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猿☆人間
2020年2月29日 08:18
はじまりはポケットの中の紙屑を捨てたところからで譬えばよく来ていた公園の小さなグラウンドにあるフェンスの隙間の抜け穴を見てまた通り抜けたくなったとか.置き去りにしていたつもりはないけれど一緒にここまで来たつもりもなくて一人の僕は戸惑っている.注釈のない難しい本のよう.捨てるから拾うの順番はいつも変わらない好きなものから食べてしまって残った苦手なものが今になって
2020年2月28日 07:25
アースカラーの外套を春になりきれない風が煽る何となくただ歩きづらいのはもっと他に理由があるのに言い訳にするには持って来いの夜.言葉にしたそばから吹き飛ばされて遠くへだから誰の耳にも届かない.ありふれた愛を独り言つ色の薄れた部屋の隅に昨日のそれらが転がっている嫌がられるくらい言っておけばよかったなんて恰好悪い後悔をする前に後出しじゃん拳だとしてもまだ間に合うのならば
2020年2月27日 07:29
あたしは弱いだから中途半端に髪を伸ばすあたしは弱いだから中途半端に髪を切る.脈絡もなくただ唐突に海へ行きたくなったのは.帰りたいと細胞の中から囁く声が空耳にしてはやけにはっきりとそう聴こえたなんて言ったら真面目に笑われるかな..あたしは弱いだから中途半端に髪を染めるあたしは弱いだから中途半端に髪を結う.きっかけもなくまたのうのうとここで泣いてしまったのは
2020年2月26日 06:59
特殊な夢を歪なその形を保ったまま明日の朝陽に透かせば見えそうな気がした.徒然の中忙しそうにした欠伸きっと独り言.大きな空には大きな雲が小さな町には小さな屋根が似合ってしまう事を何と言うのかうつらうつら漕いだ舟が運んだ岸辺に咲くヒヤシンスいつかの窓辺にもあったような..不滅な愛を不気味なその視線を貰ったまま逆に心を明かせば訊けそうな気がした.徒然の側
2020年2月25日 07:19
DVDにはならなかったそんな映画があると言うよりもそんな映画ばかりだ.そもそもそんなつもりで作られたものでもないから当然であってとやかく言うあれもない.でも淋しいようなただ空しいような声がたまに洩れ出る.誰かのファインダー越しのあなた想像だけでは観られないそんな顔がそこにはあるのだろうかあなたのファインダー越しの誰か想像だけでは叶わないそんな日々が確かにある
2020年2月24日 07:41
都合よく頭痛になる気の利く体だなとたまに感心する.薬には頼らずに踏ん張る誰と競っている訳でもないのに.判り易い生き方が邪魔をするのは今だけかもっと初めから知っていたそんなことじゃないのか笑っているのは僕だけか..都合よく頭痛は去る目出度い体だなとついに嘆息する.理由など求めずに振り切る何を気負っている訳でもないのに.混ざり易い色彩が派手になるのは今だけか
2020年2月23日 07:44
聴こえなくていいからどうか届いてくれ震えなくていいからどうか届いてくれ下手くそなまんまの僕らの音楽.鳴り止まなかった呟きを拾って紐を通しただけのビーズのネックレス歪に光を跳ね返すくらい.流れ去る景色ばかりに気を取られていたら肝心なものまで見逃してしまいそうだ.聴こえなくていいからどうか届いてくれ震えなくていいからどうか届いてくれ下手くそなまんまの僕らの音楽.
2020年2月22日 08:16
昨夜のうちに敷かれた白い絨毯の上を愉しげな声の持ち主たちが好き勝手自由に踏みつけていけば汚くなったとしても何だか綺麗.午後には溶けてなくなる名残り惜しい口の中のキャンディだったらまたもう一つと入れればいいけれど..冷めないうちに出された熱い珈琲の底で朧げな夢の端々たちが澱のように溜まり塊になれば重たくなったところでやっぱり苦い.醒めれば恥ずかしくなる心淋しい夜の折に
2020年2月21日 06:29
週刊少年ジャンプの発売日だったから確か月曜日物珍しかったのか虹でも見つけた時のように誰もが空を見上げている.ほんの十数分とは言えこの町にとってこの冬初めての雪.思い出したり思い出に残したり窓から覗いたり表へ出てきたりあの瞬間は誰もが子どもに戻ったように見えた少なくとも私はその一人..週刊少年ジャンプの巻末に載っていた派手な広告が忘れられなかったのは星でも
2020年2月20日 07:25
二日目の雨たったそれだけのことで簡単に心が揺れ目の前の彩度が下がる.多分今までだったらここで私は気を落とし晴れた日を懐かしむだけ.大人になったとは言えないが気持ちの運転は上手くなったと思えるまだ遠くへまでは行けないけれど景色が変わるくらいのちょっとしたドライブに今なら難なく出掛けられる..四日目の雨なのにそれだけのことで往々にして気は逸れ一昨日の景色も霞む
2020年2月19日 06:43
一旦立ち止まると次にまた立ち上がるのに前よりも大きな勇気が必要になる.横断歩道の信号のように止まれと進めを知らせても促してもくれない.あからさまな不機嫌が心を支配する日は合言葉のように自分に言い聞かせる無理をするべき時を知っているのなら無理に無理をしなくてもいいよまた始めればいいから..再び立ち上がると次にまた立ち止まるのに前よりも大きな勇気が必要になる
2020年2月18日 07:24
恋の中にもこんな甘さがあったなんてことを思い出そうにもチョコレイト..季節よりも気分次第で選びたくなるもの.人肌でさえ溶けてしまう.嘘の中にはやけに苦さが多いなんてことに気づいたところでチョコレイト.夢の中にもこんな甘さが欲しいなんてことを気づかせようともチョコレイト..成果よりも経過次第で望みたくなるもの.優しさでさえ怖じてしまう.嘘の
2020年2月17日 08:13
期限切れのクーポンがこんなにぼろぼろになっても財布の中で眠っているのは捨てられないからでもなくてお守りにしていたから.はっきりと日付を思い出せないくらい前の初恋に近い記憶.丁度その期限の日が二人で逢う最後の日になったドラマのようには終われなかったけれど今でも時々思い返す平静を取り戻した朝のファミレスドリンクバーで烏龍茶ばかり飲む人..期限切れのクーポンはこん
2020年2月16日 06:39
どうして何事も淋しさを感じるくらいの散り際が美しいと思ってしまうのだろう.花の色に透けて見えた夕焼け遠くから聴こえる懐かしいメロディ条件が揃えばこんなにも簡単に涙は止まらなくなる.ショートフィルムの尺の走馬灯が秒速五センチメートルで流れる.手を振る君もスローモーション時空の歪んだ永遠の一瞬私は今笑っているでしょうかそれとも泣き噦っているでしょうか君の瞳に私を捜すけ