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無口な歌詞

1,601
あの日から、やめられない作詞。 歌い出してくれたら嬉しいのに。
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2019年12月の記事一覧

eve

雪にはなれなかった
夜更けの雨の中
然り気なくもう一回
.
ずっと雨は強く
アスファルトを叩いている
際限なく加減なく
.
涙一つ見せぬように
答え合わせはしない
.
じっとしていられない
不安だけが募ってゆく
最低なイメージを
.
.
もう聴こえない優しい寝息
空へと消え滲む
.
待ってなどいられない
新しい淋しさ
最終回の次回予告
.
.
僕にはなれなかった
最後のボーイフレンド
去り際は潔く

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雨の音を数える

雨の音を数える
たまに時計の音が邪魔になる
.
雨の音を数える
急に土砂降りになり諦める
.
きらきらとした粒
夜の方が綺麗かもと
傘を選んで歩き出せば
久し振りに雨を好きになれた
.
車のボディに当たって跳ねる
鍵盤には出せないような
小さなニュアンスばかり気になる
.
雨の音を数える
不意に当時の頃を思い出す
.
.
雨の音を数える
次に途切れるまでの暇つぶし
.
雨の音を数える
更に勢いが増

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直らない寝癖

あなたで居ることよりも
あなたが居ることの方が
余っ程大切だと思った
今更もう遅くても
.
.
煩わしい日毎
イメージ通りには
進んでくれない
.
水曜日の雨
直らない寝癖
.
らしさを持つことよりも
あなたが居ることの方が
余っ程特別だと思った
今迄こそ真逆でも
.
.
嘆かわしい昨日
スヌーズ程度では
気づいてくれない
.
降り止まない雨
直らない寝癖
.
らしさを愛するよりも
あなたと居るだ

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happy

無理矢理にでも
笑ってみた
そうすれば楽しくなると
何かでやっていたから
.
いきなりなのに
願っていた
どうすれば元に戻るか
やっぱり知っていたから
.
自分で作った問題を
自分で解いているだけ
一夜漬けの成果は意外と脆い
.
もう考えちゃ駄目だ
なるようにしかならないのならば
自分の出せる一番の答えを
素直に正直に試す他ない
自分の中に正しさはあっても
自分の中に幸せはない
見つけないと 気づ

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だらけた未来

雨上がりの道が
乾いてゆくように
少しずつ拡がる
優しい気持ち
.
聞き捨てならない声を
声のまま呑み込んだ
お腹を壊しそうだと思いながら
.
空の気まぐれ
僕はいっそのこと
猫にでもなって
他人ん家の屋根の上で
大きな欠伸をしたい
口癖も忘れるくらいに
だらけた未来で
.
.
下ろしたての靴が
馴染んでくるように
少しずつ加わる
淋しい気持ち
.
想像できない嘘を
嘘のまま貼りつけた
風紀を乱し

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アイドル

震えが止まらない
喜びに似た
球体状の膜に
覆われたあの時から
声も忘れたまま
.
数えるのをやめたリフレインに
重ねる吐息交じりの鼻歌
.
聴いたことのある
懐かしさを見つけた気がして
呼吸も待たずに走った
名前がつけば安心してしまうから
まだ誰も まだ何も
知らないうちに伝えたかった
好きになるって嬉しいんだ
こんな気持ちがあったんだ
.
.
見た目は変わらない
北風に似た
強情的な振りに

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大抵の夜

飛び抜けた淋しさなら
諦めもついたのに
その中途半端な大きさの
塊を見て少し考えた
.
どうにかできそうな夜
窓の外に雨がちらちらと
.
あいうえお、
かきくけこ、
さしすせそ、
特別な意味に
捉えられたくないから
言葉ではない言葉を話す
馬鹿みたいと嗤われても
その方がいいんだ
.
.
行き着いた絶望なら
ありありと泣けるのに
その前途多難な長編の
一端へ来て遂に踏み込んだ
.
何かになれそうな

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naive

扉が閉まる音の後で
小さく洩れ出た
懐かしい言葉
.
随分久し振りらしくて
気のせいでしょうか
口許が痒い
.
聴こえてこなくなっていたのは
こちらも喋らなかったから
.
愛なんて云う
輪郭のない物に
頼ってしまうのが
何より負担の少ない賭けなんて
仕方がないね 淋しいね
.
.
扉が開く音の前に
小さく呟く
懐かしい言葉
.
伝えてみたくなっていたのは
一つも残らなかったから
.
愛なんて云う

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鳴いた、泣いた

涙の匂いがしたから
飛んで来たんだ
誰かのように
慰められないけれど
一番近くに居たいんだ
いいでしょ
.
.
長かった電話は
日付が変わっても
切れることはなかったけれど
その割に暗い顔をしていた
.
どうにか笑ってほしくて
いつも以上に燥ぐと
優しくて悲しい瞳でそっと叱られた
.
涙の気配がしたから
心配なんだ
誰かのように
抱き寄せられないけれど
一番近くに居たいんだ
いいでしょ
.
.

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sonata

手を翳して
遮った光の線
.
夜みたいな
静かな怖さが
早起きしてきそう
.
マリオネットを操る様に
その指を上げたり下げたり
黙り込む世界に
君が奏でたソナタ
.
強くなくていいけれど
負けないくらいの
気持ちでは居たいと
思い始めた
判らなくていいけれど
捨てないつもりの
別れなら痛みも
我慢してきた
.
.
奇を衒って
匿った鏡の裏
.
朝みたいな
確かな怠さが
夜更かししてきそう
.
カス

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遺失物センター

それは
口の中の
チョコレート
.
どうしても
なくなってしまう
.
忘れてしまう前に
もう一粒
そんな繰り返し
.
甘くて大好きと
そう思うのか
口寂しいと
また嘆くのか
ほんのそんなことで
後味が違うなんて
勿体ない
.
.
それは
雨の夜の
アスファルト
.
境目が
なくなってしまう
.
隠れてしまう前に
もう一度
そんな負け惜しみ
.
綺麗で儚いと
そう笑うのか
待ち遠しいと
また笑うのか

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70-33

君が両手でぎゅっとマイクを握りながら
Forget-me-not を歌う姿が
ファイティングポーズのようで
思わず身構えてしまった
.
夜は深ければ深いほど
その純度に磨きがかかり
遠くの星まで見えてきそう
.
初めて僕は君が怖くて
今にでも泣きそうで
だからその歌に感動した風に
少し涙を流して見せては
いつもより大袈裟に拍手をした
.
あの時僕が必死に守っていたものが
目の前からそっと今
離れて

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