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小説

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2022年3月の記事一覧

みやこの姫

みやこの姫

 ——前半からの続き。

 みやこの姫は京介に頼まれて、原稿用紙を、文豪のところまで運んでいた。京介は今は変哲のない学生であるけれども、いつかは物書きにと意気込んでいて、それで作品を書いてはそれをこの町にたまたま住んでいる文豪に診てもらうのである。そのおつかいは多くみやこの姫にまかされる。途中、みやこの姫は、街路を寄り路した。その先にあるのは狭い花屋である。文豪の処へはなんどか行っているが、そのう

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みやこの姫

みやこの姫

 みやこの姫はつねづねから自分の右脳か左脳か、どちらにせよそれらどちらかの片隅に、何か機械仕掛けの門番が眠っているような、そんな心地がしていた。門番が働くときは、頭のなかにごたごたが生じて、それが渦巻くときで、せっかくのでき上がった完成品も、そういうときは口からも目からも手からも発されず、門の中に押しとどまる。

 みやこの姫とはこの街に十数年まえに生れて、それからの季節をじぶんの好きな詩なんかと

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