば何でもいいなんて
やっぱり思えないの
気に入らない
それでも花は咲く
.
気づかれないままで
気づいてあげたい
.
.
新しいままで消える
それがたとえ
最後になっても
最初であっても
.
ドラマの台本通り
ここで倒れ込む
だからどうで

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墓

痛み分けのお誘いは
時期尚早って
言わなかったっけ
知らない顔のまんまで
駆けつけた眠気
.
明日の陽気にばかり気を取られ
暮れてからのうそ寒さに
ちゃんと泣かされる
.
名もなくちゃ
もう判らないって
最後になって
頭を抱えるのは
避けたくて
いつかからかよりも鮮明に
顔を見せるんだ
見せるんだ
.
.
言葉尻の取り合いは
悲喜交々って
聞かなかったっけ
つれない顔のまんまで
押しつけた好意
.

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焼け石に、なみだ

焼け石に、なみだ

たどたどしくてもいいんです
.
僕にはそう聴こえた歌
立派な装丁を外した
その壊れそうな声と音が
叫んでいたのを見逃せなかった
.
交差点
ぶつかった肩が
震えている
.
止まらない止まらない
もうずっとそのまま
焼け石にミネラルウォーター
勿体ないかい
関係ないさ
今そう思ったんだろ
それでいいのさ
.
.
ばかばかしくてもいいんです
.
確かにそう聴かせた人
辺鄙な輝きを宿した
もう弾けそうな

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